Catch Ball

修業の時計を止めない教師でありたいです。

杜の都セミナーでの模擬授業 2

2008-09-21 00:42:21 | 教師修業
 根本正雄先生からいただいた講評は次のとおりである。

・いい授業であった。
・「習得」として短なわ(前とび,後ろとび,二重とび)と長なわ(8の字回旋)を行った。
・「活用1」として短なわと長なわを合わせて行った。1回旋2跳躍で10回跳ぶ。
・「活用2」として,いろいろな種目で跳ばせていた。
・長なわとびでは,回し手の技能の習得が大切である。
・「どんな工夫をしたら跳べるかな」という発問で,論理的な思考が促される。話し合いをさせることで,コミュニケーション能力もつけさせることができる。
・「跳んでいる人の足の速さに合わせる」という意見があったが,「足の速さ」というところを「リズム」に置き換えてあげるとよかった。
・習熟させる方法として,チームの得点を意識させたのはよい。
・集団化・得点化することによって,次の時間への課題を提示していたのはよい。

 前日の検討時とは違い,肯定的な批評をいただいた。
 前日に「私のコメントがどのように変わるかに注目してください」と根本先生はおっしゃっていた。

 ここに根本先生の思想を見ることができた。
 公衆の面前での批判はしない。よいところを引き出し,評価していくのである。

 セミナーの場で,根本先生から否定的・批判的な講評を今まで聞いたことがない。いつも,肯定的・建設的な分析をし,講評されるのである。

 根本先生の人間性に深い感銘を受けた。

杜の都セミナーでの模擬授業 1

2008-09-20 23:17:16 | 教師修業
 9月15日,「第3回杜の都のTOSS体育セミナー2008」を開催した。参加者は事務局を含めて42名と,ますまずの盛会であった。

 私は「リズムを合わせて長短とび」の模擬授業を行った。

 前日に根本先生からいただいた指導をもとに,最初に短なわとびから行った。
 前とび1回旋2跳躍,1回旋1跳躍,あやとび,後ろとび,二重とびを行った。
 これにより,参加者が短なわとびには習熟していることが確認できた。
 
 続いて,長なわとびである。
 「8の字とびをします。連続20回跳べたら合格です」と指示したにもかかわらず,子役の先生方が行ったのは0の字とびであった。指示どおりに行っていないのだから,本来なら活動を止めるところであるが,今回はそのまま流してしまった。
 
 この長なわとびには問題があったと思う。
 ここで私が見なければならないのは,長なわとびができるかどうかではない。20回跳べるかどうかは,どうでもいいのである。
 重要なのは,回し手である。回し手が跳び手に合わせてなわを回旋させることができるかということが,私の見るべきポイントだったのである。
 回し手が技能を習得しているかどうかが,長短とびの成功に関わっているのである。

 本当はグループに分けて,回し手を交代しながら長なわとびの練習をさせるべきだった。それなのに,授業では回し手の1人を私が行ってしまった。これは何の意味もない。

 「みんなが短なわとびも長なわとびもできることが分かったので,今日は2つを組み合わせた新しい跳び方に挑戦します」と言って,長短とびに入った。

 「どんな工夫をしたら,上手に跳べるだろうか」という場面で,次のような意見が出された。

(1)声を出して数える。
(2)中の人に合わせて外の人が回す。
(3)跳んでいる人の足の速さに合わせる。
(4)中の人が外の人を見る。
 
 拡散的な発問であるから,様々な意見が出た。
 ここから集中的な発問で絞り込んでいく。
 特に問題は(2)と(4)とで,相反する意見が出ていることである。この2つを検証させた。
 
 すると,案の定,どちらでもできるというグループもあった。
 ここで前日に根本先生に教わった消去法を用いた。二重とびでの長短とびをさせたのである。これによって,(4)の意見はつぶされていった。

杜の都第33回例会 2

2008-09-19 00:00:39 | 教師修業
 教師の望まない解が子どもから出された場合はどうするか。
 長なわに合わせるのか。短なわに合わせるのか。どちらでもできてしまうという場合,どうすればよいのか。

