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ゆっくりかえろう

散歩と料理

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おえらびください

2013-10-11 | 読書
小松左京氏著
SF作家小松氏が亡くなって数年経ちます。

私は中学生の頃 小松さんの本を貪るように読みました。

長編が苦手な私なのに 小松左京さんのSFだけは なぜか沢山読みました。
短いものも含めて かなりの読書量だと思うのですが この短編集は憶えがありません。
たぶん未読なのでしょう。今読んでみると 随分とウィットに富んでおり 人類に対して皮肉 批判的であり 第三者的な目で 冷静でクールです。

この当時もうすでに 地球規模の不安を感じられておられたのではないかと思われます。

小松さんといえば 日本沈没や復活の日など 豊富な科学的知識に基づいた ありえる近未来像のSF小説を書かれる

得難い作家さんですが 高度経済成長期の日本においてさえ 先の暗さを予見されていたかと思うと 小松さんの賢さが光ります。


長編は疲れるから 短編がいいという人に向いていますが 展開がすごく早いので

頭のいい人向き(といえば皆さん読まれるかな?)

クスッと笑えます。


もののけ、ぞろり

2013-10-06 | 読書
高橋由太氏著 時は桃山時代、徳川家が豊臣家を滅ぼさんとしている時代を舞台に

宮本武蔵の弟子とその弟を主人公に 天下人家康と豊臣家の暗闘 そして妖術による合戦を描いたもの。

…ではありますが、本格お気楽時代劇。ギャグ漫画の台本のようなキャスト ストーリー展開設定など本格的時代劇ファンには ちょっとつらいかも。

この時代の有名武将が沢山でてきます、彼方此方の奇談小説のアイデア拝借みたいな継ぎ接ぎ部分が多く ちょっとこれで小説を作るかと思うと 随分思い切ったことです。

主人公兄弟の目的が 失敗した人体錬成の為失われた弟の身体を取り戻す… あれれ、まんま鋼の錬金術師でしょ?

身体の小さいキレやすい兄と冷静な弟とか いくらなんでも キャラクターの性格まで真似るなんて やり過ぎ?と思いますが パロディなんですかね。

作者の他の作品の例にもれず 断定を怖がる表現はネット世代特有の揚げ足とり対策と思われます。

興奮しやすい主人公と常に冷静な脇役などパターン化もあります。

やはり漫画の脚本なんですかね。私には物足りないですが 今の世代には分かりやすいのかも。

全体にハチャメチャなのですが お涙頂戴がないクールさとか やたら正義を振り回さないところなのは 新しい世代の読み物を感じ 自分自身 頭を切り替えて読んでいくべきなのだなと思います。

たまさか人形堂物語

2013-09-29 | 読書
津原泰水氏著 この作品大好き!のひとことです。

もともとこの作者の奇談ものが好きで探していましたが 数が少なく
販売数も延びなかったのか 古本を探すのに苦労します。

舞台は東京の何処かの時代遅れの人形店のお話。
祖父から譲られた人形店は
OLを辞めた店主(30代)が経営しています。
風変わりな店員 どこか悩みをもったお客さん 店主はいたって普通の人ですが、その店主から見た 様々な人の人形をめぐるエピソードをたどりながら ストーリーは進んでいきます。

話は深く静かに 内容は濃密で 時にマニアックであったり、普遍的であったりとゆっくり読めば読むほど面白いです。

私は森見登美彦氏の「きつねのはなし」の骨董やさんと同じにおいをかぎとりました。
短編1本目から面白く その感動は2本目3本目と加速します。

手元においておきたい本です。

続編も出るそうで、今から楽しみです。

GANTZ最終巻

2013-09-21 | 読書
遅ればせながら GANTZのコミックス最終巻を読みました。

この作品は闘いのシーンでは 大阪道頓堀がかなりリアルに書かれていたり JR京都駅 そして最終話の舞台が 有楽町駅前の東京国際フォーラム(内部)だったりと私が好きな場所だったので ワクワクして読みました。

