茂原市ことぶき堂鍼灸院

茂原市で鍼灸治療院を営んでおります。
東洋医学や日常生活のあれこれを日々綴っています。

壽堂日記28年11月24日「前立腺炎は何処に鍼を刺す?」

2016-11-24 09:43:25 | 日記

当院では「前立腺炎」の鍼灸治療もしています。

治療を受けられた患者さんの中には2週間で前立腺の大きさが25gから20gに縮小してお医者さんに驚かれた方や1ヶ月で寛解された方がおられます。

「前立腺炎」は様々な発症原因がありますし病状も異なりますので治療期間は変わりますが、鍼灸治療と現代医学の治療を併用すると治療経過が良いようです。

当院では「前立腺炎」の治療で陰部に鍼を刺すことはありません。

東洋医学的な考え方に基づき経絡を用いて鍼灸治療を行いますが、治療を重ねるごとに鍼に対する体の反応が良くなり、「気」の動きに敏感になります。

例をあげれば
大陵穴に鍼を当てると反対側の耳に響いたり

委中穴に鍼を当てると膀胱を手で優しく押される感じがしたり

下志室に鍼を当てると響きが膀胱を通り足先まで届いたり

三陰交に鍼を当てると膀胱から足先まで清涼感が広がったり
など患者さんが体の中の経絡を「気」が流れる様子を話してくれます。

経絡が流れているので陰部に直接鍼を刺さなくても手足や体幹部から膀胱に鍼の響きを届かせ「前立腺炎」の治療が出来ます。

「前立腺炎」は東洋医学的には膀胱に熱のある病とされていますが膀胱の熱は「腎虚陰虚熱」「肝虚陰虚熱」「脾虚陰虚熱」「脾虚肝実瘀血」などから波及したものと考えられますので膀胱の熱を瀉すだけではなく「腎虚証」「肝虚証」「脾虚証」として「本治法」で虚している臓を補うことが重要です。

当院では刺さない鍼を使用する「積聚治療」で「本治法」を行い、補助治療として下志室・委中・飛陽・懸鐘・三陰交・中極・大赫等の経穴を選択して使用し更に「ビワの葉灸」を併用して治療効果を高めています。


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壽堂日記28年11月23日「肩こりと胃炎は関係がある?」

2016-11-23 06:34:07 | 日記

肩こりの患者さんが来院されました。

問診しますと胃の調子も悪いとの事です。

肩甲間部が凝るというので触診してみると、肺兪から厥陰兪・心兪・膈兪付近が反応があり、また脊柱上の至陽に圧痛があり、左側が反応が強くでました。

肩こりはいろいろな原因で起こりますが、胃疾患が原因で肩こりが起こる場合があり、その場合は左側に反応が出るのが特徴とされています。

なぜかと言うと(菱形筋)や腕の筋肉(上腕二頭筋)など左側の筋肉と胃の筋肉がつながっており、胃が疲れたりするとそれらの筋肉が強張り、血行不良をおこしたりして肩こりが起きます。

また胃の疲れのひどい方などは胃に繋がっている背骨の動きが悪くなっていてその辺りの骨を押すと痛みを発生したりします。

これもその背骨付近の筋肉が強張っているために起こる現象です。

また、左肩こりの原因は胃痛だけではなく心臓、膵臓、胆嚢が原因の場合があります。

左胸から左肩まで痛みやこりが出る場合には、狭心症や心筋梗塞の恐れがあります。

左側の背中側から肩がこるようであれば、膵臓や胆嚢が弱っている可能性もあります。

前かがみになると痛みが和らぐ様であれば、膵臓の恐れがあります。

今回は腹診すると脾のエリアの圧痛が顕著なため「脾虚証」で全体治療をして背部では胃の症状に著効がある「胃の六つ灸」をして肩部に鍼と灸をしてMT温灸器を経絡にそって掛けました。

胃が原因の肩こりは胃を治さなければ改善されません。


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壽堂日記28年11月22日「頭痛・肩凝りの刺さない鍼による治療。」

