現像処理を終わったフィルムは、普通の現像ではなく反転現像です。
現像直後で水に濡れたフィルムの映像は,ポジ(陽画)で見えます。
被写体は普通の風景でしたが,陽の当たる明るいところは,
少し赤味を帯びています。
陽の当たらない影の部分は青い影になっていました。
影の部分は北側の青空からの反射ですから、
色温度が高いのでそれが正直に写ったのでしょう。
風景を撮影するとき,構図を考えて被写体の色彩を見て写真を撮ります。
風景の影の部分を見ても青くは見えません。
それが写真になると、影の部分が青く写るのです。
人間の眼は完全自動の脳髄で、色温度の補正をやってしまいます。
昼間の高い色温度の太陽光から,
夜の室内でタングステン電球の低い色温度も、眼は調節してしまいます。
昼間見る白い紙は夜の電球の下でも,同じ白い紙に見えます。
従って,人間の眼には分からない,被写体を照らしている明かりの色温度を
フィルムの側から計らなくてはなりません。
そこで、色温度計(しきおんどけい)が出てきます。
また、人間の眼は,明るいところではまぶしいので虹彩を絞って
光量を調節します。
また映画館の中のように暗いところでは,
虹彩を開いて座席が見えるようになります。
人間の眼は明るさを自動で露出を調節してしまいます。
融通の利かないカラーフィルムの露出に,
フィルムの側からの「露出計」が必要になります。
… … …
白黒フィルムの場合は,露出にある程度融通がききましたが、
露出範囲の狭いカラーリバーサルフィルムの場合は,
「露出計」を使わざるを得なくなりました。
長年の勘と経験で仕事をしてきたプロもカラーに関しては
バカにしていた「露出計」を使わざるをえなくなりました。