担当授業のこととか,なんかそういった話題。

主に自分の身の回りのことと担当講義に関する話題。時々,寒いギャグ。

<読書感想文08002>「となりのクレーマー」

2008-01-11 15:50:04 | 
関根眞一著,となりのクレーマー 「苦情を言う人」との交渉術,中公新書ラクレ244,2007.


年始に本屋で見かけ,気に入って50ページほど立ち読みた。
その後図書館で借りて読み終えた。
どうやらドラマ化もされるほどの人気らしい。

第一章がメインで,有名百貨店のお客様相談室長を務めた著者の体験談が語られる。
苦情処理は「人間学」である,という著者の言葉通り,そこには様々な人々が登場する。

事例に基づいて書かれているので,それこそドラマを見ているような感覚ですらすら読める。文体は丁寧で非常に読みやすい。
クレーマーとのやり取りは,極めて高度な駆け引きである,というのが率直な感想である。

苦情係は,人の感情を逆撫でする物言いが得意で,自己の感情をうまくコントロールする自信のない僕には到底務まらない,と思った。

この本には苦情への対処の仕方のコツが解説されているので,同じ悩みを抱えている現場の人たちには心強い支えになるかも知れないが,
本書を研究して苦情係の裏をかこうとするクレーマーが現れるのではないかということが心配ではある。

ともかく,自分のよく知らない業界の裏側を垣間見ることが出来てとても面白かった。

この本を読んで一番印象に残った一文を引用する。
定員がたった2円のお釣りを渡しそびれたため,社員に2円を自宅まで持ってこさせた L さんの言葉:

「たかが二円かもしれないが,これでも命がある。二円受け取りそこなっても,
たいした被害ではないが,お前の店では一〇〇〇円のものを九九八円しかないけど
売ってくれ,と言ったら売るのか!」

ごもっとも!これは記憶に値する名台詞だと感じ入った。

ちなみに,僕が学生時代に大手スーパーの日用雑貨売り場でバイトしていた時,客のクレジットカードを返しそびれるという失態を犯した。
上司がその客の自宅までカードを返しに行ったのだが,帰ってきてから僕に言ったのが,次のような意味の言葉だった。

「私の時給は2500円だ。カードを渡しに行くのに1時間くらいかかった。
その間私はこの店に貢献できなかったわけだから,店としては2500円の損失である。
こういう無駄な支出がかかるから,今後はこういう手間をかけさせないでくれ。」

思ったことは,この人は一日に二万円ももらっているのか,月収40万円なんだな,という驚きであった。

いわば僕は叱られたのであり,これがこの人のバイトの教育法だったのだろうが,今考えてみると言っている内容がどこかズレている。
スーパーなら,顧客第一のはずだ。
「カードがないとお客様の生活に多大な迷惑がかかる。だから今後は気をつけてレジ業務を行うように。」
というべきだったのじゃないだろうか。

振り返ってみると,このバイトでは,接客業としてお客を大切にする姿勢というものを学ぶことが出来なかった。
少なくとも二度は対応を誤って客に怒鳴られた。
近所だし,コンビニとかスーパーが定番だよな,と軽い気持ちで始めたバイトだったが,全く向いてないことを自覚しただけだった。

その後数年してこのスーパーは経営難になり,球団などいくつかの系列グループを手放すなどして経営再建を図るはめに陥ったのだが,
正社員がこういうことしか言えない体質だったのが問題だったのかもしれない。

あ,それとも,僕みたいな駄目バイトを雇っていたのが原因かも?
コメント (4)
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