トッペイのみんなちがってみんないい

透析しながら考えた事、感じた事。内部障害者として、色々な障害者,マイノリティの人とお互いに情報発信したい。

アメリカからの憧憬/絵本『村の樹』

2010-07-31 02:12:54 | 絵本・児童文学
村の樹
八島 太郎
創風社

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 また今年も、終戦の月を迎えます。

 八島太郎氏の絵本です。軍事教練を拒否して東京美術学校から退学処分を受けた人。小林多喜二のデスマスクを描いた人。弾圧を逃れて、夫婦でアメリカへ亡命し、アメリカから、日本向けの反戦ビラやパンフを描くことで、反戦運動を続けた人。そうした人が、居た事を誇りに思います。
 八島氏には、子どもの頃を描いた絵本作品がいくつかありますが、この「村の樹」も、自分の子どもの頃を、平和の気持ちも込めて、懐かしんで書いたものなのでしょう。生まれた南の島の村の真ん中に流れる川、その川岸に立っている大きな樹。夏の間の、子ども達のその樹を中心にした生活を描いています。虫取り、樹上の家づくり、川遊びなど、あの時代、他の地域でもあったであろう子ども達の世界を、生き生きと描いています。

 実際の日本は、その後、戦争への道をひた走る暗い時代を迎えます。作者が、戦後、故国の日本の、未だ、子ども達がのびのびと生きた時代を懐かしんで描かれたその絵は、不思議な魅力を持ってものです。決して、可愛らしい絵ではありませんが。

 私達の国には、かつて八島太郎という人がいました。


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