風に誘われて

あの山から、あの海から、私を呼ぶ声が聞こえます。
風が「行こう!」と誘います。
風に誘われて、さあ立ち上がろう!!

道北の旅 砂澤ビッキという彫刻家

2013-09-02 | 北海道の夏 6年目 (2013)
7月24日~27日

滞在先で親しくなったご夫婦と、3泊4日の道北への旅に出掛けた。
このご夫婦とは毎年夏の1ヶ月を隣同士の家で過ごして3年目になる。

この旅で一番印象に残ったのが、音威子府(おといねっぷ)にあるミュージアム。
この地にアトリエ兼住居を持っていた砂澤ビッキ(故人)の作品を展示しているが、
作品や生き方を知るにつけ、その強烈さに圧倒された。


砂澤ビッキは、1978年に音威子府に居を移し、
亡くなるまでの10年間で1000以上の作品を残したと言う。
単純に計算すると1年間で100、ということは一つの作品を作るのに3~4日。
凄いな~


  
廃校になった小学校をアトリア兼住居として使っていたが、
その場所は今ではビッキのミュージアム「アトリエ3モア」となっている。


  
ビッキが使っていたノミや彫刻刀が展示、というか、
ビッキが戻ってきたら、すぐにでも作品作りが出来そうな空気が流れていた。


  
この部屋の作品は手で触ることができるというのが嬉しい。
手から伝わるノミ跡の感触から、ビッキの心が伝わってくるような温かさを感じた。

左の作品は、誰もが思い思いに差し込んで造ることができるそうで、
他の場所で展示する時は、一旦分解して会場で組み立てるとか。
その場その時で形が変わるのはちょっと面白い。

右の椅子は、足が猫や鹿のようでもあるし、見る角度によっては女性の足のようでもある。


  
ビッキが内装を手掛けた札幌のバー「inai inai bar」の内部をそのまま移築したカフェ。
円形のカウンターや、ビッキ文様と呼ばれる印形の木彫りやアクセサリーが温かい雰囲気を醸し出している。



これは、かつて音威子府駅前に建てられていたトーテムポールだが、
今はこの部屋で風化にまかせられ、自然にかえるのを待っている。
ビッキは自分の作品が風化していくのは自然の流れと捉え、敢えて修復せず
「自然のままの樹木を素材にしている限り、それが衰退し崩壊していくのは当然のこと」と
気に留めなかったそうだ。

館長さんの話の端々から、村の人たちのビッキに対する思い入れと愛情をひしひしと感じた。
こんなにも村の人たちから愛されたビッキの人となりをもっと知りたいし、作品ももっと見てみたい。