○イギリス・俳句の旅第4日9月22日
バイブリーへ
すじ雲の刷かれ羊の朝の牧
秋朝日尖塔一つ霧に立ち
牧場も街もくまなく秋朝日
バイブリー
水澄んで白鳥ふうわり流れくる
白鳥の一羽がふうわり流れ来る
白鳥に後れ黒鳥流れ来る
ボードン・オン・ザ・ウォーター
秋夕日羊にそれぞれ影生まる
クリームティー娘とゆっくりと秋の昼
秋の昼ポッタリーにしばし居る
ストラトフォード・アポン・エイボン(シェイクスピアの生家)
秋晴るる日射し庭の花々に
小さき窓開け秋気を寝室へ
今日の観光は、バーミンガムのホテル(パークインバーミンガムウェスト)を午前8時(日本時間午後4時)に出発し、午後6時にホテルに戻る。午後にシェイクスピアの生家を訪ねるので、楽しみ。
バイブリー
コッツウォルズ地方と言えば、日本ではバイブリーの景色がなじみとなっている。この町は世界一きれいな町として、実際ここに住んだウィリアム・モリスが言っている。彼は町の保存に力を尽くしているが、もとはウールで栄えた町だった。産業が下火になり、家を建て替えたりする資金がなく、昔のままが保存されたということである。家は、近くで多く産出されるライムストーンという砂岩で出来たブロックを積んで造られて、独特の風合いとなっている。小川も大変きれいで、ウールで栄えたころの教会がある。ライムストーンは、湿度や気温などその土地によって、変色がさまざまであるそうだ。花が家を飾り、これが普段の人々の生活そのものであることに驚かされる。教会のとなりに小さな小学校があるが、しずかに授業をしている声が聞こえた。乗用車がひっきりなしに通るのも不思議なほどだ。
ボードン・オン・ザ・ウォーター
ボードン・オン・ザ・ウォーターは、町を浅い川がながれ、川のほとりは、芝生が植えられベンチが置いてある。川に六本橋がかかっているが、二〇歩ほどで渡れる橋だ。観光にきた老人も多く、町の人に交じってゆっくりお茶を楽しんでいる。ここのティーハウスで、お昼前だったが、クリームティーを句美子と楽しんだりした。クリームティーは、紅茶とスコーンのセットを楽しむお茶のことで、スコーンにジャムとバタークリームが付いて供された。アールグレイを頼むとゆったりとしたティーポットに入れてきてくれた。
お茶のあと、観光街を外れてあるいていると、「ポッタリー175ヤード」の小さな標識があったので、そのポッタリーをさがして歩いた。ヤードはたぶん、「ひとひろ(両手をのばした長さ)」ではなかったかと、思いつつ歩くと間もなく見つかった。
店に入って驚いた。益子焼とバーナードリーチの作品に非常に似ている。なにかそういう影響を受けたのかと店の女主人に聞くとそうだという。彼女も芸術家で彫刻と絵付をしている。主人が焼いている。ミルクピッチャーを一つかった。益子焼に似ている。彼女によれば、浜田庄司の湯呑をひとつもっているとのことだった。パンフレットにはリーチイーストセンターでご主人が勉強したと書いてあった。近くで産出されるこれもライムストーンを使っているようであった。モリスにしろ、リーチの影響を受けたご主人にしろ、思ってもみなかった縁がここにあることに、驚かざるを得なかった。
ストラトフォード・アポン・エイボン
シェークスピアの生家を訪ねる前に、妻のアンの生家を訪ねた。趣のある藁ぶき屋根の家で庭には当時植えられていたであろう花がいろいろ植えてあった。屋根には小さな金網を掛けてあり、小鳥が巣づくりで藁を抜いていかないようにするためと聞いた。
シェークスピアの生家は、街のなかにあり、写真で見るより小さかった。シェークスピアが生まれた両親の部屋なども見たがベッドもずいぶん小さい。大きくなると、背に大きな枕当てて、半身を起して寝たようだ。体を伸ばして寝ると死んだように見えるからとも言っていた。暖炉があり、冬は湿った薪を焚くので、部屋は煙りがもうもうとなり窓を開けて寝たとも。そのために、ナイトキャップが必要とされたそうだ。父親は皮職人だったので、皮手袋をぶら下げて売っていた部屋もあった。今は裏庭に秋のはなが咲き乱れていたが、トサツ場であったようで、牛の骨が見つかっている。ドラマ仕立ての説明があったが、ドラマティックに仕立ててあって、演劇の素地がこの街にあることを十分に感じた。著名演劇人に交じって日本人では黒沢明の写真が1枚あった。
