英語と子育て

英語を通して子どもたちの夢をサポートするブログです

問題解決能力を育てる

2012-05-22 | 子育て
先週の土曜日は久しぶりの学会発表でした。

 所属している日本児童英語教育学会(JASTEC)の部支部研究大会で「インターナショナルスクール卒園生の言語力維持:エンパワーメントプログラムの効用」というタイトルでお話をさせていただきました。

 私のスクールでは、土曜日どっぷり英語漬けの「サタデークラス」と、平日2時間集中型の「インテンシブクラス」というイマージョンクラスがあり、インターナショナルスクールを卒園して小学生にあがった子どもたちが通ってきてくれています。日本の小学校へ進むと、それまで習得した英語を維持するのが大変です。かなりの努力も必要ですし、ご家族のサポートも必要です。

 それにもまして、子どもたちの英語学習へのモティベーションを保ちながら継続維持していくこと、そのために魅力あるカリキュラム作りと指導法を日々追求しています。今回はそうした内容をみなさんに聞いていただきました。

 私の発表の最後に、このプログラムの成果として、小学校4年生になったYくんに絵本を読んでもらいました。Yくんは昨年度のプレゼンテーションコンテストでも優勝しています。'Harry the Dirty Dog'という20ページある絵本です。

 この絵本をYくんはすべて暗記して読んでくれることになっていました

 1ページを読み始めて3行目でとまりました。

 「あれ??」とYくん。

 しーんとした会場から「ガンバレ」と声がかかりました。

 数秒だったと思いますが、その沈黙の時間は長く感じました。横で画面を操作していた私自身「どうしよう 」と思い、声をかけようとしたその瞬間・・・・

 'Excuse me. I'm going to start from the beginning.' (すみません、最初から読みます)とYくんは言ったのです 

 そして何事もなかったかのように、朗々と読んでいきました。 目を閉じればネイティブの発音。 聴衆に語りかけるような読みです。

 'Thank you.'と最後にペコリとおじぎした瞬間、拍手喝采  

本当に素晴らしい 



 その後、役員の方々と懇談で、みなさんが褒めてくれました。

 「すごいね、あの発音。それに読み方も素晴らしい」

 「でも、一番驚いたのは、自分でまた最初から読み始めたことだよね、それも英語でちゃんと断ってからさ」・・・・・そうなんです そこが彼は素晴らしかった。

 小学校4年生ですよ。普通、頭が真っ白になりますね。まわりからの声かけを待つでしょう。

 でもYくんは違いました。自分で考えて、問題を解決しました。

 

 夕方、スクールでお母様にお会いしました。

 わざわざお休みの日にご家族で学会に来てくださったこと、Yくんが本を読んでくださったお礼を述べました。そうしたらお母様がおっしゃいました。

 「本読みの出来は前の方がよかったと思うのですが、でも、あそこでとまって、自分でちゃんと考えて最初からやり直した、という行動に私は大満足です 


 レッスンでも様々な'problem'を取り上げて、それに対する'solution'を毎回ディスカッションしていますが、問題解決能力というのは一朝一夕では身に付かないものです。子どもたちに日常生活の中でたくさんの失敗を経験させて、そこから「どうしたら次回は失敗しないか」と考える力を育てることが大切です。

 それが「問題解決能力」であり、社会に出たら必須の力です。

 きっとYくんのご家庭はそういう姿勢をとられているのだと思いました。