俳句日記/高橋正子

俳句雑誌「花冠」代表

11月15日(木)

2012-11-15 14:28:10 | Weblog
★眩しかり渚に並ぶゆりかもめ  正子
冬の海は暗く、波も厳しく寒々しいのですが、そんな渚にゆったりと浮かぶゆりかもめの白い揺れは明るく鮮明で、印象的です。(小西 宏)

○今日の俳句
欅立つ落葉きらめく陽の中に/小西 宏
情景がよく整理されている。陽を受けてきらめきながら散る落葉。その中心に黄葉した大きな欅の存在が示されている。(高橋正子)

○八つ手の花

[八つ手の花/横浜日吉本町]

★花八つ手鶏下へ潜り入る/高橋正子
★裏庭を掃きて清まる花八つ手/高橋正子

八つ手は、手をぱっと開いたような形をして、新しい葉はつやつやとして、梅雨どきには、蝸牛を乗せたり、雨だれを受けたりする。夏が過ぎ秋が来て冬至のころになると、球状に花火が弾けたような白い花を咲かせる。八つ手の花を見ると、冬が来たと思うのだ。瀬戸内の温暖な気候のなかで長く暮らした私は確かに冬が来たと感じてしまうのだ。

高村光太郎の詩に「冬が来た」がある。厳しくきりもみするような冬だ。そんな冬は、八つ手の花が消えたとき来る。冬をどう感じとるかが、その人の力そのものであるような気がする。

「冬が来た」
      高村光太郎

きっぱりと冬が来た
八つ手の白い花も消え
公孫樹の木も箒(ほうき)になった
 
きりきりともみ込むような冬が来た
人にいやがられる冬
草木に背かれ、虫類に逃げられる冬が来た
 
冬よ
僕に来い、僕に来い
僕は冬の力、冬は僕の餌食だ
 
しみ透れ、つきぬけ
火事を出せ、雪で埋めろ
刃物のような冬が来た

◇生活する花たち「錦木・銀木犀・金木犀」(横浜日吉本町)

コメント (2)
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