Catch Ball

修業の時計を止めない教師でありたいです。

体育授業の改善による運動感覚づくり

2010-07-22 23:07:28 | 体育
 本日,勤務校で学校保健委員会が行われた。
 勤務校の学校保健委員会は,校長,教頭,教務主任,保健主事,養護教諭,給食主任,栄養士,体育主任,学校医,PTA役員,そして全職員と希望する保護者が参加する。
 これまで私がいた学校では,全職員が参加したり,保護者に公開したりするなどということはなかった。職員の研修を兼ねているとのことである。

 私は体育主任の立場から,体力・運動能力調査の結果と,体力向上のための手立てについて述べた。

 体力向上のために私たちができることは,まず何といっても体育授業の工夫である。
 経験が不足している子どもたちが多いのであるから,体育の授業の中で様々な動きづくりをしていくことが大切である。

 そこで私が提案し,先生方にお願いしたのは,体育の時間で毎回,10~15分の運動感覚を養う活動を取り入れてほしいということである。

 毎時間,準備運動的に帯単元として取り組むことによって,運動の基礎感覚が身についていく。
 体育係の子どもたちが前に出て,ストレッチなどの準備運動を行っているクラスを目にする。それはそれでいいが,そのあとに教師主導での多様な動きづくりを行っていってほしい。

 運動感覚としては,リズム感覚,腕支持感覚,逆さ感覚,投感覚,平衡感覚を取り入れたプログラムを提案した。

 このプログラムを行えば,すぐに体力が向上し,動きがよくなるというものではない。すぐに体力・運動能力調査に結果が反映されるというわけではない。

 もとにしたのは福島県教育委員会の制作した「運動身体づくりプログラム」と,私のTOSS体育などからの学びである。

 全職員がいる前で提案したのだから,実行されていく可能性は大きい。
 ただ,今回は運動プログラムを記した文書のみでの提案であったため,まだイメージできていない先生もいる。
 福島県教育委員会の制作したDVDがあるので,今後映像も紹介し,誰もが取り組めるようにしていきたい。

短なわ スキップ跳び 2

2010-07-18 12:48:15 | 体育
 太田昌秀氏のスキップ跳びの指導の手順は次の通りである。
 
 「足を前後に開いて立ち,ゆっくりその場跳びをしなさい」

 なわを持たないで,足の動きを練習する。
 「トン・トン・トン・トン」とリズミカルに行うことと,足の裏全体を床につけて行うことに留意する。

 「足を前後に交互させながら,その場跳びをしなさい」
 
 リズムが上手にとれるようになるまで練習する。

 「そのまま前に移動しなさい」

 「スキップ跳びをしなさい」という指示をしなくても,足の交互のリズムがいつの間にか「トトーン・トトーン」とスキップのリズムに変わり,スキップ跳びとなる。

 「ももを高く上げなさい」

 慣れてきたら前に出す足を高く引き上げるようにしていく。
 

 スキップ跳びのバリエーションとして,宍戸威之氏は次のものを挙げている。

(1)後ろスキップ跳び
(2)あやスキップ跳び
(3)交差スキップ跳び
(4)なわ1本での2人跳び
(5)なわ2本での2人跳び
(6)なわ3本での3人跳び
(7)音楽に合わせてスキップ跳び

 これらを学習カードにして示せば,できた子の次の課題も明らかになり,授業のシステム化ができる。

【参考文献】
『楽しい体育の授業』2000年11月号石橋健一郎氏論文
同2001年2月号渡辺喜男氏論文
同2003年12月号寺本聡氏論文
同2006年11月号宍戸威之氏論文

短なわ スキップ跳び 1

2010-07-17 12:44:34 | 体育
 短なわのスキップ跳びに至るまでの指導の手順について,寺本聡氏は次のようにいう。

(1)なわ無しスキップ
(2)両足1回旋2跳躍跳び
(3)片足1回旋2跳躍跳び(左右)
(4)片足交互1回旋2跳躍跳び
(5)片足交互1回旋2跳躍跳びで前に移動する
(6)移動を「大きく」して行う
(7)移動の時のリズムを「トーント・トーント」で行う
 
