ミラーボールズはもう活動していないと思っていた。
得三で最後に見たのはいつだったろうか。
曲、歌、ギタープレイ、パフォーマンス、MC、どれもオリジナリティの強い、個性的なデュオ。
アコースティックギター2本で、その演奏はロックの激しさ、熱さを体現している。
縁とは全く不思議なもので、フクフクマロマロの店内にミラーボールズの1stCDを見つけたときは
驚いた。そして、実は店主の友達で、近々ライブをやると聞いたときは、信じられないほど驚いた。
だって、大好きだったミラーボールズが、こんなご近所のカフェで見られるなんて。
あの日と変わらないゆるいMCと激しい曲、独特の詞。
メインボーカル、恵子さん、穏やかさと激しさが瞬間に出たり入ったりする感じ。男も女もそこに惹かれるのだろう。
森さんは単音中心のギター、なんとも独特な音、広い空間で鳴っているような感じ。
例えば、風の吹きわたる午前中の草原だったり、人けのないお寺のだだっ広い本堂、廃墟になった大きな工場、
冷えたアスファルトの駐車場。
この二人がぶつかるように、ときに交わるように、弾き、歌う。
音楽で生きると決めた二人の、だからこその迫力が伝わってくる。
30人でいっぱいになるカフェで、しっかりと表情まで見える距離で空間を共有する幸せ。
カフェやバーなど、いわゆるライブハウスではない、もっと小さなハコでライブを見ることがある。
舞台もなく、派手な照明も、大音量のPAもない。
しかし、空間が小さいということは、アーティストとの距離が近いということ。
これは、客にとってもアーティストにとっても大いに刺激になる。
音楽の楽しみ方として、とても贅沢なことである。
フクフクマロマロは、「写真のヤマグチ」の店舗の一部を改装して、昨年から営業されている。
まだ半年の飲食店経験のなかで、ライブまでやるのは、並大抵ではない努力のたまものと思う。
当日、超満員の客捌きのみならず、アーティストのケア、準備期間、告知、など多くの仕事をしなくてはならない。
もちろん同時に飲食店の営業をしながらである。
その努力あっての素晴らしいライブだったことも忘れずにおこう。