海上自衛隊鹿屋航空基地で展開されていた米軍の無人飛行機「MQ-9」9機は、去年の11月から運用されていたが、ちょうど1年の今月14日を以て鹿屋基地からは撤収され、沖縄の米軍嘉手納基地へ移駐された。
9機のうち7機は自力で飛んで行ったらしいが、2機については分解されて運ばれたようだ。
1年前に鹿屋基地に配属された時は全機がこちらで組み立てられたのだが、分解されたもの以外は沖縄へ高飛びしたことになる。
もちろん基地周辺に張り付いていれば、沖縄への移駐に飛び立つのが見られたのだろうが、何時飛び上がるかという情報は当地鹿屋市には知らされていないので、事実上不可能だ。
ことほど左様に「軍事機密」の壁は厚い。
8月に着陸しようとした無人機がオーバーランして何かの突起物にぶつかり破損したのだが、これについてどういう状況だったのか、破損個所はどうなのか、など普通に知りたい情報は米軍からはなしのつぶてだったのだ。
鹿屋基地から南西方面への1年間にわたる情報収集は、台湾を含む南西諸島の安全保障面にかなり貢献したと思うのだが、その点についても情報は全くない。
軍務にやって来たアメリカ軍人は200人ほどもいたらしいが、市民との交流もきわめて限定的で、友好を深めようとしていた市民や団体には肩透かしのようだった。
昨年やって来てさほど日の立たないうちに女子高生の乗ったバイクと米軍用車両が接触したとかで一時的に市民の不安が噴出したが、それ以後は市民を巻き込んでの事故も事件もなく、さほどの騒音を立てない無人機の存在は、結局、市民の関心の外にあったように思われる。
今度移駐先に選ばれた嘉手納基地は沖縄の米軍基地では最大で、今度また無人機の配属が決まったことで基地機能はさらに増加し、東アジアで一番の米国空軍基地になったのではないか。
沖縄の負担がまた増えそうだ。米中もし事(台湾有事)あらば、真っ先に弾道ミサイルの標的になるに違いない。
ウクライナ戦争に加えてパレスチナ紛争が先月勃発したが、今のところアメリカバイデン政権の双方へのコミットメントは限定的だ。一番大きな対中覇権争いが控えているから、むやみに動けないのだろう。
いや、動かないでいて欲しいものだ。「台湾有事は日本の有事だ」と考える保守系の政治家は多い。しかしアメリカが主導して軍事力を行使する前に日本として両者の間に立ってやることは多々ある。
それこそが日中2000年の交流の歴史に立脚し、近年の技術協力・経済発展を支えた外交の力ではないか。
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