鴨着く島

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仏独伊3か国首脳のウクライナ訪問

2022-06-17 16:18:28 | 専守防衛力を有する永世中立国
ウクライナのゼレンスキー大統領のもとに、フランスのマクロン大統領、ドイツのショルツ首相、イタリアのドラギ首相、そしてルーマニアの大統領も加わって訪問し、ウクライナのNATO(北大西洋条約機構)およびEUへの加盟を支持したという。

ニュースで放映されたが、首都キーウ(キエフ)の大統領公邸の庭で記者会見に臨んだらしく、訪問した4首脳の真ん中に立ったゼレンスキ―大統領の小柄かつ半袖のTシャツ姿がイヤでも人目を引いた。

NATOへの加盟はもう済んだも同然だが、この会談ではウクライナのEU加盟も慫慂されたそうだが、これは驚きである。

この情報をロシアのプーチンはどう聴いただろうか? ウクライナがNATOに加わったら承知しないというスタンスだった上に、さらにEUもとなると怒り心頭になるのではなかろうか。

フランスのマクロン大統領はロシアのウクライナ侵攻前にプーチンと対面で2度会談しているが、その時点でプーチンからは「ウクライナは西側に入らせず中立を保たせる」ということは言われていたはずだ。

フランスはすでにウクライナへの武器供与を行っているので、ロシアとは完全に敵対関係に入ったのだが、同様にドイツも武器の提供や支援に軸足を変えた。

この戦争は独立国家間の戦争であることは明らかだが、そうなれば本来ならどちらか当事国から国連の安保理に訴えが出され、審議され、まずは仲裁に入るのが筋だが、何しろ常任理事国のロシアが当事国になっているのでそうは行かなくなった。

仲裁が受け入れられなければ、「国連多国籍軍」が出動して関与するという段取りになるのだが、やはり国連安保理の常任理事国が当事者であれば無理なのか?

ゼレンスキ―大統領が何度も何度も西側諸国からの武器供与を要請しており、これまでNATO参与のアメリカ始め主要加盟国がそれに応じているが、あくまでも国連多国籍軍による関与ではなく、ウクライナ軍自身による反撃に終始している。

色々な武器の名が挙げられてその解説を見たりしていると、まるで武器の性能競争のようではないか。

ウクライナの町がロシア側の攻撃によって破壊されたり、避難民が逃げ惑う姿がリアルタイムの画像で映し出されるのも初めてのことなら、次々に新しい兵器が実戦に登場するのを見るのも初めてのことだ。

一説によると開戦以来、ロシア側の兵士の死者数は4万に達し、ウクライナ側には兵士のほかに一般市民の死者数併せてほぼそれに匹敵しているという。

一般市民への攻撃はいかに戦争と言えどもあってはならず、国際法違反だが、ロシアは顧みることをしない。KGB上がりのプーチンの眼には映らないのだろう。

NATOへの加盟と言えば、スウェーデンとフィンランドが加盟を決めたという。

特にスウェーデン王国はこの200年間、どことも軍事条約を結ばずに中立政策を保ってきたのだが、ここへきてロシアのウクライナ侵略を目の当たりにして政策を変えた。

バルト3国の南にあるロシアの飛び地カリーニングラードには日露戦争でも有名なバルチック艦隊の司令部があり、スウェーデンとはバルト海を挟むだけであり、いつ何時、ロシアの侵攻を受けるかもしれないという危惧が高まって来たからだという。

フィンランドはそもそもロシアとは長い国境線で接しており、この国の危惧の大きさは誰の目にも明らかだ。

しかも面白いことに(というと叱られそうだが)、両国の首長はどちらも女性なのである。女性の方がいざとなったら国を守る気概が強いのか、確かフィンランドは2014年のロシアのクリミア併合後に、それまで実施していなかった徴兵制を復活させたという。

独立国家である以上、自分の国を自分で守るのは当たり前の話だということを、このことは物語っている。

日本もいつまでも国連憲章上は認められない「二国間軍事同盟」をアメリカと結び、おんぶにだっこで守ってもらおうなんて思わない方がいい。