★しろうと作家のオリジナル小説★

三文作家を夢見る田舎者です。
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義腕の男2(15)

2014年05月25日 | 短編小説「義腕の男2」
 アジトは街の中心から少し外れた倉庫郡の中の、比較的大きな建物の中に設置されていた。急遽作ったにしては、外からは判りにくく、入ってみると十分な広さを持った隠れアジトだった。さすが技術の国ノスリルということか。
 待っていた人間は4人。
 ユーリ連邦側の連絡員が一人、それにノスリル側の人間が3人、そのうちエージェントは二人のようだ。
 我がユーリ側の連絡員は、黒髪美人のサヤカだった。
「お待ちしておりました」
「久しぶりだね、サヤカ。少々アクシデントがあってね。予定より遅れてしまった」
「そのようですね。ご無事でなによりです。もっと遅れるかと思いました」
 ミサイル攻撃の話は、もうここまで伝わっているらしい。説明する手間が省けた。
 俺は、サヤカに軽くあいさつをして、ノスリルのメンバーに視線を戻した。
 サヤカが紹介してくれた。
「彼が今回のミッションに参加するユーリ連邦軍のMr.Kです」
 基本的に他国との合同作戦の時は、名前は明かさない。他国の連中が敵に捕まった際に、情報が漏れるのを防ぐためだ。
 身元の確認は、連絡員同士が公式にコンタクトをとってからお互いのエージェントを紹介するという形をとっている。
 今度はノスリルの連絡員が握手のために手を伸ばしながら紹介した。
「私はノスリル共和国の連絡員、リリーです。こちらの二人がエージェント、Mr.BとMr.Jです」
「よろしく」
 リリーは、サヤカに負けず劣らず美人の部類に入る、ブロンドのグラマーだ。
 なぜか、どの国も連絡員は美女が多い。もちろん、連絡員も特殊工作員の一人で、その能力は常人よりも抜きん出ている。例えば、サヤカは一見おっとりしているように見えるが、ナイフ術の使い手で、さらに底なしの酒豪らしい。語学にも堪能で、8ヶ国語を自在に使い分ける。その特性から、先発隊の連絡員として現地に先に潜入していることが多い。
 Mr.Bは、小柄で格闘技か何かをやっているようながっしりした体格の黒人だが、黒縁のめがねをかけている姿は、IT関係も強そうな感じがする。
 反面、Mr.Jはでかい白人だ。2メートル近くもあろうか。背の高さを気にしてたせいか若干猫背になっているので、背筋を伸ばしたら2メートルを超えるかもしれない。