碓井広義ブログ

<メディア文化評論家の時評的日録> 
見たり、読んだり、書いたり、時々考えてみたり・・・

本当に“最後の試合”

2010年03月21日 | 日々雑感

駅からタクシーで郊外のキャンパスへと急ぐ。

“最後の試合”に間に合うためだ。


息子の中学校は昨日が卒業式(なぜか父母は出席不可)だった。

今日は、バスケ部の中1から高3までが集まって、最後の合同練習試合。

中高一貫のため、高1を4年生と呼んだりするが、1年生から6年生までの部員が一堂に会したことになる。

息子たち中3チームは、中1から3年間一緒にやってきた5人のうち、2人は高校ではバスケをしないことが決まっている。

サッカーなど他の部に移るそうなのだ。

したがって、この5人が一つのチームとして試合をするのは、今日が最後。

そう思って眺めていると、3年間に、応援に行ったいくつもの試合を思い出してしまった。

試合は淡々と進み、淡々と終わった。

試合終了後、いつものように応援席まで走ってきて、全員で「ありがとうございました!」の挨拶。

3年前、中1の春に比べたら、それぞれ別人のように大きく逞しくなった彼ら5人に、「おつかれさま」と、こちらも最後の声をかけた。

3年間、朝夕の厳しい練習を一緒にくぐってきたメンバーだ。

部活は違っても、仲間であり友人であり続けてくれるといいな、と思った。

しばし、“乗り鉄”気分

2010年03月21日 | 日々雑感

久しぶりで、小田急線・片瀬江の島行きに乗った。

一番利用していたのは、大学の授業で往復していた頃だ。

今日は運手席の真後ろに陣取った。

運転士さんの手元、そのレバー操作はいくら見ていても飽きない。

しばし“乗り鉄”気分(笑)を味わっていたら、あっという間に湘南台へと到着してしまった。

演出家・今野勉のチカラワザを見よ

2010年03月21日 | テレビ・ラジオ・メディア

横浜に行ってきた。

「放送人の世界 今野勉 ~人と作品~」が、横浜情報文化センター内の放送ライブラリーで行われたのだ。

このシリーズは、放送史に残る番組を制作・演出した放送人を取り上げ、作品を鑑賞し、本人の解説を聞くというもの。

今野さんはテレビマンユニオンの大先輩であり(70年の創立メンバー)、「ドラマ、ドキュメンタリー、ドキュメンタリードラマと、分野を超えてテレビの可能性を追求してきた」優れた制作者だ。

昨年、『テレビの青春』を出版した今野さんのもとに、多くの読者から「同書の中で言及されている番組を見たい」という要望が届いたそうだ。

会場では、4本の演出作が上映されたが、いずれも放送史の上では知っていても、ほとんど見る機会はないものばかり。まあ、これらが見られるだけでも、横浜まで行く価値は十分にあったのだ。

4本のプレビューの後、ゲストの堀川とんこうさん(テレビ演出家)と今野さんのライブトークも行われた・・・


1.土曜と月曜の間(TBS/1964年、53分)
 ◎イタリア賞大賞
 <脚本:大津皓一、演出:今野勉/出演:高松英郎、南田洋子>
東京オリンピックを背景に、ある精神科医の記憶の空白に潜む「沖縄」が暴かれていく。

2.七人の刑事「ふたりだけの銀座」(TBS/1966年、53分)
 ◎放送作家協会賞演出者賞、シリーズに対しギャラクシー賞大賞
 <脚本:佐々木守、演出:今野勉/出演:堀雄二、芦田伸介、
  寺田農、吉田日出子、高橋長英>
銀座を舞台に手持ちカメラのオールロケーションで描く都会と田舎の青春、そして悲劇。

3.遠くへ行きたい「伊丹十三の日の出撮影大作戦」(読売テレビ/1972年、25分)
 ◎ギャラクシー賞期間選奨<演出:今野勉/出演:伊丹十三、岡田紅陽>
富士山専門の写真家・岡田紅陽とともにめぐる撮影の旅。言葉と音楽と映像と…。

4.天皇の世紀「パリの万国博覧会」(朝日放送/1973年、25分)
 ◎シリーズに対しギャラクシー賞大賞
 <構成:岩間芳樹、演出:今野勉/出演:伊丹十三、朗読:高橋昌也>
大仏次郎の原作を基に、さむらい姿でパリに乗り込む伊丹十三の遊び心と歴史観を描く。


・・・「土曜と月曜の間」では沖縄が強烈に描かれているが、放送から46年経っても、沖縄の置かれた立場がほとんど変わっていないことに驚く。

「ふたりだけの銀座」では16㍉フィルムカメラが銀座を駆け巡っている。無許可撮影(笑)。当時、若くて無名だった“あの俳優、この女優”の、なんとキラキラしていることか。

「日の出撮影大作戦」と「パリの万国博覧会」では、あらためて伊丹十三という稀有な才能に拍手したくなった。たとえ少しではあっても、生前の伊丹さんに接することが出来たことを嬉しく思った。

この「今野勉 ~人と作品~」は、この後も3月27日、4月3日と連続して行われる予定だ。