Catch Ball

修業の時計を止めない教師でありたいです。

「注文の多い料理店」の矛盾点?

2011-11-07 22:36:23 | 国語
 予定進度より遅れていますが,「注文の多い料理店」の授業が終わりました。

 この物語は,注意深く読むといくつかの矛盾点があると思います。

 ひとつは犬です。
 犬が生き返っているのです。

 「注文の多い料理店」は,「現実の世界」→「不思議な世界」→「現実の世界」と展開していく物語です。

 最初の「現実の世界」で死んだはずの犬が,最後の「現実の世界」の場面で生き返っているのです。

 私なりにいろいろと解釈してみましたが,どういうことなのか,いまだに分かりません。
 インターネットで話題になっているサイトもありましたが,納得できる説明はありませんでした。

 宮澤賢治流の「ユーモア」と解釈するのがよいのかもしれません。

 もうひとつは,「西洋料理店」の料金への認識です。
 
 山奥で「料理店」を発見したとき,「しんし」の1人が「このうちは料理店だけれどもただでごちそうするんだぜ」と言い,もう1人もそれに同意します。
 しかし,金属類を外す場面では「勘定は帰りにここで払うのだろうか」と言い,もう一人も同意します。

 最初は無料の認識で,急に有料の認識に変化したのはなぜなのでしょうか。

 ここも釈然としません。

 私の読みが浅いのでしょうか。

古文に親しもう 3

2011-09-27 00:46:55 | 国語
 どんな内容を書くのか,「季節」「その風物詩」「なぜそれが好きか」というプリントにまとめるようにすれば,更に分かりやすい。

 何点か書き,自分の気に入った自信作を1点選び,清書させるようにする。

 ペンネームなどをつけると気分も盛り上がるだろう。
 ただ,これは最後に指示した方がよいだろう。
 ペンネームを何にしようかということばかりに気を取られ,肝心の随筆が進まない子が出てくることが予想される。

 ここまでが3時間目である。

 4時間目は,できた作品をクラスで読み合う活動となる。
 清書したものを印刷しておき,みんなで帳合して製本する。

 お互いの作品を読み合うことで,自分では気がつかなかったことを題材にしている友達のよさに気づいたり,随筆の素晴らしさに触れたりすることができればよい。

 ところで,3時間目が研究授業となるのだが,この内容だけで45分を取ったのでは,子どもたちは飽きてしまう。

 普段の授業で,1つの内容だけで45分間授業するということはしたことがない。

 今回は最初に漢字スキルを使った学習を入れたい。
 それが普段通りだからである。
 毎回同じ活動からスタートすることで,子どもたちは安定する。
 研究授業だからといって変えることはしない。
 時間にして5分ほどであろう。

 場合によっては,百人一首を行うことも考えている。
 これも5分ほどであろう。

 このように複数のユニットから1時間を構成することで,テンポよく授業が進み,子どもたちの集中力も持続するのではないかと考えている。

古文に親しもう 2

2011-09-26 01:43:39 | 国語
 指導計画は次の通りである。

1次
・古文を音読して,内容の大体をつかむ。(1時間)
・解説文を読んで,現代の自分たちのものの見方や感じ方と比べる。(1時間)
2次
・「春はあけぼの」にならい,簡単な随筆を書く。(1時間)
・できた作品をクラスで読み合う。(1時間)

 3時間目の随筆を書く時間が,研究授業の時間となる。

 3時間目であるから,それまでに「枕草子」の音読に十分に親しませておく必要がある。
 教科書では,「春はあけぼの」の冒頭部分,「九月つごもり」「ふるものは」の3篇を取り上げている。

 しかし,1・2時間目に「春はあけぼの」「夏は夜」「秋は夕暮れ」「冬はつとめて」とまとめて取り上げておくようにする。
 これが3時間目の随筆を書く活動につながるからである。