 根本先生は「消去法」を提示した。教師の望まない答えをつぶすのである。

 例えば,ダブルダッジはどうであろうか。ターナーがジャンパーに合わせてあげなければ,跳ぶことはできない。1年生ではジャンパーがターナーに合わせるなどということはまず不可能である。

 長短とびも同じである。1回旋2跳躍の前とびなら,どちらの方法でもできてしまう。では,技のレベルが一気に上がって,二重とびになったらどうであろうか。二重とびをしている人が,長なわに合わせるなどということが可能であろうか。これは非常に難しい。二重とびのリズムに合わせて,長なわを回さなければ成功しない。

 このように極端な例を出して,望まない解をつぶしていくのである。
 これが論理的な思考につながっていくのである。論理的な思考で大事なのは,科学的な原理・根拠を説明できることである。「どちらでもいい」などというのは,非論理的である。
 
 このあたりの手法,あるいは教育観は,野口芳宏先生と根本先生に共通していることであると感じた。

 また,このような授業の流れでは,子どもはできるようにならないとも指摘された。

 私は,時間の都合もあって,いきなり長短とびの練習に取り組ませたが,飛躍があるというのである。
 はじめに短なわでの様々な技,長なわでの8の字回旋に習熟させた上で,長短とびに移っていく流れを指導された。

 習得・活用の考えが私と根本先生では違ったのである。

【太田】         
習得   ・長短とび(前回し)    
活用   ・長短とび(いろいろな技で)  
     
【根本】
習得   ・短なわ・長なわ8の字回旋
活用1  ・長短とび(前回し)
活用2  ・長短とび(いろいろな技で)


 根本先生の指摘は,大変納得いくものであった。
 指導いただいた内容をもとに,帰宅後,指導案を練り直した。

杜の都第33回例会 1

2008-09-18 23:55:02 | 教師修業
 9月14日,TOSS体育サークル杜の都の第33回例会を泉区中央市民センターで行った。翌日のセミナーのための最終検討会である。

 TOSS体育代表の根本正雄先生が参加された。セミナーの授業検討のために,サークルの例会に足を運ぶのは初めてであるという。非常に光栄なことである。

 私は長短とびの模擬授業を行った。
「長なわを回す人が短なわのリズムに合わせてあげたほうがよいか。短なわの人が長なわに合わせたほうがよいか」と発問した。
 この授業の主発問であり,論理的思考力をつけさせる重要な場面である。
 私の解は「長なわを回す人が短なわに合わせる」である。

 ところが,子役の先生方から予想外の反応が返ってきた。「どちらでもできた」というのである。

 このように答えられて,私はどうまとめたらよいか分からなくなってしまった。自分の解に対する自信が揺らいだのである。
 それで,「先生もどちらだか分からなくなってしまった。先生が研究したところでは,長なわの人が合わせてあげたほうがいいということです」という何とも奇怪な解となってしまった。

 また,「長なわを回す人はどこを見て回すとよいでしょうか。A.回す人の手 B.なわ C.足元」の発問でも,同様であった。
 子役の反応が分かれ,「どれでもできる」という感じになってしまった。

 この模擬授業に対して,根本先生から次のような指導をいただいた。
 次のような内容である。

・向上的変容を保障するのが授業である。
・「先生もどちらだか分からなくなってしまった」などというのでは,授業をする資格はない。教師の指導観がぶれていては,授業はできない。教師に対する信頼が失われる。
・先生方相手の模擬授業だからどちらでもできたのである。子どもを対象にしたときのことを考えなければならない。
 
 大変厳しい指摘であり,私は打ちのめされてしまった。
 しかし,反論する余地はない。
 根本先生の指摘が,的を射ているからである。

「第3回 杜の都のTOSS体育セミナー 2008」のご案内

2008-09-13 23:07:11 | 教師修業
第3回 杜の都のTOSS体育セミナー 2008
新しい学習指導要領への提言!習得・活用・探究型の体育授業!

