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英語と子育て

英語を通して子どもたちの夢をサポートするブログです

英語脳ってなに?

2010-10-30 | 言語獲得
先日通勤途中で聞いたラジオのCMでこんなことを言っていました。

 「この‘スピード○○○○○’は聞いてるだけで英語脳を作り、英語をマスターすることができます」

 私「・・・・はあ??英語脳? なんじゃそれ?」

 結論から言って、脳科学の分野において「英語脳」というものは存在しません。

 でも「英語脳」と聞くと、なんだか英語がわかる脳のような錯覚をおこしそう。これは英語学習者にとってはとてもキャッチーな造語だな、と思いました。

 そこでちょっと「脳」の話

 人間には右脳と左脳があります。生まれた赤ちゃんは圧倒的に右脳が大きく、就学年齢に達する頃に大人と同じように、右脳と左脳が同じ大きさになります。

 このふたつの脳は働きが違います。

 「右脳」は‘アナログ脳’と言われ、音、リズム、色、匂いなど五感に関連したものをつかさどります。他方、「左脳」は‘デジタル脳’と言われ、計算や文字をつかさどります。

 幼児はこの右脳が大きくて活発ですから、たくさん自然に触れて五感を発達させましょう。自然豊かな環境で育った多くの人が芸術家に育っているのはこういう理由からかも。

 また、リズムや音に敏感ですから、多言語をインプットするのも効果的です。例えば、幼児期から英語の歌やチャンツをたくさん聞かせて歌うと、大人になってからでは得ることができないリスニングの力やリズム感がつきます。
 
 ですから、私のスクールでも、幼児期から通っていらっしゃるお子さんはリスニング力が抜群ですし、発音も大変きれいです。

 読み書きを始めるのは就学期が適年齢。左脳が活発になってくる時期ですし、手の力(モータースキル)もしっかりついて、書くことが楽しめるようになります。また文字についても、幼児期は「絵」のようにみえる「パターン認識」から、「文字」としての認識ができるようになり、読みの力がついてきます。

 幼児期から英語の「読み書き」やら「フォニックス」を急いでやらせるより、お母さんと一緒に楽しく英語の歌をたくさん歌ってほしいです。
 
 ちなみに大人になって「ながら聞き」で英語をマスターすることはむずかしいです (英語の音に慣れる、ということはあるでしょうが)

 どうか「英語脳」などに惑わされないように。

絵本の読み聞かせ

2010-10-03 | 言語獲得
「幼児は母語の文法を2-3歳で獲得します」と言うと、ほとんどの人が「えーっ!?」といいます。
 でもこれは言語獲得分野ではよく知られた事実です。

 その証拠に、子どもは自分で自分のいい間違いを訂正していきます。まわりの大人がいちいち訂正しなくても、自分で言いなおしたりします(ちなみにこれを「メタ言語能力」と呼びます)。よーく考えるとこれはすごい能力です。人間の脳ってなんて高性能なのでしょう。

 たとえ上手に話せなくっても、頭には文法に加えたくさんの言語がインプットされていますし、またインプットを継続的におこなわなければ語彙は増えません。

 だから「読み聞かせ」が大事なのです。

 我が家では息子たちが小さい頃、毎晩寝る前に夫が最低30分日本語の絵本の読み聞かせをしていました。私は寝る前ではなく、お風呂の前後に英語の絵本の読み聞かせをせっせとしていました。

 一番最初の英語の絵本は夫がカナダで買ってきた'Brown Bear, Brown Bear, What do you See?' (by Eric Carl)です。今は日本に翻訳版までありますが、18年前はとても新鮮な絵本でした。ですから、1歳8ヶ月の息子が最初に絵本を見て発した英語は「レッバー! (Red bird)」でした。

 日本語の絵本はどれだけ読んだでしょうか?相当な数がありました。二人とも気に入っていた絵本は「ぐりぐら」でした。一番最初は保育園で読んでもらったようで、ある日曜日に栄に出かけて本屋に寄った時にこの絵本を欲しがりました。それで即購入して、アネックスのハーゲンダッツをでたところに腰掛けて、夫が息子に読んでやっていたら、そのまわりにいつのまにか子どもたちの垣根ができていました。

 子どもたちは絵本を読んでもらうのが大好きなのです。

 そして絵本読みは語彙を増やします。言語獲得の面で「絵本の読み聞かせ」は不可欠なのです。

 読み聞かせによって日常生活にはない語彙を学ぶことができます。例えば、絵本「3びきのやぎとがらがらどん」(福音館)ではトロルやヤギになりきり、「2つの目をでんがくざしだ!」と戦いの言葉を学びました。「まほうつかいいのでし」(福音館)ではアブラカタブラと呪文を覚え、一日中魔法をかけていました。

 本の最初から最後まで丸暗記してしまった絵本が何冊もあります。これらの本は今でも本棚に飾ってあります。私たちの宝です。

 私のスクールでも絵本の読み聞かせがレッスンにははいっていますし、月一回未就園児のお子さんにも英語の絵本に慣れていただきたいと思って、「親子で英語であそぼう会」を企画しています(月1回)。

 お母さんやお父さんには、たくさんの絵本を子どもたちに読んで子どもたちの語彙を豊かにし、そして一緒にその世界を楽しんでほしいです。

脳と音読

2010-09-30 | 言語獲得
私が脳と言語のつながりに興味を持って久しく、カリフラワーを見ると、すぐ人間の脳を思いうかべてしまうのですが、脳の研究はまだまだ未知の分野で神秘に満ちています。

 子どもは小学校に入ると国語の時間で「音読」が始まります。この「音読」は「脳」とどういう関係があるのでしょうか。

「自分の脳は自分でつくる」(KUMON出版)の著である川島先生がおっしゃっているように、「音読」-それも「第二言語」の音読で脳が一番活発に作用するというのはとても興味深いことです。

 言語は左脳の「前頭前野」でつかさどられていますが、ここはテレビからの語りかけには反応せず、一番反応するのは「マザリーズ」と呼ばれる母親からの語りかけだということです。いかに親子のコミュニケーションが子どもの言語能力を伸ばすかということにも影響するでしょう。

 子育ての間、子どもが3歳くらいになるまでは、テレビを隠してしまうほうが、子どもの言葉の獲得、そして脳の発達のためによいのではないか、と「脳と音読」(講談社現代新書)で川島先生は書いていますが、まったく同感です。

 また、テレビやコンピューター画面を見ている時は前頭前野の血流が低下するということが最近わかったそうで、それとは反対にラジオの音だけの刺激ですと前頭前野が活性化するそうです。コンピューターゲームのおかげで(?)子どもたちの言語能力およびコミュニケーションスキルが落ちていると感じるのは、おそらく事実かもしれません。

 ちなみに「音読」はいくつになっても効果的だそうなので、私も「ボケ防止」に短い英文のコラムを毎晩声を出して読むようにしています