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【高校数学のツボ】 内分と外分。

2015-05-05 23:52:50 | mathematics
座標の単元で内分点や外分点の公式を取り扱う。平面または空間の2点AとBとを結ぶ直線上にある内分点や外分点の座標を考えるので,方程式で表された図形を調べる単元でこれらの公式が出てくるのは自然なことではあるが,どちらかというとベクトルの単元で取り上げるべき題材であろう。なぜならば,内分と外分は「向き」を考慮に入れなければならないからである。本稿では内分と外分のベクトル的な取り扱いを紹介する。

平面もしくは空間に異なる2点A,Bがあるとし,A を始点,B を終点とするベクトル(矢印)を AB と記すことにする。

<内分>

線分 AB を m:n に内分する点 P の位置は,点 A を原点とする位置ベクトルで考えると,全体は線分 AB で,その長さの m/(m+n) 倍が線分 AP の長さに等しく,ベクトル AB とベクトル AP とは同じ向きであるから

AP=(m/(m+n))AB

となる。

他の点 O を位置ベクトルの原点に選んだ場合,

OP=OA+AP=OA+(m/(m+n))AB=OA+(m/(m+n))(OB-OA)

であるから,最右辺の式を展開して整理すればお馴染みの内分点の公式が得られる。

電車通学している人に向けてたとえれば,「内分は途中下車の旅」なのである。

<外分>

点 P は線分 AB を m:n の比に外分するとしよう。

■ まず,m が n より大きい場合を考える。このときの点の位置関係は

A--B--P

であり,

A から P へ「大きく行き過ぎて」,
P から B へ「小さく戻る」

という状況となる。これは寝ていて降りる駅を通り過ぎ,慌てて逆向きの電車に乗って戻るという「寝過ごし」である。

AP の長さが m,PB の長さが n に相当するので,AB の長さは m-n に相当する。また,ベクトル AP とベクトル AB は同じ向きである。したがって,

AP=(m/(m-n))AB

となる。そして

OP=OA+AP=OA+(m/(m-n))AB=OA+(m/(m-n))(OB-OA)=-(n/(m-n))OA+(m/(m-n))OB

が得られる。

なお,P から B へは「戻る」ので,ベクトル PB の向きは AB とは逆向きである。したがって,この外分は

正の向きに m だけ進み,負の向きに n だけ戻る

というような動きに対応する。そこで,比に負の数も許すことにし,

「点 P は線分 AB を m:(-n) の比に内分する」

と言い表すことにする。

■■ 次に,m が n より小さい場合を考える。このときの3点の位置関係は

P--A--B

であり,

始点 A から小さく m だけ戻ってから終点 B まで n だけ大きく進む

という移動の仕方になる。間違えて反対向きの電車に乗り,途中で気が付いて正しい向きの電車に乗り換えるというおっちょこちょいのケースである。

この場合も「小さく n 戻る」というのは -m だけ移動するというようにとらえ,

AP=-(m/(-m+n))AB,

OP=OA+AP=OA-(m/(-m+n))AB=OA-(m/(-m+n))(OB-OA)=(n/(m-n))OA+(-m/(-m+n))OB

のようになる。点 P は線分 AB を -m:n の比に内分するというわけである。


このように,外分の場合は,比の大きい方の値の分だけ「進み」,小さい方の値の分だけ「戻る」のだから,大きい方の値はそのままで,小さい方の値は負号をつけて内分の公式にあてはめる,と覚えれば記憶しやすいだろう。

そして,ベクトルの内分の公式をしっかり覚えていれば,それを成分ごとに適用するだけで座標版の内分・外分の公式が得られる。こういった互いに関連の深い公式はしっかり結びつけて記憶するのが望ましい。
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