トッペイのみんなちがってみんないい

透析しながら考えた事、感じた事。内部障害者として、色々な障害者,マイノリティの人とお互いに情報発信したい。

本から飛び出したら/絵本『3びきのぶたたち』

2010-07-31 01:54:05 | 絵本・児童文学
3びきのぶたたち
デイヴィド ウィーズナー,David Wiesner,江國 香織
BL出版

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 この作者の「漂流物」を読んでいたので、今回も、とても変わった作品に違いないと思って読んでみたが、まさに、ユニークさに出会えて楽しめた。

 昔話や童話は、本来は、かなり残酷なものを含んでいる。ゲームの中に、RPGという分野があるが、それも、やっている時にかなり罪の意識に駆られることがある。いくらモンスターといっても、殺したあげくに、お金やアイテムを手に入れて喜ぶことへの抵抗感。また、宝箱をはじめ、他人の家の中で、アイテムを発見するのも、それは、窃盗ではないのかという気分。
 昔話や童話も同様な所がある。宝塚少女歌劇団の第1作目は、桃太郎の鬼退治だそうだが、戦争の影も色濃く、平和に暮らしている鬼が島に桃太郎達がなりこむ話だそうだ。

 さて、この絵本に戻ってみる。絵本の中に、絵本がある。「3びきのこぶた」である。本来の展開から行くと、わらと木の家をつくった2匹のこぶたは、オオカミに食べられてしまう。もちろん、お子様向けの絵本は、大方は、一番末の弟の家に逃げ込むという設定に変えてあるのだが。
 この絵本の中の絵本では、オオカミが家を息で吹き飛ばす際に、どうした具合か、2匹のぶたをそれぞれに絵本の世界から吹き飛ばしてしまう。つまりは、殺されるべきぶたたちが、死なずに、この絵本の中に飛び出してしまうという設定なのである。末のこぶたも一緒に、絵本の中を旅してしまうのである。他の絵本の中にも、入り込んでしまう。マザーグースの絵本の中にも。その時、バイオリンを弾く猫も一緒についてきてしまう。そして、金の花を守るドラゴンの所にもやってくる。ドラゴンは、その本の中では、悪役で、金の花を求める王子に殺されることになっている。そう、ドラゴンの立場からは、殺されるのは、ひどく理不尽な話である。こぶたたちは、王子の到着の直前に、ドラゴンを本の中から出して、その命を助けてしまうのである。
 で、この絵本の結末は?それは、みなさんが読んでからのお楽しみですね。


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