この街の中学生や高校生をバスが停車しているとき見たが、日本人とわかると、「こんにちは。」と声をかけてくる。日本の普通の中学生と変わらない。明るい雰囲気のする街であった。シェークズピアが眠る教会を訪ねたが、アプローチに12使徒を表す菩提樹が12本両脇に植えてあった。エイボン川の流れが静かであった。
▼バイブリー
http://www.geocities.jp/sjwatabe1/Cotswolds.html
▼ボードン・オン・ザ・ウォーター
http://www.kosaiji.org/~eisai/England/Cotswolds/index.htm
▼ストラトフォード・アポン・エイボン(シェイクスピアの生家)
http://www.stratford-upon-avon.co.uk/static_1166.htm
◇イギリス俳句の旅「バイブリー・バイブリー・ストラトフォード・アポン・エイボン」
○イギリス・俳句の旅第5日9月23日
カッスルクーム
教会の秋ばら色も白がちに
朝霧に日が散り馬の立ちつくす
栃の実のかがやき拾いポケットへ
バース
ローマの温泉(ゆ)深くのぞきて秋の旅
バースの街の道を伝いて秋日燦
カッスルクーム
カッスルクームは、コッツウォルズ地方なのだが、観光は翌日にまわりバースへ行く前に寄ることになった。駐車場でバスを降りて、谷へと森の坂道を15分ばかり下ったところにある街で、50メートルも歩かないうちに尽きてしまうような小さな町である。30件ほどの家があろう。バイブリーよりもずっとしっとりとした町で、町の中心にはマーケットクロスという十字架のあるお堂風の建物がある。ここで市を開いてよいという許可の印ということであった。ボードン・オン・ザ・ウォーターにも、マーケットクロスがあり、こちらが7,8メートルの塔でてっぺんに十字架があった。われわれは集合場所の目印にした。
カッスルクームもウールで栄えた町で教会がある。かわいい教会で、入口や祭壇はもちろんのこと、教会に集まる人たちの席のわきにも、ブーケの薔薇がそれも生花がそれぞれに活けられてあった。四角な箱様の足置が置かれていたが、一つ一つクロスステッチの刺繍がされている。信者たちが作ったのであろうが、やさしく、かわいらしいものばかりである。ステンドグラスも小花がちりばめられて、かわいくやさしい印象である。この教会も町には不似合いなほど立派で、ウールの財によって造られたので「ウール教会」と揶揄されて呼ばれている。イングランドには、あちこちに「ウール教会」がある。
カッスルクームも人々が普通に暮らしているが、秋の草花がきれいに咲いている。家の壁とよく似あって、絵本のような町である。ピンク色の貴舟菊が咲き乱れ、しゅうめい菊もあった。窓にもそれぞれに花を飾ったり、ハンギングバスケットを下げたりしている。真黒に熟れた葡萄が窓を飾っている家もある。庭としは決して広くない。日本の普通の家にある庭ほどであるが、見事なセンスで花をまとめ上げている。近所との調和も忘れていないのだろう。イングランドに花が多いのは、気候のせいも大いにあるだろうと思った。5月ごろから咲く花が9月の終わりになってもまだ咲いている。盛りのときとは色も変わり、姿も衰えているが、それはそれで、いい風情なのである。盛りを過ぎた花と、今を盛りの花がうまく混ざり合って、絵画的な色彩となっている。貴婦人の衣装を思わせるようなところもある。
