澄み切った青空と同じように、空気も透き通っている。頬にあたる風は、どこからともなく若葉の清涼な香りを運んでくる。暑くなくも寒くもない風というのは実に気持ちのいいものだ。まるで小さな妖精がやわらかい羽をあおいで送ってくるようななめらかさだけが感じられる不思議な空気の流れだ。
その心地よさに、僕は自転車をこぎながら思わず目を閉じてしまった。全身で風を味わいたいと思ったのだ。時間にしてほんの数秒である。その間移動した距離は数メートルのはずなので交通事故に遭うわけもなく、毎日通っている通学路を間違えるはずも無い。
ところが、目を開けて周りを見渡してみると、なぜか見慣れない光景ばかりだった。道路の右側は、腰の高さまできれいに積まれた玉石の石垣が一直線に伸び、その上には新緑の生垣が丁寧に剪定された姿を誇っている。左側は、南欧風のクリーム色の壁に黄土色のレンガ屋根の新興住宅が並んでいる。
その心地よさに、僕は自転車をこぎながら思わず目を閉じてしまった。全身で風を味わいたいと思ったのだ。時間にしてほんの数秒である。その間移動した距離は数メートルのはずなので交通事故に遭うわけもなく、毎日通っている通学路を間違えるはずも無い。
ところが、目を開けて周りを見渡してみると、なぜか見慣れない光景ばかりだった。道路の右側は、腰の高さまできれいに積まれた玉石の石垣が一直線に伸び、その上には新緑の生垣が丁寧に剪定された姿を誇っている。左側は、南欧風のクリーム色の壁に黄土色のレンガ屋根の新興住宅が並んでいる。