カメラ・オブスクラというモノがあります。
原理は、ピンホールカメラと同じようなものです。
部屋と同じくらいのサイズの大きな箱を用意し、
片方に小さな針穴(ピンホール)を開けると
外の光景の一部分からの光が穴を通り、
穴と反対側の黒い内壁に像を結ぶというものです。
画家がこの箱の中に入り、壁に映った像を紙の上に描き移すことで、
実際の光景とそっくりの下絵をつくるという使い方がされた。
この原理はかなり古くから知られていたそうです。
私は,広重の『東海道五十三次絵』が好きです。
176年前、傑作といわれる『東海道五十三次絵』が生まれます。
この作品群は遠近法が用いられ、風や雨を感じさせる立体的な描写と言われています。
五十三次の絵を見ていますと,ワイドレンズで見たような構図や,
峠の家々が望遠レンズで撮ったように距離感を圧縮した絵があります。
彼は,このカメラオブスクラを知っていたのではないかと、
全く根拠はありません、
私が密かに想像しているだけです。
カメラオブスクラの壁に映った映像を何とか、この映像を固定というか、
記録する方法はないものかと考えられていました。
169年前にフランスのダゲールが 世界最初の実用的写真技法で
銀メッキをした銅板などを感光材料としていました。
日本語では銀板写真とも呼ばれていました。
… … …
絵画と違って,壁に映った風景を化学的処理で映像を固定するのですから,
絵画の自動記録と言えるかもしれません。
その後、銀板写真は,湿板写真(ガラス板に塗布した感光剤が乾かないうちに
処理する方法)から、乾板写真にそしてフィルム写真と進歩していきます。
最初は,感光材料の感度が低くて、人物撮影の場合は,瞬きは出来ない,
首に前から見えないような道具で,頭を固定するものがあったようです。