 7月26日の「TOSS体育全国セミナーin東京」,8月8日の「TOSS体育東北フレッシュセミナーin山形」において,根本正雄氏から新しい学習指導要領に対応した授業のポイントが示されました。
 そのポイントを机上の論理ではなく,実際の授業を通して学ぶことができます。最新の情報を手にいれることができるセミナーです。

 また,村田斎氏の講座はTOSS・法則化の原点ともいえる「向山式跳び箱指導・完全版」です。向山式跳び箱指導法に隠された微細技術を学ぶことができます。TOSSにかかわる教師ならば,誰でも体感しておくべき内容といえます。

 子どもが熱中し,楽しく,知的な体育授業の真髄を味わうことができます。どうぞご参加ください。

1. 日時   2008年9月15日(月・祝) 10:30~16:10

2. 会場   グランディ21(宮城県総合運動公園)ホットハウスサブアリーナ
         〒981-0122 宮城県宮城郡利府町菅谷字舘40-1
         TEL:022-356-1122 FAX:022-356-1123

3. 講師   根本正雄氏(日本体育教育技術学会会長・TOSS体育代表)
        村田斎氏(TOSS中央事務局)
        高橋薫氏(TOSS宮城代表)
        西野一葉氏(TOSS中学ひまわり代表)

4. 主催   TOSS体育サークル杜の都
   共催   TOSS宮城

5.参加費  7000円 (学生3500円)

6.内容

 10:00~      受付
 10:30~10:45  準備運動

■第1部 模擬授業道場
 新卒教師からベテラン教師まで誰でも納得!模擬授業への介入・コメントで授業のポイントが見えます!
 10:45~11:00 模擬授業道場1(村山浩康氏)「スペース発見!3on2 バスケットボール」
 11:00~11:15 模擬授業道場2(曽根田達浩氏)「多様な動きをつくる運動遊び」
 11:15~11:30 講評(根本正雄氏)

 11:40~11:55 模擬授業道場3(岡拓真氏)「ハードル走(高学年~中2)」
 11:55~12:10 模擬授業道場4(布川真二氏)「めざせ!かけっこ・リレー名人~作戦が勝負を左右する宝運びリレー~」
 12:10~12:25 模擬授業道場5(太田健二)「リズムを合わせて長短とび」
 12:25~12:40 講評(根本正雄氏)

■第2部 TOSS授業技量検定(D表)
 授業技量検定は子どもにとってより価値ある教師になるための道標です!
 13:30~13:35 検定模擬授業1(岡麻知子氏)「引っ張る運動で体力アップ」
 13:35~13:40 検定模擬授業2(山口俊一氏)「リレー バトンパス~運動会前のとっておき~」
 13:40~13:45 検定模擬授業3(齋藤貴裕氏)「表現 あたまで握手」
 13:45~13:50 検定模擬授業4(又井裕一郎氏)「バスケットボール」
 13:50~13:55 検定模擬授業5(堀健一氏)「体ほぐしの運動 歓声が上がり,仲間作りができる棒を使った運動」
 13:55~14:15 検定結果発表・講評(村田斎氏・高橋薫氏・西野一葉氏)

■第3部 TOSSの原点!向山式跳び箱指導・完全版
 TOSS中央事務局の村田斎氏による講座です。跳び箱は誰でも跳ばせられる!
 「知っている」が実は「知っているつもり」だった?跳び箱指導の奥深さを学ぶことができます!
 14:30~15:00 模擬授業・講座「向山式跳び箱指導・完全版」(村田斎氏)

 (1)向山式跳び箱指導の正しい指導法(我流の排除)
 (2)A式,B式で跳べない子の指導
 (3)跳べる子に対する指導
 (4)向山式を使わなくても跳べるようにする指導のポイント

■第4部 根本体育の真髄
 誰でもできる楽しい体育授業を目指した「根本体育」を伝授していただきます!
 コミュニケーション能力や論理的思考力を重視した新学習指導要領に対応した最新の内容です。
 15:15~16:05 模擬授業「言語力を育てるサッカーの授業」(根本正雄氏)
 
 「TOSS体育全国セミナー」「TOSS東北フレッシュセミナー」では低学年向けの内容でしたが,今回は一部内容を変えた高学年向けのものを提案いただきます。


7.申し込み先
 事務局  齋藤貴裕
  ta19750107@yahoo.co.jp
  ℡ 090-4633-3281  FAX 0223-34-8975