化学分野に君臨しつづける周期表について

2010-07-21 11:13:43 | その他

 化学の世界には、メンデレーエフ(1834~1907)の元素周期表という原理が存在する。化学系の学生は、この表を頭の中で描けるように記憶しないと卒業がむずかしい。私は、これを歌に替えて記憶する術でこの関門を通過したが、社会に入ってからは、お世話になることがあまり無くなった。
 メンデレーエフは当時確認されていた63種の元素を原子量の順に並べ、その元素を含む化合物の性質が周期的に変化する法則を1869(明治2)年に見出し、「周期表」を提案した。この表から未知の元素を予測し、実証されることが相次ぎ、世界的に信用されるようになった。私が化学を学んでから約60年を経過したが、当時の元素数は100を超えた段階であった(?)と記憶している。
 その後、1998(平成10)年12月の日経サイエンス誌が「周期表の進化」と題した米国化学者の論文を掲載し、立体的周期表の提案などが紹介されたが、元素数は108の段階であった。2005(平成17)年に文部科学省から発表された「元素周期表」は、下表に示すごとく、放射性人工元素の増加で元素数は113に達した。
                                   
                     10-07-16-1600 平成17年(2005)に文部科学省が発表した元素周期表

 元素周期表には13人の日本人ノーベル賞受賞者の顔写真が掲載されている。113番目の元素は、日本の理化学研究所でつくられた放射性元素で、半減期が0.0003秒である。
 
   今年3月の報道(朝日新聞)に、「21世紀によみがえる錬金術」と題した興味ある記事があったので紹介すると、中世期のイスラム世界やヨーロッパで秘術として盛んであった「錬金術」(たとえば、鉛を加工して金をつくる)は、怪しげな存在のまま成功したものは無かったが、「21世紀の錬金術」として、鉛原子を光速7割程度まで加速してベリリウムなどの標的に照射すると金になることが実験的に確認された。同手法でタングステンと炭素から白金、ジルコニウムと酸素からパラジウムができた。これは、外側の電子の足し算で説明できると発表し、できた原子を超原子と名付けている。まだ実験的に存在が確認できた段階で、金1gをつくるのに10万年かかるレベルである。しかし将来新しい化学の可能性につながる可能性を否定することはできない。21世紀の錬金術は夢で終わるかどうか?気になるので、紹介させていただいた。
後記:筆者は化学の世界から離れて半世紀経過しているので、間違えた記述があったら許していただきたい。


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