初心者の老人です

75才になって初めてVISTAを始めました。

渡辺邦男監督と「忠臣蔵」

2013年10月31日 19時09分25秒 | Weblog


撮影所が企画する映画に

フリーの監督さんは

撮影所と契約します



契約する条件として

いろいろあるでしょうが

監督とチーフ助監督の組で

契約するようです



監督、チーフ助監督以外の

制作スタッフの

撮影キャメラマン、美術関係などは

撮影所が別に用意します



早撮り監督として有名な

渡辺邦男さんの場合は

チーフ助監督、撮影キャメラマン(渡辺孝さん)

スクリプター女史の四人が

固定チームとして各撮影所と

契約していました



撮影所のセット撮影は

普通9時開始でしたが

渡辺邦男監督のセット撮影は

8時開始で夕方5時までそして原則、

残業無しの条件でした



撮影所長は制作スタッフを前に

渡辺邦男監督に協力して欲しい

の挨拶があって「忠臣蔵前後編」の

制作が開始されました。









続・渡辺邦男監督の中抜き

2013年10月30日 18時21分56秒 | Weblog


渡辺邦男監督の中抜き撮りは

徹底したものでした



前後編の大作で

前編と後編に同じセットが

出てくる場合は

前編、後編の台本2冊を

撮影現場に持ち込みます



そして、そのセットに

前編で出演のA俳優さん、B俳優さん

後編で出演のC俳優さん、D俳優さんを

集めます



「前編のシーン××の△△カット撮ります…

俳優Aさんお願いします」

… … …

次に

「後編のシーン○○の□□カット撮ります…

俳優Dさんお願いします」

とチーフ助監督がセットのスタッフに

告げます



渡辺邦男監督は勿論、大変ですが

チーフ助監督、撮影するキャメラマン

は頭を切り換えるのに大変です



なかでも俳優さんの持ち物(小道具)や

俳優さんの目線の方向などを

いちいち記録する

スクリプター女史が大変です







渡辺邦男監督の中抜き

2013年10月29日 18時45分32秒 | Weblog


どんな映画でも制作の過程で

台本の順番に撮っていくことは

まずありません



映画制作スタッフ、

映画俳優や映画に出演する

舞台俳優さんには映画は中抜きで

撮っていくことはわかっています



中抜きで撮っていくと

演技がバラバラになって

カットのつながりが

わからなくなってきます



監督さんの頭の中の

イメージにしたがって

中抜きで撮っていきます



監督さんによっては

中抜きの途中で

俳優さんの演技のためか

監督さんの編集の都合か

中抜きをストップすることがあります



ところが早撮りの渡辺邦男監督は

徹底して中抜き撮りを進めます










映画撮影で中抜き

2013年10月28日 21時05分09秒 | Weblog


居間のセットに俳優Aさんと俳優Bさんが

対面しています。Aさんのワンショット

Bさんのワンショットを撮るつもりです



Aさんの演技で台詞「××…」と

Bさんに問いかけますと

BさんはAさんに台詞「△△…」

と答える演技が続いていきます

… … …

それにはAさんの演技、Bさんの演技と

順番に撮っていけばよいのですが

… … …

そうすると撮影キャメラをAさんからBさんへと

何度も動かさなくてはなりませんし

キャメラを動かすと

照明も変えなくてはなりません

結局、準備に時間がかかることになります



そこでAさんのカットを撮り終えると

次のBさんのカットを飛ばして

その次のAさんのカットを撮ります

その次の次のBさんのカットをまた飛ばして

ひたすらAさんのカットを撮り続けます



このAさんのカットのみを撮る

手法を中抜き(なかぬき)で撮るといいます



Aさんのカットを撮り終えると

助監督の

「どんでんでBさんゆきます…」

の号令が飛んで

撮影キャメラの位置が変わって

照明を調節してこんどは残された

Bさんのカットを

次々に撮っていきます









続々・渡辺邦男監督

2013年10月27日 21時28分30秒 | Weblog


渡辺邦男監督は撮影で

俳優さんやスタッフを

鼓舞するためか

喜怒哀楽を現します

… … …

また、渡辺邦男監督は

早撮り監督として

映画界で有名です



映画を制作する過程で

台本通り順番に撮影していくのが

制作スタッフや出演する俳優さんには

わかりやすいですが



実際の撮影では建ち上がった

セットから撮影が

始まります



建ち上がったセットが台本の真ん中でも

極端にラストシーンのセットでも

そこから撮影が始まります



撮影初日が台本の真ん中でも

その日の仕上がりが映画全体に影響します

初日の撮影は特に疲れると聞いています



撮影直前に制作延期と

いうことがたまにあります

ベテランスタッフや俳優さんは

初日の撮影が済まなくては

わからないと云っています



撮影初日が済めば制作スタッフも

