私たちの暮らしのなかの生物多様性

2010-07-16 14:59:45 | その他

 7月10日京都国際会館で、地球研主催の「私たちの暮らしのなかの生物多様性」と題したフォーラムが開催され、参加させていただいた。
 「地球研」とは「総合地球環境学研究所」の略称で、地球環境問題に関する総合的研究をおこなう目的で、大学共同利用機関として2001(平成13)年創設されており、私は数年前からテーマを選択してフオーラムや講演会に参加している。いつもユニークな情熱あふれる講師が、世界に広がるテーマに取り組み、文系や理系に関係なくチームを組んで研究する姿と内容に接し、問題点の深さに共鳴している。
     
    10‐07‐10‐1595 京都国際会館正面風景      10‐07‐16‐1598 会議資料

  「生物多様性」とは、長い地球の歴史のなかで、進化をつづけた結果生まれた多種多様の生物が、お互いにバランスを保って活きていることを意味し、この多様性が人類の生活に大きい恵みをもたらしてきたが、この多様性のバランスが人間の無計画な開発により失われつつあり、世界的規模でこの問題に取り組む必要性が提言されてきた。
 1992〈平成4〉年ブラジルで開催された「地球サミット」で、「地球温暖化条約」と「生物多様性条約」が採択されたが、生物多様性問題は各国の利害問題がからみ、中間経過報告によると、目標の達成は困難といわれている。今年の10月名古屋で開催される「第10回条約国会議」を前に、生態系破壊がもたらす損失の大きさを警告する「生物多様性」の記事や話題が多くなったこのごろである。

 生物多様性は、①生態系の多様性、②種の多様性、③遺伝子の多様性がある。今回のフォーラムの講師・佐藤洋一郎氏(地球研副所長)は食卓の上の遺伝子多様性の例として米の「コシヒカリ一辺倒」や口蹄疫で話題になった和牛(少数の種雄牛)をとりあげ、桜の品種の「ソメイヨシノ」の集中など多様性低下と、それに伴うリスクを警告している。
 講演会で配布されたWWF(世界自然保護基金)の資料によると、携帯電話に使用されるレアメタル探しのため、マウンテインゴリラの生態系がおびやかされているとか、地中海のクロマグロの80%を輸入する日本のため継続すれば絶滅の危機に至るとか、木材入手による森林破壊のため存続の危機にある30頭しかいないアムールヒョウ対策とか16件の事例を紹介している。講師・岡安直比氏(WWFジャパン自然保護室長)は、日本向けマッタケ生産のため中国の山が丸ごとマッタケ生産地に転換され、自然の恵みで細々と生計を立てていた人々の食材がなくなったという話題を紹介している。
 地球温暖化や生物多様性の低下など地球の将来にかかわる問題に、もっと関心を持つ必要がある。


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