俳句日記/高橋正子

俳句雑誌「花冠」代表

10月9日(日)

2016-10-09 10:51:34 | 日記
★朝はまだ木犀の香のつめたかり  正子
いよいよ秋の深まってくるころ、木犀は花を開く。先ず気づくのはその香りかもしれない。いつの間にか冷たさの感じられるようになった朝の空気に、清らかに漂ってくる。白く小粒な花の姿が更なる秋を伝えてくれる。(小西 宏 )

○今日の俳句
西空の大きや秋の夕映えて/小西 宏
秋空を染める夕焼けの大きさ、美しさに人は言い知れず感動する。それが「西空の大きや」の率直な感嘆となっているのがよい。(高橋正子)

○野牡丹

[野牡丹/横浜日吉本町]

★紫紺とは野牡丹の色ささやきに/松田ひろむ
★野牡丹を夢見顔して捧げきし/澁谷道
★野牡丹の美(うまし)風湧くひとところ 一葉
★野牡丹の濃ひ紫に惹かれおり 文子

 松山市に女流画家のグループがあって、野牡丹を好んで描いていた。それで、展覧会などでよく目にしたが、女流画家が好むような花である。通りすがりの家庭の庭にも植えてあった。大方は、そこの主婦の好みであろう。横浜に引っ越してからは、鎌倉の円覚寺の野牡丹が記憶に新しい。野牡丹を見ていたら、参禅の僧の一団が行きすぎた。なんだか、不思議な光景だった。

 円覚寺二句
★禅寺に紫紺野牡丹咲きて立つ/高橋正子
★参禅へ僧ら野牡丹過りたる/〃
★野牡丹を画布に留めて女流画家/〃

 ノボタン科 (Melastomataceae) は、双子葉植物に属し、約180属4400種の大きい科であるが、ほとんどが熱帯・亜熱帯にのみ分布する。ブラジル地方原産。 日本ではノボタン(野牡丹)などの4属7種が南西諸島や小笠原諸島に(ヒメノボタンは紀伊半島まで)分布する。中南米原産のシコンノボタン(紫紺野牡丹)は紫色の大輪の花が美しいのでよく栽培される。おもな属にノボタン属 Melastoma・シコンノボタン属 ibouchina・ヒメノボタン属 Bertolonia・ミヤマハシカンボク属 Blastus・ハシカンボク属 Bredia・ メキシコノボタン属 Heterocentron・オオバノボタン属 Miconia・ヒメノボタン属 Osbeckiaがある。
 草本または木本、つる性のものもある。葉は対生。花は子房下位で放射相称、萼片と花弁は普通4または5枚、雄蕊はその2倍ある。果実はさく果または液果。夏から11月頃まで長いあいだ開花。紫色がきれいな花。牡丹のように美しいのでこの名になった。牡丹には似ていない。 紫のものをよく見かけるが、紫の他、赤、白がある。ふつうの「野牡丹は、まんなかのしべの一部が黄色いが、よく栽培される紫紺野牡丹(しこんのぼたん)は、しべは全て紫色である。11月16日の誕生花は紫紺野牡丹で、その花言葉は「平静」。


◇生活する花たち「藻の花・萩・藪蘭」(鎌倉・宝戒寺)
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