 ポイントとして「大きく」ということを挙げている。この「大きく」の要素として,

(1)なわを大きく回す
(2)前への移動を大きく行う
(3)上方への動きを大きくする

の3つを挙げている。

 上越教育大学教授の太田昌秀氏は,

 なわの回旋スピードはいつも等速で回転しているのではなく,ジャンプしているときはフルスピードでなわが回旋し,足が地面についている間はブレーキが掛かり,ゆっくりと回旋している。これは,回旋技術の中で最も大切であり,なわを速く回すことのみに注目するのではなく,なわをゆっくりと回す練習も大切である。

と述べている。

 この点が寺本氏のいう「なわを大きく回す」「前への移動を大きく行う」のポイントにつながっていく。

 練習法としては「なわとび走」がある。
 なわとびをしながら走れば,1回旋の中で2歩,3歩と走るために自然とブレーキが掛かる。リレー化していくと,楽しみながら技能が身についていく。

 次に「ケンケン跳び走」である。
 足は左右好きなところで変えてよいし,2歩ずつ入れ替えるようにしてもよい。やっているうちにスキップ跳びになる子が出てくる。この動きによって「上方への動きを大きくする」というポイントに触れることになる。

大きい数のしくみ 2

2010-07-10 23:58:47 | 算数
 東京書籍『新しい算数3下』P.3の挿絵を示す。

 木村重夫氏は『向山型算数教え方教室』2007年4月号で次のように書いている。

 私の指示はこうだ。

 A「魚の数を数えましょう」

 違う言い方もあった。(B)

 B「魚は何びきいるのかな」

 どちらも同じか,違う。どちらがよいか。
 Aは,「やること」を明示した指示だ。
 Bは,「たくさんいる魚の数」を問うている。子どもにとって自然な問いはどちらだろう。後者だ。


 これを参考にすると,指示は「入場券の数を数えます」ではない。次のようになる。

「入場券は何枚あるのでしょうか。教科書に数字を書いてもいい。図を書いてもいい。『何枚』と書いて持ってきなさい」

 ここは算数的活動の場面である。

「1000の束を10個,丸で囲みなさい」

というような指示からいきなり入るのは,逐一指導にはならないだろうか。

 2004年9月号で向山氏は次のように言う。

 子どもは混乱していいんだ。混乱するのも大切な学習なのだ。
 いつも,いつも温室で育ててはいけない。


 ここで子供たちが混乱しそうなのは何か。1000の束である。
 100の束が1つ,10の束が5つ,ばらが3枚で混乱する子はいない。
 1000の束が24ある。これをどう数えればいいのかで混乱するのである。
 
 もちろん初めから10ずつ囲んで24153解正解を出す子もいるだろう。
 しかし,114153などと答える子,全く分からないという子も出てくる
 
 混乱するからこそ学び甲斐がある。
 分からなかったことが分かるようになったからこそ,向上的変容を実感できる。
 
 一通り活動させた後で,
「1000の束を10個,丸で囲みなさい」
と指示する。
 教師も一緒に板書して示すことで,配慮の必要な子への視覚支援になる。
 
「1000の束が10個でいくつですか」

既習事項であるから「一万」と答えられる。

「絵の下に『一万』と書きなさい」

 「一万」が2つできる。

「一万と一万でいくつですか」

 二万であることが理解できる。

大きい数のしくみ 1

2010-07-09 22:55:44 | 算数
 『向山型算数教え方教室』10月号の原稿依頼を受けた。同誌の原稿執筆は9回目であるが,2006年9月号以来で4年ぶりとなる。
 依頼を受けたテーマは「学年別10月教材こう授業する」の「小3 大きい数のしくみ 『習得型』授業の組み立て&ポイント」である。

 木村重夫氏のサイトに「大きい数のしくみ」の単元の基本型一覧が載っている。http://www1.ocn.ne.jp/~shigeo/3--58.htm

【1】数字から漢数字へ

 基本型はこうである。

 2 4 1 5 3  
 万 千 百 十 一
二万四千 百五十 三

 最初に数字を1マスおきに書かせる。次に位を1マスおきに書かせる。数字と位が縦にそろう。
 これを縦に読めばよい。

 途中に0が入っても応用可能である。

 6 2 0 3 0  
 万 千 百 十 一  
六万二千  三十


【2】漢数字から数字へ
 
 基本型はこうである。

 万 千 百 十 一  
五万七千二百九十 一  
5 7 2 9  1

 0が入る場合はこうなる。

 万 千 百 十 一  
四万五千九百      
4 5 9 0 0   


 万 千 百 十 一  
三万    七十    
3 0 0 7 0

 これはすんなりとはいかないだろう。0の書き落としが多くなることが予想される。
 このような場面では,教師がわざと間違えるという教育技術がある。間違うことで子どもたちの関心を引き付け,思考を活性化させる。