 1・2時間目では音読と大体の意味をつかむことに主眼を置くようにする。
 全員が意味をつかんで,自分の感じ方との違いや共感できるところを捉えられればそれでよい。

 本時の指導は,音読から入る。
 きりりと張った声で読ませるようにする。

 そして,教師が作った「続・枕草子」を提示する。
 教師の作った「春はあけぼの」のパロディである。

 導入時に,学習のゴールを示すわけである。
 そのことによって,どんな活動をするのかという見通しが明確に持て,「自分も作ってみたい」という意欲も喚起できる。

 次に,書く活動に入るが,どんなことを書いていいか分からないという児童も多いはずである。
 そこで,次のように発問していく。

 どの季節が好きですか。

 その季節のどんなものが好きですか。

 なぜそれが好きですか。


 この発問に沿っていけば,「枕草子」のパロディが完成する。

 まずは1人に指名して,発問していく。
 これが示範になる。
 説明だけが続けば,特に支援が必要な子にとっては何が何だか分からなくなっていく。
 示範によって例示すれば,具体的に何をすればいいのかイメージがわきやすい。

 そして,その内容を板書に整理するようにする。

古文に親しもう 1

2011-09-25 01:39:33 | 国語
 9月29日(木)に国語の研究授業を行うこととなった。

 当初,研究授業は21日に予定されていたが,私が体調不良で休暇を取ったために延期になった。

 単元は「資料を読んで考えたことを書こう」を予定し,指導案もほぼ完成していた。
 しかし,この授業は没にする。
 全てをやり直す。
 
 理由のひとつは,授業内容が学年部のテーマとかけ離れているからである。
 テーマは「リズムや響き,情景・心情などを味わい,自分の思いを表現する児童の育成」である。
 古文・漢文などの伝統的な言語文化を想定したテーマである。
 これは当初7月に研究授業を行う予定で,その進度に合わせてテーマを設定したのである。
 しかし,諸事情によって7月の授業はできなくなり,進度とずれたためにテーマと無関係のような内容で行うことになってしまった。
 研究主任に相談したところ,「それでもやむを得ない。とにかく授業をしなければいけない」と言う。
 確かにそうなのであるが,自分勝手なことをして学年部の統制が取れなくなるのは避けなければならない。
 そこで,下巻の1月教材「古文に親しもう」を行うことにする。
 そうすれば,テーマとの矛盾点もクリアーできる。

 2つ目の理由は,「資料を読んで考えたことを書こう」の授業案が,自分でしっくりこなかったことである。
 自分で納得できないまま授業に掛けることは避けたい。

 3つ目の理由は,学期末であるということである。
 私の行った授業を,同学年の先生が追試し,それを自分の研究授業として行うつもりのようである。
 学期末の押し迫った時期に研究授業を行うのは無理である。
 本人も困るが,周囲の先生方も困る。
 本来は1月の教材なのであるから,1月に授業を行えばよい。

 ということで,単元を大幅に変更して「古文に親しもう」の授業を行うことにする。
 題材は「枕草子」である。

読字力・語彙力・文脈力 2

2011-05-08 00:00:02 | 国語
 野口芳宏氏は,国語学力の基礎として次の3つを挙げている。

●読字力,とりわけ漢字を読む力
●語彙力,つまり多くの言葉を理解していること
●文脈力,つまり語句相互の連接関係の理解力

 (『国語教育』2009年9月号 野口芳宏氏論文)

 これらが読解力を支えている。

 私のクラスの問題は2つ目の語彙力の不足である。
 漢字が読めたとしても,その意味が何だか分からないという状態なのである。

 多くの語句を普段から身につけさせる指導をしていかなくては,語彙力は増強できない。
 どうにかして現状を打破しなくてはならない。

 野口氏は次のようにいう。

 例えば,「道の端っこに」とあったら,「道端」という語を教え,更には「路傍」という語も教えるのだ。
 機を活かして教えるのが語彙増強のポイントである。

 (前掲書)

