★しろうと作家のオリジナル小説★

三文作家を夢見る田舎者です。
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義腕の男2(11)

2014年03月18日 | 短編小説「義腕の男2」
 今まで印象派の絵画がかかっているように見えた壁面は、准将の視線にあわせ巨大なモニターに変わり、地図が映し出された。
 前に来たときは、腕時計内蔵型コントローラで操作していたはずだが、今日は腕を動かさずにモニターの操作を行っている。
「あ、もしかして思考感応型コントローラですか?」
 部屋に入った時から気付いていたが、准将の右耳に見慣れない装置が付いていた。難聴になってしまい補聴器でも着けているのかな位にしか思わなかったがどうやら最新の機械らしい。
「ああ、気が付いたか。そうだ、これはノスリル製の脳波を利用したコントロールシステムBMIの試作品だ。身体を動かさなくとも考えるだけで色々な機器の操作ができる。このシステムにもクリス博士の理論が利用されているということだ。今回の協力により技術供与された」
 なんだ、正義だ、国際間の体面だなどなんのかんの言っていたが、結局我が国はこの技術が欲しかったのか。
 そんなことを思っていると、部屋の電気がチカチカと点滅し始め、窓のブラインドが動き、大きなマホガニー製の机の上に穴が開き良い香りのコーヒーが出てきたりと、一斉に電気製品が動き始めた。
「ただ、操作に若干の慣れが必要だな。まあコーヒーでも飲んでくれ」
 准将はニコリともせず、誤動作で出てきたコーヒーを勧めてくれた。誤動作の割りにちゃんと暖かく、味は悪くない。