碓井広義ブログ

<メディア文化評論家の時評的日録> 
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映画『インビクタス/負けざる者たち』に拍手

2010年03月07日 | 映画・ビデオ・映像

ようやく、映画『インビクタス/負けざる者たち』を観ることができた。

いやあ、観てよかった。

監督:クリント・イーストウッド

出演:モーガン・フリーマン、マット・デイモン

舞台は94~95年の南アフリカだ。

出獄したネルソン・マンデラ(モーガン・フリーマン)は大統領となり、問題山積のこの国を再生するための活動を開始する。

その課題の一つが、長く続いたアパルトヘイト(人種隔離政策)の影を、少しずつ解消していくことだった。

マンデラが注目したのが、ラグビーのワールドカップだ。

南アは開催国ではあるが、そのナショナルチーム「スプリングボクス」は決して強くない。

マンデラはボクスを応援する。

主将のピナール(マット・デイモン)もまたマンデラを敬愛するようになり、選手たちの意識も徐々に変化していく。

やがてワールドカップ開始。

その熱狂。

ボクスは、ついにニュージーランド代表との“運命の一戦”を迎えるのだ。


まず、このドラマチックな物語が、実話であることに驚く。

マンデラの、政治家としてだけでなく、人間としての魅力も十分伝わってくる。

そして、何より、ラグビー試合のシーンが素晴らしい。

その臨場感、選手たちの動きを追うカメラワーク、憎いほど緩急のツボを押さえた編集。

トータルでいえば、やはりイーストウッド監督の演出は見事だ。

試合中も何度か泣きそうになった。

その前に、黒人の子どもたちが選手たちに駆け寄ってくるシーンで泣けてきた。


「インビクタス」は、獄中のマンデラを精神的に支えた、ウイリアム・アーネスト・ヘンリーの詩のタイトルだ。

その詩の最後の部分には、こう書かれている。

I am the master of my fate:
I am the captain of my soul.

私は我が運命の支配者、
我が魂の指揮官なのだ