一緒に来た日本人で教会に入ったのは私と句美子のほかは、二人ぐらいであったと思う。時計の仕掛けを硝子張りで見せていた。教会の小さな墓地をよぎると出口があるのでそこから出て、十歩ほど歩き車の通る道に出た。出たものの、そこは、マナーハウス(領主の館)の敷地のようであった。緑の芝生がきれいに手入れされて広がっている。パラソルがひとつ立ててある。その敷地を囲んで農機具のようなものを置いている家が何件があったが、どうも芝刈り機のようである。マナーハウスには、宿泊客以外は入れないが、しかし、どこから出ればよいものか。うろうろしているうちに、マナーハウスの敷地からは出たようだ。喫茶店も家具屋もあるがしずかで、歩いている住民らしい人はだれも見かけなかった。車は通って行ったが。家は思ったより小さく、日本の家がウサギ子屋と笑われるほどでもないと思えた。しかし、丁寧にしずかに、おろらくこころ豊かに暮らしている。カッスルクームはバイブリーよりもしっとりと落ち着く谷の底にある町であった。
バース
世界遺産に登録されたバースは、ローマ浴場跡が楽しみ。ヨーロッパのあちこち、イギリスにも、ローマ人がやってきた遺跡がある。バースは、予想以上の大きい都会であった。バースの町は、中世の作家チョーサーによる「カンタベリー物語」に出てくるバースの女房で初めて知ったのであったが、陽気で善良な(good)な女房である。その印象そのままに陽気な街でミュンヘンの町の雰囲気もあった。教会の広場では楽器を演奏したり、歌ったりして人を楽しませていた。人が入れ替わり演奏するのである。どら焼きのよう大きな金属で出来た楽器を二人で演奏していた。それを小学生が教師と親に引率されて見に来ていた。バースではローマ時代の浴場があるが、見学すると1時間以上かかる。一部分見えるところがあるのでそこから浴場を見物した。黄土色の石、まさに「ローマの色」の浴場の白緑色の水がたまってあった。現在は使用されていなく、温泉水だけを売って飲ませている。あまり美味しいものではないらしい。1時間以上かかるところを15分ぐらいで住ませたので、句美子と教会とバースの街を見物して回った。教会の内部の建築は垂直様式。真直ぐ白柱が天井まで立って、天井で花が開くようにパッと開いて優美である。柱ごとにそうなっている。見物していると高いところから赤い洋服の老人が降りてきたので、そこから上へあがれると思ったが違っていた。彼女の右手には水差しがあった。花に水を差しに上っていたようだ。教会も人々の奉仕で賄われている。入場料は無料だが、寄付を2,5ポンドほど求められる。女性の司教?がパンフレットを渡してくれた。
バースの街の繁華街は本屋やファッションの店が並んで、花屋が道にテントをはっている。リューマチの病院があったり、さすが温泉街である。商店街を上り詰めると50メートルくらいは続いている一つの建物があったりする。どれも古く、横道にそれれば、落葉がからから転がり、ろくに掃除のしていないところもある。偶然にも「ジェーン・オースチンセンター」の小さな建物出くわした。センターといってもショップなのである。入ってみると「自負の偏見」の小説をはじめ、彼女の本を売っている。レースばかりのパラソル。レースの扇も売っている。そこでは買うほどのものはなく、また街をやたらと歩き、教会の塔を目指して、もとの場所に帰った。
バース観光後は、約165km南に離れたヒースローへ。明日は、イギリス旅行最後のロンドン観光。そこでは、大英博物館がメインとなる。
▼カッスルクーム
http://homepage3.nifty.com/E-RoseCottage-Garden/page020.html
▼バース:
①http://www.linkclub.or.jp/~kiki/omake/bath.html
②http://www.romanbaths.co.uk/
◇イギリス俳句の旅「カッスルクームの街・カッスルクームの教会内部・バース」
バイブリーへ
すじ雲の刷かれ羊の朝の牧