難しいテーマを上手く纏めてあり 最後まで不条理でクールな姿勢はありますが 救いのある終わり方で 感心しました。

作者さんには ご苦労さまと言いたいです。

ネットで感想を読むと多くは 中途半端な終わり方だとか あそこの辻褄が合わないとか

重箱の隅をつつくような尊大な意見が多く 意見を言う人皆が批評家さんみたいな雰囲気でした。

作家さんて 報われない仕事なんだな。

最後に星人が自爆してしまう道を選ぶところは 極めて日本人的な発想だなと苦笑いしましたが

 玄野と加藤が宇宙空間に放り出され 流れ星になって落ちてくるような結末を迎え

 サイボーグ009と同じ結末なのかなと 思いましたが なぜかアメリカンシネマみたいに

 海に流されて救出されるという おなじみの終わり方で 作者の大サービスを感じました。(もっとクールな作者さんなのにね)

「人類ははごみやチリと同じ たまたまこの星系の秩序を保つには 巨人よりふさわしいと判断し選ばれた」という台詞が 重く残ります

お客に言えない食べ物の裏話

2013-09-21 | 読書
マル秘情報取材班編  現代の食と行政の裏側

普段の疑問というより 全く予想もしていなかった間違いを信じ込んでいた 食のからくりと行政の巧妙さ。知らないでいると ちょっと怖いことなど、読むほどに考えさせられます。

安いものには安いなりの 高いもは高いなりの理由があります。

お隣の国の食の安全を笑いますが 我が国の現実は官民一体の巧妙さだけにもっと恐ろしいかも。

食品行政は消費者にとって善意で成り立っているとは限らないと知ることになります。

先に読んだ騙し食材 食品の話と重複しますが 此方は複数人の取材班なので より詳しく実情に沿ったお話です。

ただし悪い話だけではなく 良い食品の見分け方や ポジティブな情報も多く 明るく楽しい内容になっています。

魚の話などはより詳しく 興味深い話題が豊富でした。

超・殺人事件

2013-09-18 | 読書
東野・圭吾氏著 ちっとも殺人事件じゃない 推理小説作家の楽屋落ちというか 作家の裏事情 出版社の裏事情を小説にしたような お話。だからあくまでフィクションです。
皮肉がきいて自嘲や自虐や批判が満載の作品集。読む方は面白がるより 疲れるかも。
でもたまにはベストセラー作家の愚痴を聴いてあげてもいいかな。