 意図的,計画的に指導していくよりも,機を生かして即時的に指導していくのである。
 類義語や対義語などを,その都度教えていって,語彙を増やしていくようにする。
 
 もうひとつは,本に親しむ機会を増やすことであろう。
 私自身は,子どもの頃に語彙力が不足していたという自覚はない。
 本を読んでいたためであろうか。

 ただ私の場合,読んでいたのは主に漫画である。
 自分の経験からいうと,たとえ漫画でも語彙を増やすことはできるのではないかと考えている。

 日々の指導で語彙を増やして,読解力の基盤をしっかりと築いていかなければならない。

読字力・語彙力・文脈力 1

2011-05-07 21:50:25 | 国語
 国語「だいじょうぶだいじょうぶ」の単元テストを行った。

 表面の読解は平均が90.9点であった。
 文脈を読み取る力はまずまずといえると思う。

 裏面の漢字・言葉では,漢字は概ねできていた。
 読字力・書字力はそれなりに身についている。

 ところが,言葉の方を採点して驚いた。
 次の問題である。



 私は,この問題を間違える子はほとんどいないだろうと予想していたのであるが,非常に出来が悪かった。

 「文章の“標語”を工夫して書く」「交通安全の“構成”を考える」「友達の考えに“構成”する」などという珍回答を平気で書いているのである。

 これは語彙力の問題である。
 漢字は読めるのであるが,その意味が分からないのである。

 前兆がなかったわけではない。

 漢字スキルを使って新出漢字の学習をしている。
 読み先習で先の単元の方まで進めているが,意味が分からない言葉や知らない言葉だと,身につきにくい。
 それで,「意味の分からない言葉はありますか」と毎回聞いている。
 手を挙げた子が「『○○』とは何ですか」と質問してくるのであるが,「こんな言葉も知らないのか」と驚かされるようなことも度々であった。
 もしかしたらふざけ半分で聞いているのではないのかと思ったほどである。

 しかし,今回のテストの結果を見る限り,どうやらふざけ半分で質問していたのではないことがはっきりした。
 本当に分からないのである。

文の組み立てに気をつけよう 2

2011-04-24 00:15:21 | 国語
 今度は,漢字を使って文を書いてみます。

 「三.母は笑いながら走る弟を追い掛けた」と板書。
 
 漢字を使って書いたのですが,これも2通りの読み方,意味が考えられます。

 「なるほど」という表情の子と,「よく分からない」という表情の子がいた。
 そこで,「誰が笑っているかがポイントですね」と確認した。

 2通りの文をノートに書きます。
 どこで区切るか,読点を入れます。


 巡視していったが,片方しか書けていない子も数名いた。
 どういうシーンなのか,2つ目のイメージが湧かないのだろう。

 この文ばかりでなく,第1問も第2問にも言えることだが,文字ばかりでなくイラストも提示するとよかった。
 そういう支援があれば,更に分かりやすい授業内容になったはずである。

 まず1人目に発表させた。
「A:母は笑いながら,走る弟を追い掛けた」
 これは誰が笑っているのか確認した。
 
 次は弟が笑っているようにした文を発表しなさい。

「B:母は,笑いながら走る弟を追い掛けた」

 次に教科書にある「姉は嬉しそうに走る弟を眺めている」という文を検討させた。
 教科書にはイラストがついている。

 上のイラストでは,姉が笑っています。
 姉が笑う文になるように,読点を付けて書きなさい。

 
 3問目で方法を理解したので,ほとんどの子は書けた。
 
 今度は下のイラスト。
 弟が笑っているように書きなさい。


 このように,読点をつけないとどちらの意味なのか分からない場合があります。
 小さな読点ですが,きちんとつけて書くことが大切なのです。


 次回は,この文がどんな組み立てになっているのかを考えます。

 最後に板書を消しながら,子どもたちに板書内容を読ませていった。
 ただ消すのではもったいない。
 本時の学習を振り返りながら授業を終えた。

※「第2回仙台模擬授業フェスティバル」における鍛国研仙台ゼミ櫻井智雄氏の実践の追試である。

文の組み立てに気をつけよう 1

2011-04-23 20:11:48 | 国語
 授業参観で,国語「文の組み立てに気をつけよう」(東京書籍5年)の授業を行った。
 「姉は嬉しそうに走る弟を眺めている」というような,どこで区切るかによって意味が違ってくる文を検討していく。

 まずは教科書を使わずにウォーミングアップである。
 
 日記や作文を書くとき,なるべくなら漢字を使いたくないという人?
 いや,積極的に漢字を使うようにしている人?


