京都国立博物館で「法然―生涯と美術」展を見学

2011-05-06 21:56:14 | 美術と文芸

 今年は、浄土宗の宗祖「法然」(800回忌)と浄土真宗の宗祖「親鸞」(750回忌)を偲ぶ50年に一度の遠忌が京都で開催されている。これに併せて京都国立博物館では、「法然―生涯と美術」展、京都市美術館では「親鸞―生涯とゆかりの名品」展が開催されている。

 京都新聞の報道(東日本大地震の前日)によると、遠忌法要の期間中に東本願寺・西本願寺・知恩院の3本山だけで全国から約80万人の信者と約12000台の貸し切りバスが京都を訪問すると推定している。私は4月下旬に国立博物館の法然展を見学したので、その要旨を紹介する。

   

    2011-04-21-4043  博物館の入り口にある巨大説明板      

 

 展示場の解説板で、浄土宗の宗祖・法然(11331212)の直筆記録が少ないのは、念仏に専念するという教えが修行を重んじる当時の仏教界からの反発で、弾圧され記録が末梢されたからと説明されていた。したがって今回の展示物は、残された弟子たちによって作成された国宝「法然上人絵伝48卷(知恩院蔵・全長584m)を軸にして、前半の「法然の生涯と思想」で法然の生涯を説明し、後半の「法然への報恩と念仏の継承」で、法然がなくなったあとの宗祖に対する信仰から生まれた美術を語る形に整理されて展示されていた。

内容が専門的なので難しかったが、絵巻に従って誕生から死までを追い、鎌倉時代の仏教界の流れの中で、法然がどのような生涯を辿ったかを、自分なりに理解することができた。そして、各地の法然ゆかりの寺院から集められた絵図や座像・立像などを対比しながら、法然上人の偉大さに触れることができた。

 

親鸞については、少し予備知識を持っていたので頭の中で対比しているが、今年の秋には東京国立博物館平成館(上野公園)で、鎌倉仏教の二大宗祖「法然と親鸞」の初の合同展が開催される予定である。現在京都新聞で五木寛之の小説「親鸞―激動編」が連載中であり、しばらくは浄土宗~浄土真宗の歴史を楽しみたいと思っている。


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