かぜねこ花鳥風月館

出会いの花鳥風月を心の中にとじこめる日記

微笑んでください 人の世の行く末に

2021-01-08 19:29:33 | 日記

冬日・冬晴れの午後、宮城県美術館で来週まで公開されている「奈良・中宮寺の国宝展」に歩いていってくる。もちろん国宝の「菩薩半跏思唯像」さまにお会いしに行くため。もう何年になろうか、はじめて奈良の法隆寺にお参りした日に、お隣の中宮寺に立ち寄りお目にかかってから。小さな尼寺の小さな仏間で、ひとり微笑んでいらした菩薩様に正座して手を合わせた日から十数年の星霜を重ねたか。

この菩薩さま、如意輪観音さまとも弥勒菩薩さまとも言い伝えがあるが、誰が何の目的で制作し、なぜ聖徳太子がお母さまのために創建されたとされる中宮寺に残されているのかよく分かっていない。制作された1300年以上まえの飛鳥時代には頭に黄金の宝冠を載せ、腕や手首にも菩薩さまならではの派手な装飾品を嵌めて、極彩色に輝いていたという。

それが、いまやそれらの装飾品はすっかり何者かに奪われ、彩色は千年という時の化学作用に奪われ、すっかり裸同然で漆黒に輝いている。下半身の裳だけを纏った、寒そうな、まるでスッピンのお姿。でも、相変わらず微笑んでいる。

どうして、目を閉じて、右足を左ひざをのせて、右薬指をを右あごにふれて考え事(思惟)をしているのか、かつてどこかの由緒で「どうやって困っている衆生を救うべきか考えている」と教えられたことがあるが、身の回りの装飾を奪われても、100年以上の間微笑みを絶やさない、そのお姿は、「雨ニモマケズ」の「イツモシズカニワラッテヰル」デクノボーさんとも重なる。

「そんなに くよくよしないでね」

「1000年という時間からみたら、悩んでいるのは一瞬よ」

「気楽に待っててね、いまあなたの悩みにこたえるべく考え中なので」

 

 

・・・・・まだ思案中で、「名案」が浮かばない様子だが・・

「オラハ・オラデ・カンガエデエグモ・・」と答えたい。

 

 

                

 

 

                

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