おもしろうて やがて悲しき作家哉。

最後の話「超読書機械殺人事件」の最後の五行には 作家の本音らしきものが 書いてありました。

屍の声

2013-09-17 | 読書
坂東眞砂子氏著
大人の怪談。じわじわっと後から怖くなります

作者の出身地はどこだろうと思わせるくらい地方の方言が上手な短編集

一つ一つは泥臭くて 岩井志麻子氏を思わせますが こちらも同じく女性ならではの

情念を描いていて 湿気や粘度を感じます。

岩井さんと 同じようにちゃんと怖がらせてくれて 後をひく怖さがあり

情景描写が上手で 場面が目に浮かびます。

老人介護 不妊症 イジメ など女性目線ならではの立場から 怪談が出来ています。

小説の題材は どこにでも転がっていて、それだけで話を作ってしまうのが プロなんだなと思いました。

ボロボロになった人へ

2013-09-14 | 読書
リリー.フランキー氏著
エッセイを読んでから 先入観たっぷりに読みました。

なるほどあの下ネタが創作になると こう化けるのかと納得しました。

一時期の筒井康隆さんを想わせるような ブラックで皮肉たっぷりの作品集

あちらはSFですが ティストは似たところがあると思います。

 筒井さんのは ドタバタ的要素があって からっとしていますが

 リリーさんのは 世俗的で冷ややかな視線が感じられそこが違います

 
 それにしてもこの人 下ネタが好きですね。信念を感じます。

 やはりCMで見るような好印象は感じられず もう読まないと思います。
でも表題作はとても短い作品ですがこれだけは好きかな

あやかし砂絵 捕物騒ぎ

2013-09-08 | 読書
 都筑道夫氏著  作者の本は2冊目 

  おなじみ砂絵のセンセーとなめくじ長屋の面々が 岡っ引きの上前をはねます

 私には謎解きがあざやか過ぎるように思いますが、純粋な推理好き 早いストーリー展開が好きな人に好適です。

素直に読めば 充分楽しめる内容だと思います。

 大人向けの色っぽい場面もあって娯楽的です。
 
それ以上でもそれ以下でもありません。 

純粋な推理ファンではない私には 何かもの足りないかな

美女と野球

2013-09-06 | 読書
リリー・フランキー氏著
久しぶりに読んで呆れました。著者の本は二冊め

 下ネタのオンパレードです。しかも汚物というか スカトロの話
名誉挽回で読んだもう一冊が、余計印象を悪くしました。
 
兎に角これは笑えない 私には合いません。
こういうのが好きな読者向きです。

新耳袋 第二話 現代百物語

2013-08-29 | 読書
木原浩勝氏・中山市郎 氏著 シリーズ二作目のようですが 相変わらずちゃんと怖い。

セオリー通り99話になっております。間違えても怪談の 続編を読んではいけません

必ず間をあけるか 怪談話は避けることをお勧めします。

結果として 百話になれば、大変なことが起こるかも。

実話集だけの編集は内容的に本物の迫力があり 読む程に怖くなります。

夜は読まない方がいいかもしれない。それなりではなくしっかり怖いです。

暑い夏にちょうどよい一冊。

こわ~!

超-1コレクション 女郎花

2013-08-25 | 読書
加藤一氏編 実話怪談を集めたもの。

かなり怖いです。昔からこの手の話は怖いですが 原型はあまり変わっていませんねー。

でもだからこそ怖いのかも。実話ならではの怖さがあります。

起承転結のあるもの いきなり入って怖いもの。オチはなく流れてしまうものなど様々です。

ただ昔と違って 霊を信じる人が増えました。霊感のある人の話が普通に語られます。

時代がそれらを受け入れているのでしょうか。

飛び抜けて怖い話がないのも 実話らしくていいと思います。

九十九怪談 第三夜

2013-08-22 | 読書
木原浩勝氏著
いままで数点読んだシリーズのなかで 一番怖いです。ストレートで分かりやすく夏向きの一冊。お勧めです。書き手は段々巧くなり しかも上品かつ 捉えどころがいいと思います。こういった実話をもとにした怪談も作者の人柄がでますね。

ものの見方が素直で 先入観がない所が良いです。
もの書く人はこうあるべきだと思いました。

書かれているのは生き霊 死霊 妖異 様々ですが 現象を現象として あえて感情を交えずたんたんと書いてあります。

それは耳袋のようであり 遠野物語にも通じる物があると感じました。

ストレートに感じるままに読んでもらいたい一冊です。

怖がるだけではなく 優しい霊もあるんだなと思いました。それは生きている人より人間くさいです。

さびしい女神 僕僕先生

2013-08-18 | 読書

仁木英之氏著
いつもボンクラな主人公王弁くんですが 今回は一所懸命動き回り 走り周り

宇宙の果ての妖異の国まで行き 人間の力を超え頑張ります。

今回に限って先生の登場は僅かしかなく 重要な役どころながら 出番は僅かです。

王弁くんは嘆き 悲しみ 憂い 恐れ おののき 怒り 戸惑い 先生に逆らいながらも突っ走ります。

今作は今までのシリーズで最高の出来だと思います。

でもこれは最初から読んできて 作品に馴染んできたからこそ分かる感動です。

私は 王弁くんに入り込みすぎて はからずも泣いてしまいました。

涙腺が緩くなったのか 作品の実力なのか。王弁くんの悩みを一緒になって考えてしまいました。

四作目にもなると 先生の正体も明らかになり 王弁くんの仙人修業もランクアップします。

作品を読んでいて気がついたのは 中国の古代の信仰って多神教で山川草木全てに神がやどり

日本の神話とおなじような考えだということでした(原始宗教の洗練されたもの)


旅の道連れも増えてそれぞれの成長も楽しみです。いよいよ次の展開が気になるところ。

そろそろ次の話は胡蝶からの殺し屋が出てくるかなー?

ちなみにさびしい女神とは 最悪最強の日照り神で 20013年夏にこれを読めるのは不思議なことです


つくも神さん、お茶ください

2013-08-07 | 読書
畠中恵氏著 しゃばけシリーズの作者畠中恵さんのつれづれなるエッセイ。

これだけ上手な物語を作るのに エッセイが読みにくいのは意外です。

カタカナ語まで平仮名表記にするのは読むのに疲れます。

中身は作家になる前の生い立ちや 漫画家時代のこと、駆け出しの時代と内容は面白く

最近のよしなし事など 畠中さんが気持の可愛らしい女性だと知れる良いエッセイです

中身はいいのに読みにくいので 最後のところは斜め読みしました。残念です。

普通の読みやすい漢字平仮名混じりの文章で書けばいいのにね 

恥ずかしかったのかな