俳優さんもいよいよ制作が

始まったと実感します









続・渡辺邦男監督

2013年10月26日 20時34分15秒 | Weblog


忠臣蔵の浅野内匠頭切腹のシーンで

「内蔵助はまだか…」

を聞いた片岡源五右衛門の

香川良介さんはひざまずいて悲痛な声で

「いまだ参上仕りません…」

のワンショットのリハーサルが始まりました



この悲劇を演じる俳優、香川良介さんは

渡辺監督の涙を流すリアクションを

見て本番で悲劇的な演技が

余計に光ります



また、渡辺邦男監督は

俳優さんの演技が気に入ったときは

「カット…OK」

と、被っている帽子を

足元に投げつけるクセがありました



映画制作で中心となる監督さんは

制作スタッフや演技する俳優さんを相手に

スムースに制作できるように演技していることに

なります









渡辺邦男監督

2013年10月25日 20時55分51秒 | Weblog


舞台の俳優さんはその日の

観客に受ければ良いのですが

映画の俳優さんには観客がいません



その映画を演出している

監督さんに気に入られなければ

なりません



したがって映画に出演している

俳優さんは、監督のリアクションに

神経を集中します



監督さんによっては

「用意スタート…カット」と

撮り終えても

無表情な人もいます



無類の早撮りで有名な監督

渡辺邦夫さんの現場を思い出しました



オールスターキャストの大作

「忠臣蔵前後編」のセット撮影で

場面は散り始めた桜の下で

切腹、白装束の浅野内匠頭(市川雷蔵)が

片岡源五右衛門(香川良介)に

「内蔵助はまだか…」

「いまだ参上仕りません…」

の名場面でした







映画監督のリアクション

2013年10月24日 19時11分48秒 | Weblog


映画制作のスタジオでは

セットに俳優さんが並んでいます

それを撮影キャメラが狙います



俳優さんは撮影キャメラに

向かって演技をするのですが

キャメラマンはファインダーの

陰に隠れて操作しています



俳優さんはキャメラの横の

ディレクターチェアに座っている

監督さんに向かって

演技することになります



監督さんの

「用意…スタート」

の号令でカチンコが

「カチン…」

と鳴ります

… … …

俳優さんはこのカチンコの

「カチン…」

を聞いて一拍おいて

演技を始めます

… … …

再び監督さんの

「カット…」

の号令でワンカットの

演技が終わります



その時の監督さんが笑顔を

見せて「OK」と云えば

俳優さんはいまの演技で

良かったのだなと

ホッとします



俳優さんにとって監督さんの

リアクションで自分の演技を

判断します










続々・三隅研次監督

2013年10月23日 18時50分01秒 | Weblog


三隅研次監督は勝新太郎の「座頭市」シリーズ

市川雷蔵の「眠狂四郎」シリーズ

若山富三郎の「子連れ狼」(映画版)シリーズ

などを手がけます

… … …

三隅研次監督と、田中徳三監督、池広一夫監督の3人は

大映京都撮影所で「大映三羽烏」と呼ばれていました



主力監督の三隅研次さんは

低予算のプログラムピクチャーを

多く担当しました



大映倒産後、太泰で映像京都

立ち上げに参加します



劇場用映画を制作するかたわら

テレビ映画も多く手がけます

「木枯らし紋次郎」

必殺シリーズの「必殺仕掛人」

「必殺仕置人」など…



テレビ映画のタイトルに

三隅研次さんの名前がよく見られました



嵐電、帷子ノ辻駅近くの映像京都に

出かけた折、 撮影所内でスタッフの1人に

「テレビのタイトルに三隅さんの名前が見えないが…」

と聞きますと

「三隅さんは亡くなりました…」

ビックリして問いただすと

「肝臓を患って…」



映画人(カツドウ屋)に名うての酒豪が多い中

三隅さんは全く酒がダメで、甘いものが大好物だった

そうです。甘いもの好きで肝臓の病とはなんとも

お気の毒にと云っていました








続・三隅研次監督

2013年10月22日 18時04分55秒 | Weblog


三隅監督の長丁場のカットは途中で

NGが出て撮影はストップしました



長丁場の撮影でフィルムはかなり

回っています。長丁場の途中でNGとなれば

それまでの長いフィルムを捨てて

頭から撮り直すことになります



三隅監督はすぐにスクリプター女史と

打ち合わせをして

長丁場のNG部分のところから

最後まで撮りました



結局、その長丁場のワンカットは

2つに分かれたことになります

そして、インサートカットを撮り足して

折角の長丁場は、3つのカットを

編集で一本にまとめられました



三隅研次監督の制作態度を

撮影所内では「千切りカット」と

云われていました

短いカットの積み重ねで

完成させる手法です



三隅研次さんは職人肌の監督です

NGカットをなるべく出さないで

撮影をドンドン進めていきました