3年 浮く・泳ぐ運動

2010-07-06 23:25:37 | 体育
 第3学年の体育で「浮く・泳ぐ運動」の指導を行っている。
 「水遊び」の段階から水泳に移行していく時期である。
 そのため,水遊び的な内容も交えて指導している。

 今のところ,概ね次のような流れである。

(1)プールサイドに腰掛けて,脚バシャバシャ20回。
(2)体に水を20回掛ける。
(3)手で水をすくって顔洗い20回。
(4)隣の人の顔に20回水を掛ける。
(5)入水し,大股で向こう岸まで歩く。すれ違ったときに,お辞儀をして(顔を水につけて)「こんにちは」とあいさつする。
(6)すれ違った人に水を掛ける。
(7)バブリング10秒×5回
(8)ボビング20回
(9)2人組でじゃんけんおんぶ10歩。
(10)じゃんけんをしてスーパーマンのマント(おんぶで足をブラブラ)
(11)じゃんけんをして股くぐり
(12)少し離れて股くぐり
(13)だるま浮き10秒
(14)壁を蹴ってけ伸び(3本目のラインを目標に)
(15)底を蹴ってけ伸び(ラインから壁に向かって)
(16)バタ足(4本目のラインを目標に)
(17)面かぶりクロール
(18)呼吸しながらのクロール


 厳密には区分できないものもあるが,(1)~(12)までが水遊びの内容,(13)~(15)までが浮く運動,(16)~(18)までが泳ぐ運動の内容といえる。

 習熟度別のコースに分けるのではなく,3クラス合同での一斉指導で行っている。
 若干名水慣れが必要な児童がいるが,その子たちを他の先生が個別指導している。

 今日で,今年度6回目の指導であったが,多くの子が(17)までついてきている(自己流の「なんちゃってクロール」のような子も多いが…)。

 1つ1つの運動についての指導はしていない。考え方としては向山型水泳指導に近い。
 「やっているうちにできるようになる」「真似しているうちにできるようになる」というものである。

 今のところ,発問は1つだけである。
 「バタ足のとき,膝は曲げたほうがよいか,伸ばした方がよいか」というものである。
 挙手して予想させ,実際に泳いで比較させた。
 曲げたときは4本目のラインを越えたのが10名だったのに対し,伸ばしたときは31名がラインを越えた。
 このことから,バタ足の際は膝を伸ばすとよいことに気づかせていった。

 向山型指導を基本線としながら,発問も入れて知的な体育授業にしていきたい。

プロの教師を目指して

2010-07-04 21:49:46 | 教師修業
 6月26日,「第5回 杜の都のTOSS体育セミナー 2010」が行われた。
 講演「根本流!夢の実現方法~念ずれば花ひらく~」の中で,根本正雄氏が「高浜第一小のプロ10カ条」を示した。
 次のような内容である。

プロの教師を目指して
~高浜第一小のプロ10カ条~
第1条 プロはいいわけをしない。
第2条 プロは涙を見せない。
第3条 プロは締め切りを守る。
第4条 プロはすぐに動く。
第5条 プロは最後まであきらめない。
第6条 プロは弱音をはかない。
第7条 プロは人に相談する。
第8条 プロは人のよいところを盗む。
第9条 プロは計画を密にする。
第10条 プロは結果を形にする。

 2009年4月1日に学校の先生方に提示したものであるという。セミナー等で公開されるのは,おそらく初めてではないだろうか。

 これらの内容は,根本氏の人生観,教育観を反映しているものであると思う。
 根本氏自身がそのような生き方をしてきたのである。
 それだけに説得力がある。
 言葉に力が宿っている。
 この10カ条を胸に刻んで,これからも更に充実した教師人生を送っていきたい。
 そして,根本氏のようなしっかりとした人生観を構築していきたい。