大きなパネル張りのモノクロ作品が展覧会場に並ぶとなかなか壮観です。
絵画の展覧会はパネル(キャンバス)の油彩を額に入れて飾りますが,
写真の展覧会は,パネルのみで並べます。
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世の中にだんだんとカラー写真があふれて、
カラー作品が展覧会に並ぶのも時間の問題となってきました。
モノクロ写真は水に浸かると膨張するバライタ紙の印画紙でした。
カラー印画紙の材質は,プラスチックの
RC(レジン・コート)ぺーバーでしたから、
水を吸収しない印画紙でした。
カラー印画の作品は、印画紙が水で膨張しませんので,
パネル張りができません。
最初は,パネルに作品をテープで止めて,
画面に合わせて窓をくり抜いた灰色の厚紙を貼っていました。
しばらくこの状態が続きました。
当時のカラー作品は、リバーサルから印画紙のプリントを作っていました。
例、35㍉のリバーサルフィルムから、全紙のプリントを仕上げるのには,
オリジナルの35㍉リバーサル画面から4×5(しのご)判の
インターネガというのを作ります。
そのインターネガフィルムから、全紙判のプリント作品を
仕上げますから,
費用もかかって大変でした。
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その後、「チバクローム」というリバーサルから
直接にカラープリントができる画期的なものが出現して,
間のインターネガはとらなくてもよくなりました。
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プロの写真家の展覧会で、「インターネガ方式」で
作品を仕上げている人もいます。
カラー印画紙はRCベーパーですが,しばらく,
バライタのモノクロ印画紙が輸入品でしたが,
市販されていました。
一部の写真愛好家に
「やはりバライタ印画紙は、黒に深みがある」
と人気がありました。
モノクロ写真のRCペーパーは,水を吸いませんから、
現像処理後の水洗が簡単で、乾いたタオルで拭くと、
すぐに乾いて便利なものでした。
いつの間にか,モノクロ写真も含めて,印画紙はすべて
RCベーパーになってしまいました。
もう、パネル張りはできなくなりました。
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何時からか、写真の展覧会の作品の展示に、ガラスの入った,
額縁に入れて飾るようになりました。
中には,額縁のガラスを抜いて並べている展覧会もあります。
全作品,同じ造りの額縁で統一した展覧会もあります。