★しろうと作家のオリジナル小説★

三文作家を夢見る田舎者です。
SF、ミステリーから現代物まで何でも書いてます。
良かったら感想をお聞かせください。

自転車に乗って(27了)

2010年01月22日 | 短編小説「自転車に乗って」
 役立たずの超能力者、僕達はどうもそういう人種らしい。しかも遺伝するとのこと。
 今夜泊まる町の名前を母に告げると、僕はケイタイをポケットにしまい、自転車のハンドルを握ったまま、今通ってきた道を振り返った。
 今まで見たこともないような真っ直ぐな道だった。
 もやもやした疑問はなくなったものの、この先どうなるんだろうと漠然とした新たな不安が生まれてきた。
 暖かい5月の北海道の涼風が、僕の髪を揺らしている。この風のいたずらでここまで来たのかもしれない。
 まあ、とりあえず今回は、この道を見れたんだからいいかな、と自分に言い聞かせていた。
 僕の銀色の自転車も5月の陽の光を浴びて満足そうに輝いていた。


コメントを投稿