俳句日記/高橋正子

俳句雑誌「花冠」代表

8月31日(月)

2015-08-31 06:40:28 | 花冠投句
★鎌倉の朝が移れる酔芙蓉  正子

○今日の俳句
一輪の桔梗朝陽をほしいまま/井上治代
桔梗は、秋の七草のなかでも、残暑のきびしいころから花を開く。一輪の桔梗が咲き始め、朝陽をひとりじめして、それこそ朝陽をほしいままに咲いている。ほこらしくさえ思える。(高橋正子)

8月の俳句(2015.8)
あきらかに天は青かり原爆忌
安静の日々の背をおす今朝の秋
今朝の秋洗面の水たまりゆく
ひと夏の病癒えたり葛の花
葛の花ふっと匂うよ創あとに
森に来てアサギマダラの明るき翅
秋蝶の翅ゆるやかに開く森
秋蝶の翅の浅葱を森にひらく
擬宝珠の花色濃かり池水照り
盗人萩風にもまれて眩ゆかり
榛の実を秋風くろぐろ吹きすぎる
枝分れして枝先の吾亦紅
点々を咲く露草をまなじりに
すすきの穂出でしばかりが黄昏る

○秋海棠

[秋海棠/ネットより][秋海棠/横浜日吉本町]

★秋海棠西瓜の色に咲にけり 芭蕉
★手拭に紅のつきてや秋海棠 支考
★画き習ふ秋海棠の絵具哉 子規
★北に向いて書院椽あり秋海棠 漱石
★節々に秋海棠の紅にじみ 虚子
★石灰を秋海棠にかくるなよ 鬼城
★秋海棠にそゝぐはげしや軒の雨 淡路女
★美しく乏しき暮し秋海棠 風生
★病める手の爪美くしや秋海棠 久女
★書を愛し秋海棠を愛すかな 青邨
★秋海棠母を大事の家のさま 汀女
★雲に濡れ秋海棠の茎の紅 悌二郎

愛媛の焼き物の町、砥部町に住んでいた。砥部の家は和風の平屋で、小住宅ながら土地が百坪あまりあって、椿をはじめ、いろんな植物を植えていた。秋の初めになると秋海棠の花が咲いた。北向きの玄関脇は朝日が斜めに当たったあとは日陰になる。そこにピンク色の秋海棠がほろほろと幾分大きめの葉から覗くように咲いて玄関の彩となった。そしてもう一か所、あとで取り付けた小さな濡れ縁の下にいつの間にか秋海棠が咲くようになった。節のある紅色の茎は水を含んでいた。ベゴニアに似ている。ベゴニア科なので言う間でもないが、秋海棠のほうがよどほ日本の家屋に馴染んで似合っている。砥部の家は、住み変わっているが、庭はそのままで楽しんでくれているらしい。そうならば、今も秋海棠が咲いているだろう。子どもたち二人もこの家が気に入っていたので、幼い時の子供たちのことも一緒に思い出す。

★一段と空澄み咲きつぐ秋海棠/高橋正子
★秋海棠の紅の茎また紅の花/〃
★縁に掛け足に触れたる秋海棠/〃
 伊予双海の寺
★伊予灘の波の反射に秋海棠/〃

シュウカイドウ(秋海棠、学名:Begonia grandis)は、シュウカイドウ科シュウカイドウ属(ベゴニア属)に分類される多年生草本球根植物である。和名は中国名「秋海棠」の音読み。ヨウラクソウ(瓔珞草)とも呼ばれる。英名 hardy begonia。高さ約60センチ。秋、紅色の花が下垂して咲く。葉の付け根に小さいむかごをつけて増える。東南アジア原産で、日本へは寛永年間(一六二四〜四四)に渡来したといわれ、観賞用に庭園に栽培される。


◇生活する花たち「犬蓼・吾亦紅・チカラシバ」(横浜下田町・松の川緑道)
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