ゆっくりかえろう

散歩と料理

ブログ中の画像・文章の無断使用を禁じます。

匂い9

2015-12-04 | フィクション

「お昼のご用意が有ります」

そういえば 昼食時間はとうに過ぎている。

車庫の管理人がにこやかに教えてくれた。

「もう少しだけ調べるから 先に行ってて」  

これからが本当の仕事だ。

小松を先に行かせ クルマに屈み込んだ。

 …………………

 

 

俺は車庫の控え室に案内されるかと思ったが、上の社員控え室に通された。

小松は待ちくたびれた様子だ。

大きな部屋ではないが質素なテーブルと椅子と 正面には大きな鏡がかけてあった。

テーブルには大きな幕の内弁当とお茶が用意してあった。

「社食より余程豪華ですね」   

生憎くフレックス社員の俺は 社食を食べたことが無いので 答えようがない。

社長の運転手や 車庫の管理人用の昼食らしい。

食事後に 社長夫人にお会いするアポを取って貰った。

どうやらお会い出来るようだ。

小松は余程腹が空いていたのか 息もつかせず弁当に食らいついている。

少々というか とてもザマが悪い。

テーブルに屈み込んで顔を突っ込んで犬食い、

容器からのかき込み おまけに咀嚼音が喧しい。

食べながら 唸っている。

飼い犬でもこんなに酷くはない。

まるで腹を空かせた野犬そっくりだ。

いつもこんな風だろうか?

俺は途端に食欲が失せて お茶で済ませた。



最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。