あるキャメラマンの
「映画の中で,監督ほど,悪い奴はいない…」
というボヤキが聞こえてきました。
… … …
クラシック演奏会のポスターの指揮者の名前を見て、
観客(ファン)は行くか行かないかを
決めるのでしょう。
同じように演劇でも,演出家の名前で,
劇場にお客が集まったり,集まらなかったり。
「お客の呼べる指揮者」
とか
「お客の呼べる演出家」
と言われています。
映画製作の中で,作品の善し悪しは,
監督の考えや演出によって決まります。
大入り映画(ヒット作)をつくる監督さんは
会社で大事にされます。
そういう監督さんは現場である程度,
思うようにスタッフ,俳優を動かせます。
ヒットを飛ばしている人気の俳優さんの
出ているスタジオの現場では,
その俳優さんが仕事の中心にいます。
… … …
監督さんは,自分の作品の構想のイメージを
スタッフに伝えます。
スタッフの仕事ぶりを見て,
「私のイメージとちょっと違うんだなあ…」
最初はいくら監督でも,
イメージが膨らまないときが
あるのかもしれませんが。
… … …
監督のイメージをまとめて映像にするのが
キャメラマンですから
狙いと、表現の違いから揉めることがあります。
キャメラマンの仕事は映像表現ですから,
具体的に画面で示します。
それに対して,監督さんは
「私のイメージとちょっと違うなあ…」
キャメラマンは
「ならどうすればよいのか…」
監督さんは
「私のイメージはなんと言ったらいいのか…」
と漠然と答えます。
… … …
冒頭のあるキャメラマンのボヤキにつながります。