茂原市ことぶき堂鍼灸院

茂原市で鍼灸治療院を営んでおります。
東洋医学や日常生活のあれこれを日々綴っています。

壽堂日記28年4月29日「腰から踝まで痛みが走る。」

2016-04-29 08:01:32 | 日記

坐骨神経痛の病歴を持つ患者さんが『腰から踵まで痛みが走り動けない。』とお見えになりました。

診察すると右踵の外側の跗陽まで痛みが走り、右腰の大腸兪付近から右臀部の上髎、右胆経ラインに沿って反応があります。

お家が農家さんでこれからGW中に田植えと云うことで早急に直して欲しいということです。

これらの痛みの原因は右腰の大腸兪付近にあるようです。

「何時ごろから痛み始めましたか?」と伺ったら『一か月前から。』とのことです。お仕事が忙しくて治療に来る時間が取れなかったそうです。

慢性化して痛みが強いようなので今回は澤田流太極療法を用い鍼とお灸併用、基本穴に加えて大腸兪・上髎・風市・委中・陽陵泉・承山・跗陽に鍼をしてからお灸をして、腰部は仙骨上に箱灸の後にビワの葉温灸をした後に、仰臥位で梁丘・血海・三陰交に鍼をした後にお灸をしたところ『痛みがすごく楽になりました。来た時と全然違います、足が軽い!』との事です。

当院はGW中も通常営業しておりますので、時間が取れたら治療を受けに来られるという事です。お大事にしてください。


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壽堂日記28年4月24日「授乳期間中の肩凝り・背中の痛み・腰痛の治療。」

2016-04-24 10:34:42 | 日記

当院で不妊治療をしていた患者さんが久し振りに来院。お子さんも一緒です。生後6か月で母乳で育てているそうです。

夜も2時間毎に授乳されているそうで、寝た姿勢で授乳するので背骨に負担がかかり背中と腰が痛くて眠れないそいうです。

授乳中ということで湿布薬は出来るだけ使いたくないと言うことです。

この様なお悩みは多くの授乳中のお母さんが体験するのではと思います。


今回の治療は「本治法」は刺さない治療法である、「積聚治療」で行いました。
 
最初に腹部全体に接触鍼と言う技法の鍼を行います。鍼は刺入せず、接触するだけで痛みも全くありません。これで体表面の気を調えます。
次に脈診をして、脈調整という技法を行います。手首の虚している経絡に優しく鍼を当てます。ここでも刺入はしません。気が動くのを感じたらそこで脈調整を終えます。

その後に「腹診」で証を立てたところ「脾虚証」ということで今度は腹臥位で、背部の治療に移ります。

背部は左右の肩甲骨の上部と下部とに反応があり、押すと痛いと言うことでした。肩甲骨には棘上筋・棘下筋がありますが、その上を肩凝りの筋である僧帽筋が薄く覆っています。

また腰部も左右共に板のように固くなっており、頸部から腰部まで脊柱起立筋が凝っています。

背部全体を腹部と同様に接触鍼をした後に、凝りの強い左側の反対側の右側に証に従って鍼を行います。

痛い処・凝りの強い処でなく反対側に鍼を刺すのを巨刺と言います、東洋医学的の古典的な手法のひとつですね。

鍼は皮膚に当てるだけで刺入はしません。

鍼を当てながら、凝りの強い左の部分を優しく指で押して、気が動くことにより、硬結が緩む具合を見ながら一穴・一穴丁寧に反応を見て進めていきます。
最終的に脊柱起立筋全体の凝りと痛みが取れたので治療終了としました。

今回は肩凝り・背中の痛み・腰痛と言うことでしたが、痛いところに直接鍼を刺入する事なく痛みがとれました。患者さんも治療後「背中の筋肉が緩み痛みが抜けました。」と喜んでくれました。

今回使用した「積聚治療」と言う治療法は基本的に鍼を体に刺入しないので、鍼を刺入するのに抵抗のある方にお勧めの治療法であると思います。
肩凝り、背中の凝り・腰痛にお悩みの授乳中のお母さん、ぜひ鍼灸治療を受けてみて下さい。
 