2016-11-22 09:00:11 | 日記

「頭痛・肩凝り」の患者さんがお見えになりました。
「頭痛」に鍼?と思うかも知れませんが、頭痛薬でも鎮める事が出来ない「頭痛」でも鍼灸治療は良く効きます。

今回は刺さない鍼を使用する「積聚治療」で治療しました。

何故刺さない鍼で効果が出るのかと言うと、鍼灸の治療効果と鍼の刺さる深さは比例するものでは無いからです。
刺さない鍼で治療効果を出すには一定の治療方式に従い、体の気を徐々に動かしていく事が求められます。

刺さない鍼は「接触鍼法」と云う手技で色々な流派がありますが、私は「積聚治療」の「積聚会」に所属しています。

具体的な治療に沿って説明しますと。

最初に問診・脈診をします。次に腹部に対して軽く「接触鍼」をして体表の気を調えます。

その後、脈を診て脈状を判断します。

今回は「肺」の脈が沈で戻りが弱いので、肺経の原穴「太淵」を選択し鍼を皮膚にあて「気」が至のを待ちます。

腹部を診て、証を立てます。今回は曲骨上際の圧痛が一番強く「腎虚証」で治療を進める事としました。

頭痛で「腎虚証」というのは意外な感じがするかも知れませんが、陰の気が虚すことで、陽の気が上部に集まり「頭痛・肩凝り」などの症状がでます。

次に今度はうつ伏せになって貰い、背部に「接触鍼」をします。

背中の気を調えてから、「腎虚証」の治療方式に従い、鍼を背部を走行する太陽膀胱経の経穴にあてます。今回もあてるだけで刺しません。鍼を操作して「気」が至のを待っていると、凝っていた肩・背中の筋肉が徐々に緩んで来ます。

背部の治療を終えた段階で患者さんに状態を尋ねたら『頭痛は感じません。肩も調子が良いです。』というので背部の治療を終了し、仰向けに寝てもらい、さっき痛かった曲骨上際の圧痛を尋ねると2割位残っていたので、その圧痛を取るため「腎経」の復溜に鍼をあて「気」を動かし変化を尋ねると『あれ?痛くない。』と云うので「腎の虚」が補われたと判断し治療終了としました。


治療後は「頭痛・肩凝り」は解消していました。


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壽堂日記28年11月21日「背中全体の張りと凝り・寒邪?」

2016-11-21 07:13:17 | 日記

背中全体の張りと凝りが辛いと患者さんがお見えになりました。喉も痛いと言うのですが寒邪が原因ではないかと思われます。

四診すると手足の先が冷たく、頸部の凝りもあります。

腹診すると臍の周りに硬結があり、若干の表熱があります。

今回は「脾虚証」として刺さない鍼を使用する「積聚治療」で「本治法」を行いました。腹部に接触鍼をすると徐々に足先が暖まってきます。

背中を軽擦して状態を観察すると、頸部から腰部まで脊柱起立筋が緊張していて、痞根の付近の硬結が強く感じられます。

痞根は奇穴と呼ばれる経穴で背中の張りを緩める効果があり、また背中が凝るときに反応が強い場所でもあります。

先ず背部に「脾虚証」で基本治療を行うと徐々に脊柱起立筋が緩んで来ました。患者さんも気持ち良さそうに寝息を立てています。

「標治法」として喉が痛いと言うので大椎穴にお灸をしました。大椎穴は喉の近位治療の意味もありますが手を暖める効果もあります。

その後は痞根穴にお灸をすると背中全体が緩んで来ました。

今回は最後に「脾虚証」なので仰臥位で三陰交と足三里に鍼をして治療は終了です。


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壽堂日記28年11月20日「刺さない鍼で病気が治る理由は?」

