俳句日記/高橋正子

俳句雑誌「花冠」代表

1日22日(日)

2017-01-22 12:17:21 | 日記
★手袋に手を入れ五指を広げみる   正子
礼装としても用いるが、冬季手や指を寒さから防ぐために愛用される手袋に手を通し、五本の指を力いっぱい広げてみる作者。今年の冬もこの手袋があれば寒さもものともせず、外出できると安堵している作者を見ることが出来ます。(小口泰與)

○今日の俳句
夕映えの湖へ着水大白鳥/小口泰與
夕映えの湖に大白鳥が羽を広げて、シルエットのように着水する。着水の水しぶきがきらめく。大白鳥の存在感に固唾を呑むような素晴らしい光景だ。(高橋正子)

○毬栗

[実の落ちた栗の毬/横浜四季の森公園(2012年1月26日)]_[青栗の毬/横浜市緑区北八朔(2011年8月7日)]

★誰も手に触れざる栗の毬置かれ 稲畑汀子
★毬栗を蹴つて日暮れの村となる/小澤克己
★毬栗や祖母に優しく叱られし/大串章
★毬栗に袋かぶせてありにけり/高橋将夫
★栗の毬そだちはじめし小ささよ/阿部ひろし
★毬栗の落ちてすとんと暗くなる/杉浦典子
★栗の毬心の毬と踏みしだく/中尾廣美
★峡の子の足もてさがす栗の毬/江頭信子
★栗の毬掌に水平にのせにけり/大東由美子
★毬栗を剥くに大事や鎌と足/田中英子

 クリの雌花の集まりは雄花の穂の基部につきます。雌花は普通3個集まって鱗片のある総ほうに包まれています。受精が済むと総ほうが発達し雌花全体を包み込んだ、いわゆる「いが」になります。実が熟する頃になると四裂し実が現れます。“いがより栗”“いがも中から割れる”といった「いが」に関したことわざもあります。前者は“痛い「いが」より中のおいしい栗が良い”ということから、ガミガミ怒る人よりもご馳走してくれる人(甘いことを言う人)の方が良い、という意に、後者は実を固く包んでいる棘のある「いが」も秋になると自然に割れることから、人も年頃になると自然に色気が出て熟れることを意味しています。以前は栗の「いが」を天井に播いてネズミ除けにしていましたが、現在は「いが」に含まれるタンニンを利用した草木染めに使われるだけになりました。 


◇生活する花たち「寒桜・房咲き水仙・鈴懸の実」(神奈川・大船植物園)
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