
テレビ局に来て、不思議なことが
もうひとつありました。
… … …
私の働き場所はスタジオでしたが
仕事がないときは四階建て社屋の
三階フロアーに机の引き出し一つと
椅子が待機場所でした
… … …
広い三階フロアーを見回すと
編成局、放送部、報道部と
ニュース取材フィルム(16ミリ)現像・焼付暗室が
並んでいました
… … …
三階フロアーの壁にはテレビが5台並んでいて
左からNHK、毎日、OTV、関テレ、讀賣テレビ
と各テレビ局の放送が映し出されています
毎日、正午の全国ニュースやローカルニュースの時間に
なると、テレビの前は報道部の連中に占領されて
取材が同じだった項目の取り上げ方を見て
報道部の連中は喧喧諤諤でした

午後2時過ぎから夕方5時ごろまで
テレビ放送は休憩には入ります
広い三階フロアーに
生命保険の勧誘のおばさんと
輸入雑貨を鞄につめたおじさんが現れます

舶来万年筆やボールペン、アイデア文具など
を机の上に広げて局員に勧めています
テレビ局員の平均年令が二十代でしたから
おばさんに勧められて生命保険に入る
社員がいたのでした
このおじさんと、おばさんがどうして
テレビ局内にフリーパスで入ってくるのか
私には不思議でした