2016-11-20 06:50:34 | 日記

当院では患者さんに「積聚治療」という治療法で治療いたします。この治療法の特徴は鍼を刺入しないことです。

鍼先を皮膚に押し当てるだけで「気」を動かし「病」を治療します。

鍼灸技術的には「接触鍼」と言われるものですが、何故「刺さない鍼」で病気が治療できるのか簡単にご説明して見たいと思います。

「刺さない鍼=接触鍼」でなぜ「病」が治るのか、それについては「気」と云う物の理解が欠かせません。

「気」は東洋医学の根幹をなす重要な考え方で、広い意味で人体は「気」そのものです、人間の身体は「気の重層構造」になっていて、「気」の機能が過剰になると、そこにアンバランスを生じ「万病」が生じると考えます。

「気の重層構造」の人体に鍼灸治療を行うことは「気」そのものに鍼灸をすることです、「気」の調和により万病を治すというのが鍼灸治療の大原則です。

「接触鍼」は体表の気に直接触れて治療する技法です、体表には衛気と言う気が流れていますが、その衛気を通じて、経絡の気、臓腑の気、正気、元気、陰陽の気を動かすことで「気」の過不足を調整したり正しい働きに戻すことにより「病」を治療することができるのです。

具体的な治療例を挙げて「積聚治療」による治療を説明してみます。


今回の患者さんは肩凝り、左腰が痛いと言うことで来院されましたが、問診すると肩凝り、腰痛、上肢痛、肩背部痛、心下部の張痛、足の冷え等の症状を訴えられました。

脈診したところ、脈は遅脈で全体的に沈。中府、尺沢、孔最、内関、魚際に圧痛。
腹部を擦診したところ、右季肋部に圧痛、臍周りに硬結、左曲骨上の圧痛が一番強い状態でした。

治療は最初に腹部に「接触鍼」をして、腹部の最も浅い気を補います。

鍼は刺さりません、患者さんも『全然痛く無いです。』と言うことでした。
次に脈診をして脈調整を行います、今回は肺経の原穴である太淵に鍼をしましたが、鍼は先を当てる程度で刺入せず、気が至るのを待って抜鍼します。

その後一番大切な証を立てるため、腹診します。「積聚治療」では腹診で証を立てます。

腹部「接触鍼」と脈調整を行った結果、右季肋部と臍周りの圧痛と硬結は解消しました。

左曲骨上の圧痛・硬結が残ったので「腎積腎虚証」として治療を進めることにしました。

背部で全体に接触鍼をして「積聚治療」の「腎虚」の順治で治療していきます。

右肩の肩井、天宗の凝り、左志室、左殿圧の圧痛が著明のため、その部分を指標として、鍼を右の背部の兪穴に当てて治療していくと、段々指標の部分の凝りが緩んできます。

患者さんが『肩が楽になりました、腰が張っていたのが緩んできました。』と教えてくれました。背部の治療もツボに鍼先を当てるだけで刺入はしませんでした。

背部の鍼を終えた後に、督脈上の命門に箱灸をして温めると患者さんが『冷たかった左足の親指まで温かくなりました。左のお尻も痛くありません。』と教えてくれました。

仕上げとしてMT温灸器を使い経絡を温灸トリートメントします。

背部の治療を終了した段階で肩凝り、腰痛、上肢痛、肩背部痛の症状は改善しましたので、再度仰臥位で腹部を確認すると、先ほどの左曲骨上の圧痛、硬結はほぼ無くなっていましたが、最後に残った硬結に意識を置き腎経の復溜に鍼を当て、患者さんに圧痛、硬結の変化を見て貰いながら鍼を操作すると『痛みが無くなりました。』教えてくれたので今回は治療終了としました。


鍼灸治療と言いますと「刺す鍼=刺入鍼」というイメージが強いのですが、「接触鍼」だけを使用する流派や「接触鍼」「刺入鍼」を使い分ける流派も数多くあり、私の治療院では「本治法」は「接触鍼」で行い、「標治法」は「刺入鍼」も使いますが、今回は「接触鍼」だけで症状の緩解を得ることが出来ました


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