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壽堂日記28年4月23日「冷え性を直して妊娠に備える。」

2016-04-23 06:09:00 | 日記

治療院に「冷え症」の患者さんがお見えになり「冷え症」を治して体調を調え妊娠に備えたいとの事です。

「冷え症」の方は一般的に虚弱体質で貧血の人、胃腸が弱い人、骨盤内臓器の疾患があるとおこりやすく、骨盤内に充血(お血)があるとこの「冷え」の傾向が助長されます。

東洋医学的に「冷え症」を捉えると、冷えの原因は陽虚・血虚・お血・寒湿などです。

気の温煦作用(おんくさよう)・血の温養作用が低下する事により、気血の流れが不足し「冷え」となると考えられています。

温煦作用(おんくさよう)とは内臓が体を温める作用を言います。

東洋医学には気の概念があり、真気(正気)の作用の一つが、温煦(おんく)作用(臓腑器官などの組織を暖め、体温を保持する働き)となます。

実際の治療は当院では「冷え症」はまず本治法を用いて治療します。本治法により治療すると体が温まって来ます。

本治法で治療し気血水の流れが良くなれば他の肩こり・頸凝り・腰痛などの症状も改善します。

「冷え症」に対する特効穴もありますが、「気」を補い、「冷え症」を治療するには最初に本治法を行う事が重要です。

当院では本治法の後に漢方成分入りのお灸による標治法と「ビワの葉温灸」・「ネパール棒灸」等を併用して「冷え症」の治療を行っております。


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壽堂日記28年4月19日「スキー事故による頚椎症と関連痛。」

2016-04-19 06:32:18 | 日記

今年の1月にスキーで頸椎を痛めた方がお見えになりました。

今日は当院での「頸椎症と関連痛」の治療について御紹介したいと思います。

頸椎症とは頸椎の変形(椎間板、椎間関節、Luschka関節、椎体縁のどの狭小や骨棘の形成など)に伴い、その周囲の神経、血管(脊髄、洞神経、後枝内側枝、神経根、椎骨動脈、頸部交換神経などに)障害を合併する疾患です。

当院では頸椎症の中の関連痛型と神経根症状を鍼灸の適応症として治療しております。同じ頸椎症でも脊髄症型、バレー症状型については専門医の診察をお勧めしております。

当院では頸肩背部の痛みや凝り、また上肢の痛みや痺れで来院される患者様が多く、鍼灸治療で一定の効果を上げております。

では具体的に治療例に従って御紹介いたします。


患者さんは20代男性、1月にスキーで転倒、以来3ケ月頸肩部、背部の疼痛、凝り感、圧迫感、頸椎の運動制限とそれに伴う放散痛に悩まされ、最近は右上肢の疼痛、痺れ、脱力感などの症状が出現されたとのことで来院されました。

受傷当時、整形外科を受診されC4ヘルニアとの診断だったそうですが、通院しなかったそうです。

まず最初にタオルの上から頸部、肩背部、脊柱起立筋を軽く擦って体の状態を診ると、左右の板状筋、胸鎖乳突筋、僧帽筋、肩甲挙筋、脊柱起立筋の緊張が分かります。

触診するとC4付近の後頸部痛と肩背部、肩甲間部の肩中兪・肩外兪・曲垣・へい風・じゅ兪・天宗・肩貞・の凝りと痛みが著明でした。

鍼が初めてと言うことなので、一番鍼(太さ0.16mm)を使用する事しました。

具体的な治療(筋に対するアプローチ)として筋緊張および圧痛硬結部へ鍼管を使い刺入後、置鍼としました。

鍼は痛いと構え勝ちですが患者さんに伺うと「刺入したことも分からなかった。」とのことです。

使用した経穴名で言えば、
天柱 :頭半棘筋・頭板状筋・僧帽筋
へい風:僧帽筋・棘上筋
曲垣 :僧帽筋・棘上筋
肩外兪:僧帽筋・肩甲挙筋
肩中兪:僧帽筋・肩甲挙筋 
天宗 :棘下筋
じゅ兪:棘下筋
肩貞 :小円筋・大円筋
完骨 :胸鎖乳突筋・頭板状筋
などを使い、さらに背部の菱形形筋上の附分、魄戸、膏肓も使用しました。