秋朝日尖塔一つ霧に立ち
牧場も街もくまなく秋朝日
バイブリー
水澄んで白鳥ふうわり流れくる
白鳥の一羽がふうわり流れ来る
白鳥に後れ黒鳥流れ来る
ボードン・オン・ザ・ウォーター
秋夕日羊にそれぞれ影生まる
クリームティー娘とゆっくりと秋の昼
秋の昼ポッタリーにしばし居る
ストラトフォード・アポン・エイボン(シェイクスピアの生家)
秋晴るる日射し庭の花々に
小さき窓開け秋気を寝室へ
今日の観光は、バーミンガムのホテル(パークインバーミンガムウェスト)を午前8時(日本時間午後4時)に出発し、午後6時にホテルに戻る。午後にシェイクスピアの生家を訪ねるので、楽しみ。
バイブリー
コッツウォルズ地方と言えば、日本ではバイブリーの景色がなじみとなっている。この町は世界一きれいな町として、実際ここに住んだウィリアム・モリスが言っている。彼は町の保存に力を尽くしているが、もとはウールで栄えた町だった。産業が下火になり、家を建て替えたりする資金がなく、昔のままが保存されたということである。家は、近くで多く産出されるライムストーンという砂岩で出来たブロックを積んで造られて、独特の風合いとなっている。小川も大変きれいで、ウールで栄えたころの教会がある。ライムストーンは、湿度や気温などその土地によって、変色がさまざまであるそうだ。花が家を飾り、これが普段の人々の生活そのものであることに驚かされる。教会のとなりに小さな小学校があるが、しずかに授業をしている声が聞こえた。乗用車がひっきりなしに通るのも不思議なほどだ。
ボードン・オン・ザ・ウォーター
ボードン・オン・ザ・ウォーターは、町を浅い川がながれ、川のほとりは、芝生が植えられベンチが置いてある。川に六本橋がかかっているが、二〇歩ほどで渡れる橋だ。観光にきた老人も多く、町の人に交じってゆっくりお茶を楽しんでいる。ここのティーハウスで、お昼前だったが、クリームティーを句美子と楽しんだりした。クリームティーは、紅茶とスコーンのセットを楽しむお茶のことで、スコーンにジャムとバタークリームが付いて供された。アールグレイを頼むとゆったりとしたティーポットに入れてきてくれた。
お茶のあと、観光街を外れてあるいていると、「ポッタリー175ヤード」の小さな標識があったので、そのポッタリーをさがして歩いた。ヤードはたぶん、「ひとひろ(両手をのばした長さ)」ではなかったかと、思いつつ歩くと間もなく見つかった。
店に入って驚いた。益子焼とバーナードリーチの作品に非常に似ている。なにかそういう影響を受けたのかと店の女主人に聞くとそうだという。彼女も芸術家で彫刻と絵付をしている。主人が焼いている。ミルクピッチャーを一つかった。益子焼に似ている。彼女によれば、浜田庄司の湯呑をひとつもっているとのことだった。パンフレットにはリーチイーストセンターでご主人が勉強したと書いてあった。近くで産出されるこれもライムストーンを使っているようであった。モリスにしろ、リーチの影響を受けたご主人にしろ、思ってもみなかった縁がここにあることに、驚かざるを得なかった。
ストラトフォード・アポン・エイボン
シェークスピアの生家を訪ねる前に、妻のアンの生家を訪ねた。趣のある藁ぶき屋根の家で庭には当時植えられていたであろう花がいろいろ植えてあった。屋根には小さな金網を掛けてあり、小鳥が巣づくりで藁を抜いていかないようにするためと聞いた。
シェークスピアの生家は、街のなかにあり、写真で見るより小さかった。シェークスピアが生まれた両親の部屋なども見たがベッドもずいぶん小さい。大きくなると、背に大きな枕当てて、半身を起して寝たようだ。体を伸ばして寝ると死んだように見えるからとも言っていた。暖炉があり、冬は湿った薪を焚くので、部屋は煙りがもうもうとなり窓を開けて寝たとも。そのために、ナイトキャップが必要とされたそうだ。父親は皮職人だったので、皮手袋をぶら下げて売っていた部屋もあった。今は裏庭に秋のはなが咲き乱れていたが、トサツ場であったようで、牛の骨が見つかっている。ドラマ仕立ての説明があったが、ドラマティックに仕立ててあって、演劇の素地がこの街にあることを十分に感じた。著名演劇人に交じって日本人では黒沢明の写真が1枚あった。
