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「グローバルな舞台に必要な力」とは?ー明石康氏の講演から

2012-02-05 | その他
もう3年も前になりますが、ニューヨークの「sesami workshop」(「セサミストリート」を制作しているところです)でプロデューサーをしているN氏を訪ねたことがあります。

 N氏は日本人ですが、ここ数年ニューヨークから日本人の留学生が消えていっている、「sesamiでもプロデューサーで日本人はボクだけになっちゃった」と言ってました。

 「的馬さん、骨のある日本人の若者を育ててよ」と言われて帰ってきました。

 「内向き指向の若者」という言葉が話題になっていますが、今の若者、いや、これから成長していく子どもたちにどんなことを教えていけばいいのでしょうか?

 先日京都の高校で国語を教えているMさんから興味あるレポートを読ませていただきました。彼女の高校に、元国連事務次長の明石康さんがいらっしゃって講演されたそうです。

以下Mさんからのレポートです。
いくつかの重要な指針が隠されています。

     


  明石康さんは1956年12月に日本が国連に加盟した直後、 日本人で初めて国連に採用されたが、当時、26歳。 東京大学卒業後、1955年に横浜からシアトルへと船で移動したわけが、 今よりも多大に時間がかかる船での移動も、色んなことを考え、たくさんの本を読みながらの 時間をかけての旅であり、決して時間の無駄ではなかったとおっしゃっていた。


講演会のテーマは「グローバルな舞台に必要な力」。
以下、彼の講演内容をまとめてみた。


政府がグローバルな人材を教育するにあたり、 昨年6月に明石さんを参考人として官庁へ呼んだそうだ。 明石さんを含めた委員会での話し合いで、 「グローバルな人材の条件」として三つの柱が挙げられた。

 コミュニケーション能力 (語学能力)
  自分の考えを持つこと、そして人の考えにじっくり耳を傾けること、それがコミュニケーション。

 チャレンジ精神
  問題が起きても、それにまっすぐ前向きに取り組む態度。
  一人でなく周りに相談し、チームワークを作り協調する、勇気、そして努力。
  ひとつの考えに固執せず、良い考えに柔軟する力。

 異文化認識 + 尊敬
  日本文化だけでなく、ほかの文化にも。


この他、明石さんが考えるグローバルな人材の条件には、 もうひとつ要素が挙げられるそうだ。

 限りない知的好奇心
  自分の世界だけに生きない。外国の政治や経済、文化等、様々なことに興味を抱く。
  メディア報道は相手を単純化し、偏った情報を伝えるもの。騙されるな。
  100%真に受けない、鵜呑みしない。果たして本当にそうなのだろうか、と疑問を抱け。

 また、日本人の語学力についてもこんなことをおっしゃっていた。

現在TOEFLのスコアを見ると、世界163ヶ国中、日本は135番目。アジア30ヶ国中、27番目。
日本人の語学能力が劣っているのではなく、学び方に問題があるのではないか。
外国人とコミュニケーションをとる機会が少なく、 また、知識を戦わせる場がないことが原因として考えられる。

最近の若者は、昔と比べて英語の発音は流暢な人が増えている。
しかし、内容が無いものが多い。
語学は発音ではなく、何を伝えるか、メッセージの内容が大切だ。
読む、書く、聴く、話す、四つの機能のバランスが大事であり、
自分の専門領域を英語で話し合えることのできる力こそが、必要なものである。

40年間国連にいたが、歴代の総長は全員訛りのある英語を話した。
しかし、彼らは98%自分の言いたいことを伝えることができ、
98%相手の言いたいことを理解することができる人たちだった。

アメリカ訛りで話すと、頭の中までアメリカ人だと思われがちである。
訛りをもって、訛りで話して、互いを分かり合う。訛りは個性である。

発音を練習する前に、内容のあることを伝えられるようになるべきである。
(ちなみに、明石さんは大学二年で始めて英語をネイティブから学んだ)

最近、グローバルな人材が少ないと言われている。
Virtualな世界(TV、インターネット、映画等)を通して、行ったことのない場所や、 見たことのないものまで、まるで経験したような気になってしまうようだ。
 しかし、自分で実際にその地へ赴き、絵葉書のような美しい景色でなく、 路地や生活感にあふれる場所で、地元の人に直接その地域について聞いてみたり、 話してみたりすることで、たくさんのことが見えてくる。

何事も、違うと思ってかかることが大切。
違うと思って同じ所を見つけると嬉しくなる。
同じと思って違う所を見つけると悲しくなる。

  明石さんは講演会の初めに、「グローバルな舞台」というのは、 どこか遠いところにあるものではなく、一人ひとりがすでに グローバルな舞台に立っている、とおっしゃっていた。
 物は国境を無視して動いており、お金、そして人の流れも盛んな今日。
 誰もが関わっている問題として、しっかりと考えていくことの大切さを、 改めて実感した講演会だった。

      

 いかがですか?

 「自分の考えを持ち、それを表現する」ということは簡単なことではありませんが、毎日の生活の中で実践できますし、何より人としての好奇心を高めることができます 

 まずは私たち大人から・・・・そして次世代の子どもたちに、この4つの条件を受け継いでいきたいものです。