鏡花水月紀。

日々の言の葉、よしなしごと。

嫋嫋と。

2008-10-14 | 日々のこと。
一昨日、坂のまちアートで、ふだんより人で賑わう表通りを見ながら、
「Nさんが、ここを売りたいらしいんやわ」と、
うちのオーナーがぽつりと言った。

Nさんとは八尾でお借りしている家の大家さんである。
借りているといっても、ご厚意に甘えてただ同然で貸してもらっており、
正式な賃貸契約にはなっていない。
出て行ってほしいと言われれば、
はいわかりました、としか言えない立場である。
その日がやってくるのは、いつとはまだはっきりとせず、
ただ漠然とその時、その言葉を胸におさめた。

3日間のイベントが終わり金沢に帰り、日常に戻った今日。
所用で行った実家で、まだはっきりしないけど
八尾の店を畳まねばならないかも・・・という話を母にした。

「風の盆の時くらいしか売り上げもないんだろうし、
八尾に通うのだって大変なんやろ?」
私が黙っていると、
「ああ、でも八尾の町が好きなんでしょう」。

ああ、そう、そうだった。
我知らず目頭が熱くなり、
あやうく涙がこぼれそうになる。


今宵は月が、嫋嫋、胸にしみいる。