快風丸

俺の船に乗らないか。

勇気あるピアニスト

2007-06-11 13:23:08 | Weblog
 忙しい週末でした。
土曜日は、朝から、授業参観。午後から、ピアノ発表会のリハーサル。

 この教室は、ソロと連弾の2曲を発表するスタイル。だいたいは、お子さんと
お母さん。私のような大人ひとりの生徒の場合、誰かと組むことになる。ただ、
練習が負担になるので、「今年はソロのみで」とお願いしていましたが、2ヶ月
ほど前に連弾をやって欲しい相手がいると先生より伺った。

 お相手は米寿のお姉さまとのこと。最近、この教室に通い始めたとのこと。
88歳、どんな風に弾くのかな、なんにせよ縁起の良いことと快諾した。曲はア
メイジンググレース。簡単なアレンジの楽譜だ。

 2回目、連弾の練習のときに、先生が、3拍子のはずが4拍子になっているこ
とと、リズムの詰まりを指摘。本番直前なので指摘しようか迷ったとのことでし
た。そして、リハーサルでは、これを見事に修正してきました。

 リハーサル終了して、米寿婦人、先生に
「緊張してしまって、やっぱり人前では弾けない。今回の発表会は辞退したい。」
とおっしゃっていた。なんとも謙虚な方である。

 そして、日曜日、発表会当日、ちゃんといらっしゃいました。
私はソロの方の曲は、ソナチネ14番。自分的には、ちょっとムリめの難曲。
1年半かかって、やっと半分弾けるようになった思い入れ深いものです。しかし
、もうソロの曲などどうでも良くなっていました。この米寿婦人をしっかりフォ
ローすることのほうが、私にとって重要になっています。これは、大変な役どこ
ろであることは間違いありません。

 先ず、米寿婦人のソロ。唱歌「ふるさと」素晴らしい演奏。
そして、私が呼ばれて連弾。緊張していないフリをしなければならない。
「ゆっくり行きましょう。」と声をかける。なんとか無事、弾ききった。

 そして、私はひとり、舞台を降りる。
ここで、教室の最年少、5歳の女の子から、米寿婦人に花束贈呈。
そして先生がマイクを持ち壇上へ。この女性が88歳であること、2ヶ月前から
はじめたこと、昨日は辞退したいとおっしゃったことなど披露した。

 先生は感極まって、涙ながらにこうおっしゃった。
「この勇気に盛大な拍手を送って下さい。」
小さなホールに響き渡る拍手の渦。素晴らしい。ブラボー。ブラボー。