ゆっくりかえろう

散歩と料理

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チョイ悪オヤジ養成講座6

2016-01-01 | フィクション

  お店は立ちのみ店特有のL字型のカウンターで 入り口に人はまばらでも 中はいっぱいの事が多い。

「こういうお店は席取りが大変です 中ほどのカウンターは常連の場所ですから そこにつくと店員も嫌な顔をします」

だから入り口のカウンターについて もし店員が中に案内してくれたら、案内通り中に入ればいいのです。

「中へどうぞ」 案の定中へ案内されて中央の樽を重ねたテーブルについた。

小松には悪いけど 会話の妨げになるので 隣の壁際のカウンターに行って貰った。

専務は小銭さえお持ちではないので俺の小銭入れをお渡しした。

偶には独りでお勘定する気分を味わうのもいいと思ったからだ。

「ご注文は?」若い元気そうなお姉さんがオーダーを取りに来た。

「えっと ハイボール」

専務はハイボールで俺はサワーにした。

ビールはお腹いっぱいになるので やめたほうがいい。

「ハイボールは400円で サワーは360円」

ここは前払いでその都度お金を払うシステムだ。

腹を空かせた小松はおにぎりとおでんにした。

お酒が来て乾杯すると料理のオーダーを聞きに来た。

「こういうところは壁に張り出したメニューより 黒板に書き出した今日のおすすめがよい目をしますよ」

「何がいいかか分からないな 華岡さん決めて下さい」

「じゃこちらは なめろうを 僕には新生姜を下さい」肴が来て盛り上がる。

「これ美味しいですね 東京へ来て 初めて美味しい魚に出会えました」 

このアジのなめろうは 少量づつしか作らないので 無くなれば 次の仕込みまで待たなければありつけない。

「なめろうはね アジのたたきと勘違いする人が多いんですが 叩くのではなく練るんです いわば 焼く前のハンバーグです」

新生姜は東京特有のメニューでこれも貴重だ。

いずれも安うまメニューだ。 

ぜいろくは東京には美味いものは無いとのたまうが それは井の中の蛙だ。



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