鏡花水月紀。

日々の言の葉、よしなしごと。

日本伝統工芸染織展へ。

2008-05-16 | 日々のこと。
仕事帰り「日本伝統工芸染織展」の巡回展へ寄ってきました。
今年も、やっぱりよかったです!

重要無形文化財保持者の平良敏子さんの芭蕉布、
玉那覇有公さんの紅型をはじめ、
八重山上布、越後上布、読谷村花織、しじら織、久留米絣、江戸小紋・…。
全国各地で日々創作されている染め織りを堪能してきました。

「一枚の布には山河がしまいこまれている」

これは立松和平著『きもの紀行』の帯にあったコピーです。
山河には人があり暮しがある。
この染織展ではそれぞれの風土とそこに生きる人、
作り手一人一人の精神の豊かさを感じとることができるから、
たぶん、私は毎年行ってしまうのです。

北陸からは石川の二塚長生さん、毎田健治さんらの加賀友禅、
そして木場紀子さんの紬、東和子さんの組紐があり、
木場さんは奨励賞を受賞されていました。
また富山の山下郁子さんの紬も。
個人的に気にいったのは愛知の永田敏美さんの紬「朧」。

絹紙布という織物がありどういう織なのか、
ちょうど会場にいらしゃった二塚さんにお話を伺うこともできました。

作品は販売もしているそうで、
お聞きしたところでは平良さんの着尺が二百万円ということ。
(ご本人にはきっとそこまで頂いてはおりません)
芭蕉の皮をはぎ繊維を取りだし績んで紡いで織る・…。
気の遠くなるこれらの作業をどういう思いでなさるのか。
崇高な魂が宿っているように思います。

特に沖縄の布たちは、澤地久枝さんの「琉球布紀行」を読んで以来、
かつての作り手が辿ってきた苛烈な生に思いが馳せられ、
いっそう愛おしく感じます。

お近くの方、ぜひご覧ください。
今月20日(火)まで香林坊大和8階にて開催しています。