蝉の声を聞かなくなって何年になるだろう。30年前越してきた頃は近くに田圃も残っており夏には色んな蝉の声が聞こえたものだ。時々アブラゼミが弱ってひっくり返っていたこともあるがそれも無くなった。開発が進み都会化しつつあるのだろうか。コオロギも鳴かない。もう少し先だろうか。いや今頃は鳴き始めていたと思う。今年は猛暑が続いており昆虫の世界にも何か異変が起こっているのかも知れない。虫も鳴かない秋などあまり想像したくないものである。来ない秋を待ち焦がれているのだが。
福島の原発処理水海洋放出について中国、韓国が猛烈に反対している。それに対し日本ではトリチウムは国際的安全基準以下に希釈して放出している。もっと高いトリチウム濃度で中国や韓国も海洋放出をしているではないか、科学的な論拠を示して反対すべきと言っている。確かに理不尽な反対とは思うがトリチウムの半減期は12.3年と短くトリチウムだけにスポットを当てて争うのはどうだろうか。タンクに貯蔵されている汚染水にはトリチウム以外の放射性物質が含まれるものもある。これをALPSで繰り替えし処理して最後は取り切れないトリチウムを基準以下に薄めて流すというのが日本の方針だろう。タンク貯留水全体について基本方針を示し、確実なモニタリングを公開しながら続けて行くしかない。トリチウムばかりに焦点を絞るのは陽動作戦と言えなくもない。密かに他の核種も流すのではと疑心暗鬼も生まれる。今後何十年と続く処理水の問題で被害が生ずるとしたら最初は日本国民である。メディアはタンクに貯留されている汚染水全体の処理について今後どのような計画があるのか分かり易く伝えるべきである。
中部地方にある大きな水力発電所の所長だった人と知り合いだった。水力ダムは時々溜まった土砂を放流しなければならない。しかし土砂を放流すると富山湾が濁って漁業関係者から猛烈なクレームが来る。夜中しか放流出来ないですよと言っていた。ダムの宿命を大袈裟に表現したものかも知れないが土砂は何れ沈殿する。目に見えない放射性物質はどうしても不安を呼ぶ。不安はゼロにはならないだろうが馬鹿丁寧な説明と無数のモニタリングスポットを整備し、結果はリアルタイムで公開し、徐々に全ての国の理解が得られるまで辛坊強く努力するしかない。それにしてもメディアはどうして断片的な伝え方しかしないのだろう。紙面や時間の都合でと言われるとつい疑心暗鬼にもなる。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます