去年の11月から鹿屋海上自衛隊航空基地で運用の始まった米軍による無人偵察機MQ-9一機が、着陸時に滑走路をオーバーランして既存の施設に若干の不具合をもたらしたが、その事案をめぐって情報の混乱が起きている。
鹿屋には米軍の進出とともに防衛省の九州防衛局の事務所が置かれ、安全確保の面から市政への情報提供に当たるとされていたのだが、今回の事案についてオーバーラン直後に九州防衛局からは何の連絡もなかったという。
またMQ-9の運航再開についても今月8日以前に米軍は再開しているのだが、その点について九州防衛局と防衛省本体の情報との間に齟齬があった。
結局、この事案について米軍からの正式な情報は得られなかったということである。
米軍の動向については日米安保とそれに付随する日米地位協定によって、日本側への告知義務はなく、すべては防衛上の秘密事項として米軍の思いのままだ。つまり「隠したい放題」なのだ。
それでいながらこと対中国に関する限り、アメリカはあけっぴろげに中国敵視政策に舵を切った。「中国の台湾への武力侵攻は2027年だ」がそれである。
私に言わせればその見解は単なるアドバルーンだろう。
中国に対しては「台湾への進攻には十分備えているよ」というメッセージであり、日本に対しては「我が国は中国敵視政策を採用したので、中国への防波堤になってくれ」というメッセージだ。
これに早速応えたのが岸田首相のあの「防衛費増額5年間つまり2027年度までに43兆円」であった。
何という素早い対応。日米安保の面目躍如である。
米韓合同演習のキャッチコピーは「自由への盾」作戦だが、日本へも同じ期待感をにじませている。
早い話がアメリカが中国と事を構えた時に、まずは日本と韓国がアメリカを守る最前線になるということで、中国がアメリカ本土への攻撃を仕掛けて来る際の「時間稼ぎ」としての役割だ。
アメリカ本土さえ守られれば、日本も韓国も捨て石に過ぎないということである。
そんなことにはなって欲しくないが、日米安保の存在意義が1952年発効の旧安保では「戦力を持たない日本が危ない時、アメリカが救援する」だったのが、安倍さんの祖父岸首相の時(1960年)の「新安保」では「相互に助け合う」に変化し、2022年の安保関連三文書ではそれが具体的になった。
アメリカの艦船が中国から攻撃を受けたら、日本の自衛隊が出動して救援に当たるそうだ。くわばらくわばら、中国がそこまで先鋭化することのないことを願うばかりだ。
さて、鹿屋基地の周辺でもし万が一MQ-9が住宅地に墜落したら、いったいどうなるのか? 県も市もつんぼ桟敷になるのだろうか。
またMQ-9の運航が予定の1年を超えて運用された時、これもまた米軍の意向が最優先され、県にも市にも知らされないのか?
そうなったらまさに「鹿屋の沖縄化」であり、日本全体が沖縄本島のようにアメリカから見て「極東のキー・ストーン」となる序章だろうか。
それはどうあっても防がなくてはなるまい。
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