この街の中学生や高校生をバスが停車しているとき見たが、日本人とわかると、「こんにちは。」と声をかけてくる。日本の普通の中学生と変わらない。明るい雰囲気のする街であった。シェークズピアが眠る教会を訪ねたが、アプローチに12使徒を表す菩提樹が12本両脇に植えてあった。エイボン川の流れが静かであった。
▼バイブリー
http://www.geocities.jp/sjwatabe1/Cotswolds.html
▼ボードン・オン・ザ・ウォーター
http://www.kosaiji.org/~eisai/England/Cotswolds/index.htm
▼ストラトフォード・アポン・エイボン(シェイクスピアの生家)
http://www.stratford-upon-avon.co.uk/static_1166.htm
◇イギリス俳句の旅「バイブリー・バイブリー・ストラトフォード・アポン・エイボン」
○イギリス・俳句の旅第5日9月23日
カッスルクーム
教会の秋ばら色も白がちに
朝霧に日が散り馬の立ちつくす
栃の実のかがやき拾いポケットへ
バース
ローマの温泉(ゆ)深くのぞきて秋の旅
バースの街の道を伝いて秋日燦
カッスルクーム
カッスルクームは、コッツウォルズ地方なのだが、観光は翌日にまわりバースへ行く前に寄ることになった。駐車場でバスを降りて、谷へと森の坂道を15分ばかり下ったところにある街で、50メートルも歩かないうちに尽きてしまうような小さな町である。30件ほどの家があろう。バイブリーよりもずっとしっとりとした町で、町の中心にはマーケットクロスという十字架のあるお堂風の建物がある。ここで市を開いてよいという許可の印ということであった。ボードン・オン・ザ・ウォーターにも、マーケットクロスがあり、こちらが7,8メートルの塔でてっぺんに十字架があった。われわれは集合場所の目印にした。
カッスルクームもウールで栄えた町で教会がある。かわいい教会で、入口や祭壇はもちろんのこと、教会に集まる人たちの席のわきにも、ブーケの薔薇がそれも生花がそれぞれに活けられてあった。四角な箱様の足置が置かれていたが、一つ一つクロスステッチの刺繍がされている。信者たちが作ったのであろうが、やさしく、かわいらしいものばかりである。ステンドグラスも小花がちりばめられて、かわいくやさしい印象である。この教会も町には不似合いなほど立派で、ウールの財によって造られたので「ウール教会」と揶揄されて呼ばれている。イングランドには、あちこちに「ウール教会」がある。
カッスルクームも人々が普通に暮らしているが、秋の草花がきれいに咲いている。家の壁とよく似あって、絵本のような町である。ピンク色の貴舟菊が咲き乱れ、しゅうめい菊もあった。窓にもそれぞれに花を飾ったり、ハンギングバスケットを下げたりしている。真黒に熟れた葡萄が窓を飾っている家もある。庭としは決して広くない。日本の普通の家にある庭ほどであるが、見事なセンスで花をまとめ上げている。近所との調和も忘れていないのだろう。イングランドに花が多いのは、気候のせいも大いにあるだろうと思った。5月ごろから咲く花が9月の終わりになってもまだ咲いている。盛りのときとは色も変わり、姿も衰えているが、それはそれで、いい風情なのである。盛りを過ぎた花と、今を盛りの花がうまく混ざり合って、絵画的な色彩となっている。貴婦人の衣装を思わせるようなところもある。
