俳句日記/高橋正子

俳句雑誌「花冠」代表

5月13日(水)

2015-05-13 10:19:29 | 日記
★豆の花宙に雀が鳴いており  正子
晩春から初夏にかけて咲く豆の花は、少しづつ莢を太らせながら、次々に花を咲かせます。菜園に咲く豆科、果菜類の花は大変美しく、花の後の収穫の期待がふくらみます。空には雀が鳴き、穏やかで長閑な日常が想われ和みます。(桑本栄太郎)

○今日の俳句
朴の花見上げ葉影に憩いけり/桑本栄太郎
朴の花は高いところに咲くので、下からは見上げるだけ。しかし、その大いなる葉影で憩うときの心静かに涼しいこと。(高橋正子)

○郁子(むべ)の花

[郁子の花/東京白金台/自然教育園(左:2012年5月10日・右:2014年5月3日)]

★現なく日輪しろき郁子咲けり/角川原義
★井の上の雑木にからみ郁子の花/須和田潮光
★郁子咲くを森の高きに写し撮る/高橋信之

ムベ(郁子、野木瓜、学名:Stauntonia hexaphylla)は、アケビ科ムベ属の常緑つる性木本植物。別名、トキワアケビ(常葉通草)。方言名はグベ(長崎県諫早地方)、フユビ(島根県隠岐郡)、イノチナガ、コッコなど。日本の本州関東以西、台湾、中国に生える。柄のある3~7枚の小葉からなる掌状複葉。小葉の葉身は厚い革質で、深緑で艶があり、裏側はやや色が薄い。裏面には、特徴的な網状の葉脈を見ることが出来る。花期は5月。花には雌雄があり、芳香を発し、花冠は薄い黄色で細長く、剥いたバナナの皮のようでアケビの花とは趣が異なる。10月に5~7cmの果実が赤紫に熟す。この果実は同じ科のアケビに似ているが、果皮はアケビに比べると薄く柔らかく、心皮の縫合線に沿って裂けることはない。果皮の内側には、乳白色の非常に固い層がある。その内側に、胎座に由来する半透明の果肉をまとった小さな黒い種子が多数あり、その間には甘い果汁が満たされている。果肉も甘いが種にしっかり着いており、種子をより分けて食べるのは難しい。自然状態ではニホンザルが好んで食べ、種子散布に寄与しているようである。主に盆栽や日陰棚にしたてる。食用となる。日本では伝統的に果樹として重んじられ、宮中に献上する習慣もあった。 しかしアケビ等に比較して果実が小さく、果肉も甘いが食べにくいので、商業的価値はほとんどない。

「むべ」で思い出すのは、「吹くからに秋の草木のしをるればむべ山風を嵐というらむ/文屋康秀」の百人一首にある「むべ」。もちろん、この歌の「むべ(宜)」は、「なるほど」の意味だが、この歌に、いつも、「むべの実」を想像してしまう。

★郁子の花引けば絡みし木がざわと/高橋正子

◇生活する花たち「かきつばた・さぎごけ・やまつつじ」(東京白金台・自然教育園)
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