トッペイのみんなちがってみんないい

透析しながら考えた事、感じた事。内部障害者として、色々な障害者,マイノリティの人とお互いに情報発信したい。

寝る前に一言

2008-12-18 01:54:16 | 読書
子供の十字軍
ベルトルト ブレヒト,高頭 祥八
パロル舎

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 『子供の十字軍』を読む。ブレヒトの訳詞による大人のための絵本。ブレヒトの戯曲は舞台で何回か観ている。蜷川幸夫の「三文オペラ」や田中裕子主演の「セチュアンの善人」など。池袋小劇場での公演も大学生の頃によく行った。こんにゃく座のオペラ「コーカサスの白墨の輪」も楽しかった。今回読んだのは、ブレヒトの詩。

 1939年のドイツ軍のポーランド侵攻の時に、55人の子供たちが戦火を逃れて、あてのない行進を続ける。ユダヤの少年もナチの少年も加わって。飢えと寒さの中、途中で命を落とす子供も出てくる。途中、食料にしようとした犬は、結局殺すことができなくて、彼らのお伴となる。

 その後、首に紙の札を付けた痩せた犬を百姓たちが見つけたのは、1年半前のこと。紙には、助けてと書かれていた。どうぞ、その犬を殺さずに自分たち55人の子供の所まで案内させてほしいと書かれていた。しかし、犬は飢えのために死んでしまった。

 絵を描いた高橋祥八氏の詳しい解説が載っていた。中世に、自然発生した大量の子供十字軍の悲しい結末を踏まえて、ブレヒトがこの作品を創った可能性があるという。また、中世のこの事件がもとになった「ハーメルンの笛吹き男」の伝承の影響も指摘している。しかし、笛吹き男の話は実話に基づくという説もある。この時、犬ではなく、2人の子供が村に帰ってきたという。しかし、一人は耳が聞こえない子供、もう一人は目の見えない子であった。
 
 子供たちの消息は永久に知られることなく、消え去ってしまった。

 戦争の悲劇を語った絵本。


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