曲垣・肩外兪・肩中兪・附分、魄戸、膏肓は頸横動脈が走っており、風池は深部に椎骨動脈が走行しております。
上記の場所に置鍼することにより、筋肉の緊張、硬結が緩むのみならず、血管が拡張する作用により頸部頭部の症状が改善します

風池は深部に椎骨動脈が走行しておりますので刺鍼に注意が必要ですが、深刺でない事と、鍼が細いことから危険性はありません。


上記に上げた治療・経穴名は局所治療であり、局所治療の前提として本治治療を行い、鍼灸のほかに温灸器とビワの葉温灸も併用して気血の流れを整える治療をいたしました。


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壽堂日記28年4月12日「不妊症の治療・ストレスとの関係は?」

2016-04-17 08:57:39 | 日記

当院では不妊症の原因の多くは「冷え」と「瘀(お)血」と「ストレス」であると考え鍼灸による不妊症の治療に取り組んで居ります。

今日はストレスと不妊症の関係について簡単に説明してみたいと思います。

四診で不妊症の患者様のお体を拝見すると多くの方は「舌は白色または暗赤色」であり、腹診するとお腹が硬かったり冷感がしたりして「冷え」や「瘀(お)血」 の症状が出ており、さらに夏でも手足が冷たく、頭がのぼせ肩がこる等のいわゆる「上実下虚」の方が多く、肩甲骨間の筋肉が緊張して凝っています。

舌が白色は「体の冷え」暗赤色は「お血」を示しますが「肩甲骨の間」の緊張はストレスを示します。

東洋医学では陰陽・寒熱・虚実を用いで証を立て治療をしますが古医書の素問では病を大きく四種類に分類し「陽虚外寒」型「陰虚内熱」型「陽盛外熱」型「陰虚内寒」型としています。

「冷え」の症状の場合考えられるのは「陽虚外寒」と「陰虚内寒」ですが不妊症の方の多くは中が冷えている「陰虚内寒」型です。

東洋医学的には精神的な過労により五臓の気が逆上して、それにより下から寒気が上がってきて陽気が子宮や経絡を巡るのを阻害して血が流れ渋り中が冷えると考えられています。

精神的な過労つまりストレスが「冷え」や「瘀(お)血」の原因となる訳です。

肩甲骨の間には精神活動と関係が深い「魄戸」「心兪」「神堂」「巨闕兪」「身柱」などの経穴がありストレスが強いと凝りや圧痛などの諸症状が出ます。


現代医学的にはストレスが不妊症の原因となるのは「ストレスによってホルモンバランスが崩れる。」のが原因で、実はストレスに対抗するホルモンを分泌する器官と、生殖活動を行う際に必要となるホルモンを分泌する器官は同じことが多いのです。

モントリオール大学のハンス・セリエ教授が提唱した「ストレス学説」によれば、過度のストレスにさらされると人間の体は防衛反応として視床下部にある自律神経の中枢が興奮を起こし、副腎髄質がホルモンを分泌して「防衛行動=緊急反応」をとります。

妊娠に必要な性腺刺激ホルモンも、この視床下部を通して分泌されています。

そのため、ストレスへの防衛行動が優先されて、生殖活動に必要なホルモンが十分に分泌されない場合があります。そうなると、ストレスで妊娠しづらくなり、その不妊によってさらにストレスが溜まると言う悪循環になります。

現代のようなストレス社会では、日常生活の中でストレスを感じることが多く、それが不妊症の原因となる場合も多いのです。不妊症の改善には、ストレス解消が欠かせません。

当院は鍼灸治療で気血水の流れを調え「冷え」「瘀(お)血」「ストレス」を改善し妊娠しやすい母体を創る事を目指しております。


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