俳句日記/高橋正子

俳句雑誌「花冠」代表

10月号投句/2009

2009-08-09 13:09:39 | 花冠投句
葉桜の蔭から
高橋正子

 築地行四句
築地出て炎暑の風に煽られし
葉桜の蔭から勝鬨橋がよい
炎天の塔より水の浜離宮
遊覧船に手を振り水の涼しかり
朝粥に胡瓜茗荷を漬けて寝る
鶏頭の花が咲き出す原爆忌
被爆手帳も父も死にゆき原爆忌
みんみんの遠き声へと耳尖る
西瓜切ってみなの心に故郷(くに)ありぬ
えのころに夕日の色の風が吹き
蝉一つ鳴き止み遠くまた鳴けり
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俳句メモ/7月~8月(10月号用)

2009-08-09 12:52:59 | 花冠投句
裏の樹に蝉の一つが鳴きとおす
蝉音止み遠くで一つまた鳴けり
明日朝の食事に冷やす梨・トマト
朝日が溢れみんみん蝉がよく鳴けり
西瓜切ってみな故郷をもちたがる
夕立の気配集まる金の雲
鶏頭の花色いろいろ少しずつ
押入れに毛糸あること秋立ちぬ
立秋のコロッケからりと揚がりたり
青梨の冷たき甘さ歯に染みぬ
朝顔に水遣ってから留守にする
被爆手帳も父も死にゆき原爆忌
鶏頭の花が咲き出す原爆忌
原爆忌ラジオに鳴りて朝の鐘
夜の灯に鶏頭の苗涼しかり
朝の手にセロリーの香が移りたる
築地出て炎暑の風に煽られし
葉桜の蔭から勝鬨橋がよい
炎昼の勝鬨橋の開かぬまま
炎天に静もっている築地寺
遊覧船の下りゆく川水すずし
炎天の塔より水の浜離宮
えのころの夕日の色の風が吹き
えのころを誰かさびしい草にする
ゆらゆらと蔓を伸ばして育つ朝顔
樹があれば遠くにみんみん蝉の声
みんみんの声のしてくる遠い空
みんみんの遠き声へと耳とがる
ハイビスカス瞳大きな子の目覚め
ベランダに蝶が来ていて朝涼し
夏蝶の黄がひらひらと留まれリ
夕涼の山も木立もはや淋し
夏の雨降りやみ遠く鳴く雀
みんみんに鳴かれ太陽かっと照り
朝涼の粥噴く音のほかはなき
朝焼けにぱっちり苺の花の白
かなかなに夕べさみしき灯がともり
百合の香よ涼しき風よ買い物に
朝粥に胡瓜茗荷を漬けて寝る
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長崎原爆忌/8月9日(日)

2009-08-09 08:36:17 | Weblog
俳句
裏の樹に蝉の一つが鳴きとおす
蝉音止み遠くで一つまた鳴けり

○1945年8月6日8時15分の広島に続いて長崎に原爆が投下。11時2分。
8時15分といい、11時2分といい、朝なのだ。この時間に何をたくらみ、何を思う市民を殺そうとしたのだろうか。いかにも神の意思によるかのような、空中からの爆撃。許せるものではない。

終戦記念日が近づくと、それを振り返る報道に力が入るが、平和は普段の生活にあるのであって、普段の生活がいい加減では到底無理である。平和の思想は、毎日の生活の質素さと清潔さにあると思われる。質素と清潔というのは、現代流に解釈した「わび」の世界でもあろう。また、思想というのは、大きな言葉だが、ある思いや思考の日常的な継続なのだ。

○一日どんよりと曇り。午後7時56分ごろ地震。このところ地震が起きていなかったが、横浜あたりは震度3。床が揺れ、電灯の笠がゆれる。食器棚がびりびり音を立てる。
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8月8日(土)

2009-08-09 08:23:39 | Weblog
俳句
明日朝の食事に冷やす梨・トマト
朝日が溢れみんみん蝉がよく鳴けり
西瓜切ってみな故郷をもちたがる

○原爆忌句会の入賞者に賞品の発送を頼む。
金賞1名、銀賞2名、銅賞2名

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