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透析しながら考えた事、感じた事。内部障害者として、色々な障害者,マイノリティの人とお互いに情報発信したい。

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読書週間終了「2人の綾子さん」

2008-11-12 19:37:44 | 戦争と平和
 読書週間が気がつかないうちに、9日に終わっていました。最近は、文学書をほどんど読んでいません。ゆっくり、読んでみたいものです。さて、この読書週間は、終戦後まもない昭和22年に「読書の力によって、平和な文化国家を作ろう」という決意のもと、出版社・取次会社・書店と公共図書館、そして新聞・放送のマスコミ機関も加わって、11月17日から第1回が始まったそうです。焼け跡がまだ残る生活環境の中で、平和のありがたさを感じながら、人々は本の世界に明るい未来を見たのでしょう。翌年の第2回からは期間も10月27日~11月9日(文化の日を中心にした2週間)と定められ、この運動は全国的なものになっていったということです。
 今年で、読書週間は第62回目になりましたが、残念な事に最近は人々の読書に費やす時間が少なくなっているようです。街では、多くの本屋さんがつぶれていくのを見ました。悲しいことです。

 さて、女性作家で気になる「綾子さん」が二人います。一人は先年亡くなられました。二人とも、クリスチャンです。プロテスタントの三浦綾子さんは、戦時中に軍国思想を生徒に教えてしまったという反省のもと、戦後には反戦・平和への思いを作品の中に描きました。キリスト教徒としての人間の生き方を描いた「塩狩峠」、人間の原罪に迫る「氷点」、戦時中の教職者の苦悩を描いた「銃後」など多くの優れた作品を残してくれました。後にクリスチャンとなった小林多喜二の母親を描いた「母」も印象に残る作品です。

 問題は、もう一人の「綾子さん」です。彼女はカトリック信者です。先に、「集団自決」沖縄戦訴訟の大阪高裁での控訴審で、大江健三郎さんらが一審に続き勝訴しました。この、沖縄での集団自決には軍の強制がなかったということを発言して、評論家はじめ右派の文化人に多くの影響を与えたのだ彼女でした。いわば火付け役でした。その著作の問題点は、今では各所で触れられています。彼女の取材活動に対する疑問も出ています。今回の判決で、原告側が控訴審で提出した「(元隊長が)自決してはならないと厳命した」という一住民の証言は明らかに虚言であると退けられました。大江健三郎氏の著書『沖縄ノート』などで「自決を命じたと書かれて名誉を傷つけられた」と訴えた元隊長は、提訴するまで『沖縄ノート』を読んでいなかったことが本人の証言で明らかになっています。原告側には、何らかの意図が隠されているのでしょう。ここにも、右派のコロニーの存在が疑われます。判決後、「綾子さん」は沈黙を続けています。また、大いに発言すれば良いのに。

 1973年9月11日に、南米チリで、民主的に選出された左派のアジェンデ政権が軍事クーデターにより暴力的に倒されました。それにはアメリカの後押しがありました。多くの市民が殺され、歌手のビクトル・ハラもスタジアムの中で虐殺されています。この事に関しては、以前のブログに取り上げています。このクーデターの後にチリに飛び、クーデターを公然と支持したのも「綾子さん」です。その後、ピノチェット将軍による軍事独裁体制が続き、反体制派の市民の多くが未だ行方不明のままです。連行・拷問・処刑は当たり前の恐怖政治が続いていました。海外にいた亡命者も暗殺されています。こうした非人道的な行動には、ローマ法王庁も憂慮の意を表しました。チリは、その後民政化されましたが、罪を逃れようとするピノチェットを、市民たちが追い込んでいきました。「綾子さん」はここでも過去の自分の行いに沈黙を続けています。でも、従軍慰安婦とかその他の問題では発言を続けています。都合の悪いことは忘れるのが得意なのでしょう。

 今、南米諸国では、次々と左派・中道左派の政権が誕生しています。南米には、貧しい人・弱い人のために行動する「解放の神学」のカトリックの聖職者が多く存在します。アメリカでは、右派のプロテスタントの原理主義が存在します。キリスト教の中でも様々な立場が存在しています。

 日本でも、平和のための運動を行っている聖職者や信徒の皆さんがいます。2人目の「綾子さん」が特別なのでしょう。
  

 チリの軍事政権に対しての音楽家の意思表示。

F. RZEWSKI THE PEOPLE UNITED WILL NEVER BE DEFEATED excerpt


Sting - They dance alone


ある意味でクーデター

2008-11-12 19:36:33 | 戦争と平和
62人分提出は締め切り後=空団取りまとめ、便宜の疑いも-懸賞論文・防衛省(時事通信) - goo ニュース

アパとの密接ぶり、次々明らかに=公用車でパーティー、戦闘機搭乗許可-田母神氏(時事通信) - goo ニュース

「言論の自由」「ネットで支持も」田母神氏、強気に持論(朝日新聞) - goo ニュース

 今回の事件では、政府見解に反する自衛隊員の言論の自由は問題とならず、憲法99条の公務員の憲法擁護義務に違反するものなのだろう当然、文民統制(シビリアン・コントロール)にも反している。戦前の軍部の独走という歴史も踏まえて、文民統制は厳格に守らなければならない。軍事行動だけに制限をかけ、自衛官の言論の自由は文民統制とは関係ないという暴論を言う者は右翼ぐらいではないのか。文民統制が厳格に求められるようになった歴史的経緯を全く無視しているからである。キーパーソンのアパグループ代表の元谷登志雄氏は、安倍晋三元首相の後援会組織「安晋会」の副会長も務めていた。田母神氏は、安倍内閣の時に、久間防衛相により航空幕僚長に任命されている。右派の連鎖か。元谷氏の「ワインを楽しむ会」には、鳩山由紀夫夫妻も参加している。そこでは、元谷氏の日本核武装論の話もされたらしい。

 一部の新聞紙上でアパグルールの広告という形で田母神氏の論文が載ったらしい。アパのHPからもアクセス出来るので、航空自衛隊のトップがどのような考え方をしていたのか目を通して見る必要があるだろう。

 中山治氏の「誇りを持って戦争から逃げろ!」(ちくま新書608)を読んでいる。そこに、戦争責任に対する日本とドイツの対応の仕方の違いが言及されている。戦争とは、権力者が庶民をだましてけしかけるものだという。ドイツは、欧州諸国に対して「ヒトラーとナチスがドイツ国民をだまして悲惨な第二次世界大戦を起こした。だから、新たに生まれ変わったドイツは、ナチスの責任を徹底的に追及し、ナチスの被害にあった国々に謝罪と補償をする」という論理を容認してもらった。だが、日本人は日本人自身の手になる責任追及を怠ってきたという。今もそれはタブー視されているという。権力者にだまされたという意識に乏しい日本人は、容易に権力者と一体感すらもってしまう。権力者に対してはどんな体制でも、常に警戒感を持ち、疑いを持つ姿勢が必要なのだろう。著者は、読者から怒りに満ちた内容の手紙をもらうことがあるそうだ。問題は、その内容が小林よしのり氏の言っていることと瓜二つのものがあって、驚かされることだという。一部のオピニオンの言いなりになっている人間が意外に多いのではないのかというのが、中山氏の感想である。確かに、ネット上でもそういう現象はよく見られる。山野車輪氏の「マンガ 健韓流」がネタ元だと思われるものも存在するようだ。
 田母神氏は、ネット上での支持の事を言っているが、ネット右翼の支持が大方なのだろう。小泉チルドレンならず、小林・山野チルドレン達の。