一緒に来た日本人で教会に入ったのは私と句美子のほかは、二人ぐらいであったと思う。時計の仕掛けを硝子張りで見せていた。教会の小さな墓地をよぎると出口があるのでそこから出て、十歩ほど歩き車の通る道に出た。出たものの、そこは、マナーハウス(領主の館)の敷地のようであった。緑の芝生がきれいに手入れされて広がっている。パラソルがひとつ立ててある。その敷地を囲んで農機具のようなものを置いている家が何件があったが、どうも芝刈り機のようである。マナーハウスには、宿泊客以外は入れないが、しかし、どこから出ればよいものか。うろうろしているうちに、マナーハウスの敷地からは出たようだ。喫茶店も家具屋もあるがしずかで、歩いている住民らしい人はだれも見かけなかった。車は通って行ったが。家は思ったより小さく、日本の家がウサギ子屋と笑われるほどでもないと思えた。しかし、丁寧にしずかに、おろらくこころ豊かに暮らしている。カッスルクームはバイブリーよりもしっとりと落ち着く谷の底にある町であった。
バース
世界遺産に登録されたバースは、ローマ浴場跡が楽しみ。ヨーロッパのあちこち、イギリスにも、ローマ人がやってきた遺跡がある。バースは、予想以上の大きい都会であった。バースの町は、中世の作家チョーサーによる「カンタベリー物語」に出てくるバースの女房で初めて知ったのであったが、陽気で善良な(good)な女房である。その印象そのままに陽気な街でミュンヘンの町の雰囲気もあった。教会の広場では楽器を演奏したり、歌ったりして人を楽しませていた。人が入れ替わり演奏するのである。どら焼きのよう大きな金属で出来た楽器を二人で演奏していた。それを小学生が教師と親に引率されて見に来ていた。バースではローマ時代の浴場があるが、見学すると1時間以上かかる。一部分見えるところがあるのでそこから浴場を見物した。黄土色の石、まさに「ローマの色」の浴場の白緑色の水がたまってあった。現在は使用されていなく、温泉水だけを売って飲ませている。あまり美味しいものではないらしい。1時間以上かかるところを15分ぐらいで住ませたので、句美子と教会とバースの街を見物して回った。教会の内部の建築は垂直様式。真直ぐ白柱が天井まで立って、天井で花が開くようにパッと開いて優美である。柱ごとにそうなっている。見物していると高いところから赤い洋服の老人が降りてきたので、そこから上へあがれると思ったが違っていた。彼女の右手には水差しがあった。花に水を差しに上っていたようだ。教会も人々の奉仕で賄われている。入場料は無料だが、寄付を2,5ポンドほど求められる。女性の司教?がパンフレットを渡してくれた。
バースの街の繁華街は本屋やファッションの店が並んで、花屋が道にテントをはっている。リューマチの病院があったり、さすが温泉街である。商店街を上り詰めると50メートルくらいは続いている一つの建物があったりする。どれも古く、横道にそれれば、落葉がからから転がり、ろくに掃除のしていないところもある。偶然にも「ジェーン・オースチンセンター」の小さな建物出くわした。センターといってもショップなのである。入ってみると「自負の偏見」の小説をはじめ、彼女の本を売っている。レースばかりのパラソル。レースの扇も売っている。そこでは買うほどのものはなく、また街をやたらと歩き、教会の塔を目指して、もとの場所に帰った。
バース観光後は、約165km南に離れたヒースローへ。明日は、イギリス旅行最後のロンドン観光。そこでは、大英博物館がメインとなる。
▼カッスルクーム
http://homepage3.nifty.com/E-RoseCottage-Garden/page020.html
▼バース:
①http://www.linkclub.or.jp/~kiki/omake/bath.html
②http://www.romanbaths.co.uk/
◇イギリス俳句の旅「カッスルクームの街・カッスルクームの教会内部・バース」
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