 黒板に文を書きます。写しなさい。

 「一・ほしいくつある?」と板書した。

 小声で口々に読み出す子どもたち。
 ユーモアたっぷりに「シーッ」と言って,制した。

 この文は2通りの読み方,意味が考えられます。
 ノートにA,Bと書いて,2通りの文を書きなさい。


 机間巡視し,子どもたちの理解度を確認した。
 「くつ」という漢字が分からないというので,板書して教えた。
 
 2名に発表させた。
「A:星いくつある?」
「B:欲しい靴ある?」
 
 2問目です。写しなさい。

 「二.あにがくるまでまっている」と板書した。

 「あー」と頷いたり,「わかった」などと言ったりする子どもたち。

 この文も2通りの読み方,意味がありますね。
 先程と同じようにノートに書きなさい。


 机間巡視した。
 1人1人のノートを確認し,褒めながら巡視していった。
 
 2名に発表させた。
「A:兄が来るまで待っている」
「B:兄が車で待っている」
 
 先程聞いたとき,漢字を使いたくないという人がいましたが,漢字を使わないとどちらの意味なのか分からなくなってしまう場合があるのです。平仮名だけの文では意味が伝わらないのです。

 ここまでがウォーミングアップ。本題はここからである。

新出漢字の指導

2011-01-15 00:03:47 | 国語
 1月12日の国語の時間,「今度から漢字スキルの新しい漢字は,先生ではなくみんなが教えることとします。次のように割り振ります」と言って,子どもに漢字を割り振っていった。

 そして,「間違って覚えてしまった友達がいたら,それは教えた人のせいかもしれません。責任を持ってしっかり教えなさい。担当になった人は,その漢字について聞かれたら,何でも答えられるようにしておきなさい。例えば,漢字の成り立ちとか,意味などです」と投げ掛けた。

 次のようにさせる。

 ①漢字スキルに出ている熟語,部首などを読ませ,他の児童が追い読みをする。
 ②黒板に書いて,筆順を確認する。他の児童はそれに合わせて空書きする。

 ①の部分はこれまでも子どもたちにさせてきた。
 だから,新しいのは②の部分だけである。

 新出漢字といっても,残り19字しかないし,読みについてはほとんどの子が既に読めるようになっている。

 14日に新方式1回目の漢字学習を行った。

 Mさんは「昭」という漢字の成り立ちを調べてきて,発表した。
 Rさんは「和」という漢字の4つの意味を調べ,それぞれの熟語をノートにメモしてきていた。
 2人の子がこのように調べてきたことは,2人だけの功にはとどまらない。
 波及効果として,次回の子もしっかりと下調べをしてくるはずである。

 このように子どもに指導させる方式の優れている点について,野口芳宏氏は次のようにいう。

 ①子どもに指導させる方が集中する。
 ②発表する子の方も真剣になり,自学自習の訓練にもなる。
 ③発表する子にとっては発表練習の場となる。
 ④少なくともその子にとっては,割り当てられたその1文字に対する完全習得が期待できる。
 ⑤このような指導法を続けていると漢字に対する関心が高まる。

  野口芳宏著作集『鍛える国語教室5 言語事項の指導と教育評価』(明治図書)P.106~107

「うとてとこ」の研究授業を終えて 2

2010-09-25 23:53:56 | 国語
 話し合いによってグループの代表の意見が出揃った後,教師とのやりとりの中で更に適否を検討していった。
 この場面では子どもとの問答を通しながら,おかしいと思う意見に「×」をつけていった。
 この「×」をつけた場面が,あまりにもズバッと斬り過ぎるのではないかという意見をいただいた。

 話し合いの結果,黒板に出た意見は,次のものであった。
・にくじゃがつくる
・あるいてく
・あしあるく
・あそびます
・いもをにる
・いためます
・なべがなる

 「おかしいと思うものはないか」と問うた。
 すると,「歩くときにトコトコとはいうけれど,コトコトとはいわない」という意見があった。
 子供たちもそれに賛同したので「あるいてく」「あしあるく」は「×」となった。
 決して私が一刀両断したのではない。子供たちも納得したのである。

 しかし,検討会では「靴がコトコト鳴るのではないか」「下駄をはいたら音が鳴るだろう」などという意見もあった。

 「にくじゃがつくる」も音数が合わないからという理由で「×」にしたのだが,「『にくじゃがつくる』でもリズムはいいではないか」という批判があった。

 要は,子どもが一生懸命作り,話し合って出した意見なのに,かわいそうではないかというのである。

 たしかにそうかもしれないが,間違った解釈をそのままにして,「いろいろな意見が出てよかったね」などと,曖昧にしたまま授業を終えようという考えは毛頭なかった。

 有無を言わさず一刀両断に処したように見えたのであれば,私の指導法が悪かったのであろう。
 しかし,曖昧にせず,明白に決着をつけるべきという考えは,決して間違ってはいないと思っている。