私の問いに答えてくれた
船員さんとすっかり、親しくなりました。
しばらく、その船員さんと一緒に
丸く見える水平線の大海原を見ていました。
はるか後の方に煙を吐くクリーム色の船が
小さく見えます…
親しくなった船員さんは
その船を指さして、
「後から出発した引き揚げ船で
アメリカ製、リバティ輸送船だ」
と云いました。
… … …
このリバティ輸送船は第二次大戦で
急造された輸送船でした。
エンジンはタービンを使わず
レシプロ・エンジンでした。
… … …
私に説明してくれた船員さんは
「あの小さく見えるリバティ船は
明日になればこの信濃丸を追い越して
はるか、先を走っているだろう…」
と云います。
そして、その船員さんは私に
「この信濃丸の機関室を見せてあげる」
… … …
機関室の扉を開けると鉄格子の階段が
船底に向かって延々と続いています。